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【第一弾】中高生メンバーインタビュー

「みんなのルールメイキング」では昨年度に続き、今年も全国で対話的なルールメイキング(=生徒主体の対話的な校則・ルールの見直し)に関わる活動を行っている中高生と団体を募集し、「みんなのルールメイキング委員会 中高生メンバー」としてそれぞれ15名、6団体を任命しました。

「校則をよりよいものにしたい!」「ルールメイキングをやりたい!」という想いのもと集まったメンバーたちですが、メンバー同士でも、参加した理由や日ごろ校則について感じていることなどは、みなさまざまです。それぞれが持つ想いや意気込みを多くの方々に発信したいと考え、このインタビュー企画を行いました。

第一弾は高校3年生のK.I.さんです!

プロフィール画像は校則をテーマにした自画像(!)

中3の頃に気がついた「学校のおかしさ」を変えたい

― どのようなきっかけで中高生メンバーに応募したのですか?

中3の時に「学校についておかしいな」って思う部分があって、学校と衝突したというか、先生と喧嘩みたいなことをしたことがありました。そこで「学校のおかしさ(=どうして人は対話できないんだろう)」に気がついたことがきっかけです。カタリバについては、教育学部で学んでいる知り合いがいて、その方からカタリバの存在を教えてもらい自分で調べました。

ー「学校のおかしさ」に気がついたきっかけは何だったのでしょうか?

中3の時に自分がやっていないことで訓告処分という、退学の一歩手前の処分を受けました。「私、やってないです」と何回も言ったんですけど、例えば一人の先生にそう言ったとしても「あぁ、そうなんだ」と流して私が主張したことが伝わってなくて。また、久しぶりに学校に行くと「なんで来たの」って先生に言われたり…。自分が教育を受ける場と思っていた学校に居場所がなくなるような経験がきっかけでした。

ー そのような経験をしてもなお、校則を変えられると思えるのはどうしてでしょう。こうやったら変えられるかも、という考えはありますか?

中3の時、一人で頑張ろうとして集団の力に押しつぶされて負けたという感じでした。いまは中高生メンバーは沢山いて、色々な話も聞けて、メンバーの学校のなかにはすでに校則を変えているところもあります。そういう学校の様子を聞いたら、解決方法や考えも知ることができるのではと考えています。

一人の考えだけだとあまり上手くいかないことも多いと個人的に思っていて、話し合うことで考えはどんどん発展していくなずなので、中高生メンバーのなかでお話できたらって思っています。

「校則を変えることに関心をもっている先生もいるはず」一対一で先生と面談

― すでに校則やルールメイキングに関して取り組んだ活動はありますか?

中学では先生と衝突するというやり方で上手くいかなかったことを学びました。今の高校は、一学年1000~2000人いるマンモス校で、先生も100人ほどいらっしゃって、職員室も複数あります。その中には必ず校則を変えることに関心を持っている先生もいるはずだと思い、一対一で先生と面談して「この校則についてどう思うか、学校についてどういうところが良くないか」とインタビューすることにしました

ちょっと自分の考えを分かってくれそうだなという先生に自分の考えを話して、「それならこうやったら変えられると思うよ」というアドバイスを受けて一緒にやっている感じです。

― 同級生や友人に「この校則変えたいよね」とか話したことはありますか?

今の高校も指定校推薦があって、あまり目立つことはしたくないという子が多いですね。例えば、リボンを緩めることが許可されておらず暑い夏でもそうなのですが、「こういうの嫌じゃない」と友人に聞くと、みんな「いやだ」とは言います。でも、そこから行動に移ることはほぼないです。

みんなリボンを加工したりして、その校則を破ったりはするのですが、根本的な校則を変えることまではできていない状態です。

一人の先生に伝えたことが職員会議で提案された

― 中学3年生のころの経験から、人の心を変えることは難しいと感じたということでしたが、一方で高校で校則を変えることに対して共感してくれた先生方は、具体的にどう対応してくださったのでしょうか?

先生からも個人として今の学校について思うことを教えてくれてくれました。「この学校のこういうところに実は違和感がある」とか、私が知らないようなところまで教えてくれたという感じです。

― どうやってアプローチしたのですか?職員室に直接行ったのでしょうか。

生徒数が多いので、職員室に行ってもまぎれられるっていうか、意外と雰囲気的に行きやすいっていうのもありますが、職員室に行って先生を呼んで、他の場所でゆっくり話し合っています。

― 具体的に校則が変わったりしましたか?

私が動いても学校の規模が大きすぎて変わらないけど、私が言ったことを職員会議で言ってくれるという先生方は意外といらっしゃいました。私が「これこれはおかしいと思う」って言ったら「そうだよね、そしたら職員会議でちょっと言ってみるね」って提案してくれたというのもありました。

人数が多すぎで校則を大々的に変えるという発表はないですが、学校のルールでブレザーを着ていたらリボンを付けないといけないという暗黙のルールがあったんですけど、私がおかしくないですかって言ったら、多分職員会議で伝えてくれたようで。その後、許してくれるようになりました。そのルールもそもそも校則に載ってなくて…。さらっと無くなるというか(笑)。

見直し前:ブレザー着用時はリボンをつける
見直し後:ブレザー着用時でもリボンをつけなくてもよい

左がK.I.さん

校則一つ一つに対して、その存在意義をみんなが分かるようになってほしい

― 今後ほかのメンバーたちとより良い校則づくりのために活動していくわけですが、今の時点で、自分にとっての理想の校則とはどのようなイメージですか?

校則一つ一つに対して、それがなぜあるのか存在意義をみんなが分かるものだと考えています。
ルールが決められているとそれに従うということしかしないし、ルールに従うのはとても簡単だと思っていて…。なんでこのルールがあるのか考えないから、何についても考えなくなるし、従うだけだと自分で考えることは全然しないじゃないですか。

例えばツーブロックもなぜいけないのか理由を考えないから、受け入れるだけになって、自己決定力が減っているんじゃないかなと考えています。

― 個性を尊重した校則ということにもつながると思いますが、服装に関していえば、私服が許可されることに対してどう思いますか。例えば、私服が許可されることによって、各生徒の経済状況や好み、センスが顕在化し、いじめやからかいにつながるといった意見もあると思いますが。

制服があるから毎回服を考えなくて済むとは自分も共感するところで…。制服も私服も認められる形だったらいいなと思っています。みんなが私服で自分だけが制服を着ていたら浮くというのがあると思いますが、そもそもその考え方がおかしいんじゃないかなって考えています。

日本は「浮いちゃうからいやだ」「マイノリティにはなりたくない」という考えがあると思っていて。でも、それを無くすのが教育だし、学校はみなの個性や考えが尊重されるべきだと思うんですけど…。その考え方を教育によって直して、「私服だっていいし、制服だっていい」という校則になればいいんじゃないかなとは思っています。

建築が与える教育への影響について大学で学びたい

― 教育と建築に興味があるということですが、具体的に大学に入って勉強してみたいことはありますか?

教室は箱型で、壁に包まれていて窮屈だなとずっと感じていて…。もし自分の力で教育を変えるとなると、人間の心を変えないといけないですが、それってすごく難しいことだと中学3年のころに分かりました。

だから空間という建築を変えることによって、教育を変えられればいいんじゃないかなと思っています。大学では建築が与える教育への影響について研究できたらって思って、最終目標でいうと、教育を変える建築をやりたいです。

学校のことを学内で解決するのではなく、外からも変えられるよう手助けをしたい

― 中高生メンバーとして、実際にやってみたいことは何ですか?意気込みをお願いします!

私の最終目標は自分の学校だけを変えることだけじゃないと思っています。他の学校の方から話を聞いて、例えばですけど、去年まで男女交際が禁止されていたという学校も私がこの中高生メンバーになって初めて聞いて、すごく衝撃を受けて「私の学校ってまだましな方だったんだ」って気づくことができました。

自分の学校が変わっても周りの学校が変わらなかったら、日本の教育の根本的なところは全然変わらないと思います。

私ができることは中高生メンバーになり他の学校の方と意見交換をすることで学校のことを学校の中で解決するのではなくて、外からも私たちが解決できるように頑張っていけたらいいんじゃないかなって思います!


編集後記

K.I.さんのお話を聞きつつ、私自身の中高時代を振り返らざるを得ませんでした。私も校則やルールについて、違和感を感じたことはありましたが、「すでに決められたもの」と思い込み、変えられると想像すらしていなかった気がします。

K.I.さんは、中学時代に先生含め大人たちの主張を変えることは難しいと実感したそうですが、高校生になってもなお、校則見直しのために先生方に果敢にアプローチしていく姿がとても印象的でした。建築の観点から教育をよりよくしたいという卒業後の目標を含め、K.I.さんの今後の活動がとても楽しみです!
                              (取材/執筆:横瀨)


次回は、生徒会メンバーとしての校則見直しの取り組みについて語ってくれた、高3のおゆさんと高2のぼんさんのインタビュー記事です。そちらの方もぜひご覧ください!