好きな服を着る
可愛い服を着ていると思っていた
小学生の頃「これが1番可愛い組み合わせ!」と思って毎日学校に行っていた
1番可愛い組み合わせなのに、友達からのファッションの評価はいつも「シンプルだよね〜!」だった
ロゴの書いてある服や、フリルのついたスカート、スタッズの付いたTシャツを着ている子たちは「ギャルっぽいよね〜!」と言われていて、それに自分も納得していたから「シンプルだよね〜!」という評価も周りからするとあながち間違っていなかったんだろう、と思う
中学校に上がっても変わらず「これが1番可愛い組み合わせ!」と思って休日は友達と遊んでいた
小学生の時は自転車か徒歩だった移動手段が、電車やバスになり、友達と少し遠くのショッピングモールにお出かけしたりした
そこでコスメを見ていた時、同世代くらいのぜんっぜん知らない通りすがりの女に「わ〜…地味〜、ダサ…」と言われた
衝撃だった。だってこれが1番可愛いのに、あなたのその何か字の書いてある服は良くて、わたしのこの何も書いてない服は地味なのか(多分ロゴの有無だけじゃない)
知らなかった、誰も教えてくれなかったけどシンプルってつまり地味ってことだった
高校、ふわふわスカート時代
それの反動かわからないけど高校に入ったら、パステルグリーンのふわふわスカートや、白のガウチョパンツ、デニム生地のシャツなどなんか違うんじゃないかみたいな服を着始めた
めちゃめちゃ流行ってたマーチンも赤いやつを買った
大学、メンズノンノ兄さんとの出会い
大学に行くとローリーズファームやアースが主流というのを掴んでまたいっぱい服を買った
文字が書いてあるTシャツや、色のついたブラウスを買った
ある日大学の構内を歩いていた時のこと、談話室と呼ばれるどんな生徒が過ごしても良いお部屋に男性が2人いた
少し大人びているから3年生か4年生かな、と思った2人組の片方が椅子から立ち上がったことで、そのお洋服の全貌が見えた
服が!!!!!!!!!良い!!!!!!!!
自分が良いと思ったのだから、それはそれは地味な格好を想像してほしい
黒くて綺麗なMA-1、黒いモックネック、黒くて綺麗なスラックス、黒いローファー、全部本当に綺麗で高そうなのだ(に加えて彼は183cmの細身だった)
地味なのに、シンプルなのに、与える印象が鋭利で絶対誰にもダサいなんて言わせない、有無を言わせない力強さがあるファッションだった
歩くメンズノンノだったと思う
理系の学科でオシャレな人なんて男女共に皆無に等しかったからびっくりした
地味に全振りし始める
地味な服が心底好きで良いんだ、とようやくそこで受け入れることができた気がする
そこに拘りがあれば意志を感じることができれば、別に好きな色を、シルエットを選べば良いんだと思った
そこからはバイト代で服を買った記憶しかない
毎月次は何の服を買おうか考えるのが本当に楽しかった
あの時に買った服は今でも変わらず好きだ
大学の時に頑張って買ったhender schemeの革靴は今でも気に入っているし、社会人になってから頑張って買ったthe reracsのウールのコートも大好きだ
今は結婚した夫の服も代わりにわたしが買う係になっていて、数年前にあげたmarkawareのシャツも綺麗だし、atonのスウェットも美しいな〜と思う
(服を買う係になっていいって…?こんなに幸せなことはない! しかもメンズは自分が普段着ないから余計楽しい)
買う時に値段を見て、こんな高い品質でこの値段は安いんじゃないの?!?!と思ったら迷いなく買っていい
むしろ安い!とか思いだしたらそれはもう本当にゴーサインだと思う(ぽん)(←偉い人が書類にハンコを押す音)
良い服を着ると鎧を纏ったみたいな気持ちになる
(「高い」とか「良い」の基準は人それぞれだと思うので、あくまで当社比です。)
人間のほとんどの部分を覆うことになるのが服で、1番面積が多いのが服だ
それが強そうであれば、そこに意志があれば強くなれると分かってから自分はずっと強い気がしていて、誰と会うのも、外を歩くのも恥ずかしくない
だから今は通りすがりの他人に地味だと言われても「あなたに刺さらなくても大丈夫〜!」と受け流せるはず
わたしはそれが服だったみたいだけど、みんなきっと違う何かを持っているんだよね
気がする 気がすると言っているけど気がするだけで充分自信になれるみたい
もう少しで春だね〜〜 何買おうかな