児童期・青年期に見られる精神障害

児童期・青年期によく見られる精神障害をこの記事ではまとめる。
カウンセリング現場でよく出会う次の5つについて説明する。

  1. 自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)

  2. 注意欠損・多動症(注意欠損・多動性障害)

  3. 学習症(学習障害)

  4. チック症

  5. 児童虐待

これについての障害・症状について紹介していく。
リファーする基準になるだけでなく、その子供の親のカウンセリングにも役立つ知識なので理解を深めていくとよい。


自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)

自閉スペクトラム症は、子供が正常な社会的関係を形成するのが困難な特性を持っている。言葉の習得・言葉の使い方が異常であったり、全く言葉を使おうとしないなどの、言語性の特性があったり、強迫行為のような儀式的な行動を繰り返し行うなどの行動性の特徴も見られます。

また、他人とコミュニケーションをとったり、親密な関係性を築くことも苦手で、決められた日常のスケジュールに沿って行動するのも困難な傾向がみられる。

男女比は男児の方が2倍から4倍多いと言われており、150人に一人の割合で発症すると言われている。

また、自閉スペクトラム症は個人差が非常に大きく、症状の現れ方もその個人によって大きく異なる。
言葉の遅れがほとんど見られず、発達水準の高い子どももいる。このような場合は小学校低学年まではわかりにくいが、集団の暗黙のルールなどは理解する事が難しく、集団行動を取りにくいなどの問題が生じてくる。思春期などある程度成長したあと、対人関係面で問題が生じる事もある。

注意するべき事

自閉スペクトラム症の可能性のあるクライエントが来談した際は、自閉スペクトラム症の子どもの認知的特性を深く理解し、支援の領域も広範囲になるので、まずはリファーして医療・福祉の現場につなげる事が必要である。

早期発見・早期療育が非常に大切であり、安定した環境の中で計画的に個々の子供に応じたプログラムを作成する事が大切で、安易にカウンセリングを引き受けたりしないように注意が必要だ。

注意欠如・多動症(注意欠如・多動性障害)

注意欠如・多動症は、幼児期から多動と注意散漫が目立ち、不注意・多動症、衝動性が主症状である。

原因

脳の微細な構造的、機能的、発達的異常などの生物学的要因と環境要因の療法が関与している可能性がある。

幼児期の頃から動きが激しく歩けるようになるととにかく落ち着きがなく動き回る。小学校に入ると集団行動になじみにくく注意をされても席を立ち歩いたり、手をぶらぶら動かし絶えずそわそわしている。
特に低学年の頃は、授業中にもかかわらず机の間を走り回り教室から飛び出す事もある。高学年になると少しずつ落ち着いて机にとどまるようになるが、絶えず誰かに話しかけたりいたずらをしようとするなど落ち着いて授業を受けるのが難しいなどの傾向が見られる。

最近では注意欠如・多動症が認知され、支援も充実してきている。

注意すること

注意欠如・多動症の可能性があるクライエントが来談した際には、まずはリファーをする。
医療・福祉・学校との連携が取れ、カウンセリングの許可がおりれば支援に入ることもあるが、学校の先生と連携をとるなど周りと連携をとりながら関わっていくことが重要である。

学習症(学習障害)

学習症はもともと1995年に文部科学省が「基本的には、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く・話す・読む・書く・計算する、推論するなどの特定の能力の習得と使用に著しい困難を示す、様々な障害を指すものである」と定義した。

中間神経系に機能障害があると指摘されているがはっきりとした原因は未だ不明である。

学習症はひらがなの覚えが遅く、読める部分だけの広いよみや間違いが多い事などから明らかになることがある。

問題点としては、周りの大人からの叱責、友人からのいじめやからかいの的になりやすい事である。
このため、学習症の子供は益々学習意欲を失い、劣等感に苦しむことになり、不登校などの問題が出てくる事がある。

注意すること

学習症の可能性が高い場合は、まずはリファーする。
医療・福祉・学校との連携がとれ、カウンセラーが学習症のケースと関わる時は、周りからは遅れるものの、徐々に遅れを取り戻し、遅れた力を獲得していくこともできるので、根気強く支援する事が重要である。
家族への支援や子供への共感的な理解を心がけ、子どもの成長の支えとなるような関係性を築けるよう関わっていく。

チック症

チックとは、突発的で反復的、常同的な運動あるいは発生を呈するものである。成人より児童に多く見られ、女児よりも男児に多いのが特徴である。

心理的緊張やストレスがチックを引き起こす準備状態を作ったり、チックを増強したりするが、単純な心因性障害ではなく遺伝子的要因と環境要因の両者が関与していると考えられている。

主な症状は運動チック音声チックに分けられる。

単純運動チック:肩をすくめる、まばたき、急に首をひねる
複雑運動チック:顔の表情を変える、跳ねる、触る

単純音声チック:咳をする、鼻を鳴らす
複雑音声チック:状況に合わない単語を繰り返す、汚言症

注意すること

まずはリファーする。
そのうえで、他の領域現場と連携が取れれば単純チックの場合は、チック症状を消去させようとするよりも、子どもの環境的なストレスの軽減を図ることが重要である。

チックがひどい場合は医療療法が行われる事があるので専門機関に完全リファーが有効的である。

児童虐待

児童虐待とは保護者により子供に加えられる身体的、肉体的、性的な虐待の事をいう。



  1. 身体的虐待
    子供に対する身体的暴力が主。打撲傷・骨折・火傷・激しく揺さぶる・溺れさせる・首を絞める・縄などにより一室に拘束するなどの行為。

  2. 心理的虐待
    子供に対して、脅迫したり非難をするなど言葉による脅しだけでなく無視をする事も心理的虐待に入る。その他には兄弟間の差別的扱い、子供が見ている前で暴力行為を行う等。

  3. 性的虐待
    子供に対して実際に性的虐待を行うだけでなく、性行為を見せる、性器を触るまたは触らせるなどの行為。

  4. ネグレクト
    養育の拒否や、学校に通わせない、衣食住の世話をしない、家の中に閉じ込める、不潔にする、車の中に放置する、病気になっても病院に連れて行かない等。

虐待された子供に見られる症状としては、子供の時期には発達の遅れや鍼灸の外傷が見られるほか、過食や多飲などの問題行動、情緒や言語発達の遅れをはじめとする症状が見られる。

感情や衝動のコントロールが困難となり、自己評価が低く、自分や他者を傷つけやすい事が問題となりやすく、心的外傷後ストレス障害を呈しやすくなる。

虐待をしている親は、自分の行動を虐待ではなくしつけであると訴えることがあり、子供も親を警戒して事実を話せない事が多くある。

虐待問題に対応していくためには、子供自身の不信感や警戒心を取り除くために、安全で安心できる環境や対人関係を提供することが重要になる。しかし、子供の心に安心できる環境や対人関係を提供する事が重要になる。
しかしそれは容易な事ではなく、しばしば子供の対人関係や行動は不安定になりやすい事を頭に入れておかなければならない。

子供が幼ければ幼いほど、虐待を親の問題ではなく「自分が悪い」「自分が駄目だから」と考える子供がる。
このような子供は、親の虐待は自分の責任であると考え、親に好かれる良い子になろうとする。それと同時に親に対する恐怖心を強く抱き、孤立無援感、無力感とともに、親以外の人間戦犯に対しても不信感を抱いている事が多くある。

虐待の体験を話す事は、子供にとって非常に苦しい事である。
子供が自らの言葉で虐待体験を話す場合、「話しをする」という中で本人自身の心を整理していくことも大切にはなりますが、援助者の方から子供に言語化を促す際には、慎重さが求められる。

注意すること

虐待の可能性が考えられる時には、児童虐待相談所や警察にリファーする必要がある。子供の命を守る事を第一に考え、行動するように心がける。判断に悩む際はスーパーヴァイズを受けるようにする。


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