薔薇と蝶

空高く薔薇たちが咲き誇る
彼はその中を行く

棘が臓を貫いても
蝶が目を覆っても

それでも彼は行く

前に進むための筋肉だけを鍛え
追随するものには蜘蛛の糸が伸びた

気がつくと辺りにもう薔薇はない
纏わりつく蝶も他の蜜を見つけたらしい

それでも彼は行く

雲の上の足場なき空を
信仰を頼りに進み続ける

時間と空間の狭間から湧き立つ
煌めく蝶の飛来を待つ

昼夜を徹して彼は行く

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