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貴羽るきの詩

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詩です。
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2017年2月の記事一覧

はさみをもって、

おなかがいたいと嘘をつく子どもなんてどこにもいないということだけが言いたかった、息をしよう息を、見なくていいものはたくさんあって、それにしてもどこまでも素晴らしい名前だね大福は。ふにふに持ってたらいつの間にか溶けていた。わたしのこうふくが、甘い風になってだれかに当てられる、かくれんぼしてたらいつの間にかひとりになっていて首筋が、すん、とした記憶。ストーブであたためた体温計、きょうはもうかえろうね。

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うつくしいお土産

ふつうの人のふりをして
歩いていると
いろんな人に
あごを外される
たのしくないのでにこにこした
目がかわいて
映画だったらきっといちばんに
死んでしまうような目

わたしはわたしに裏切られる

生ものだったのだ、
箱を開けるまで知らなかった
おばあちゃんの手
わたしの手よりきれいでうれしい

チョコレートをひとつずつ
ていねいに数える
これからをひとつずつ
ていねいに数える

20170202