ソフトウエアを着替えながら、ハードウエアを駆け抜けろ!
1983年に初めてコンピュータに出会った時から、もうカタカナの日本語だった、ハードウエアとソフトウエア。
「計算機」と呼ばれたコンピュータの実物は、見ることができて、厳重な部屋に鎮座して、ランプがチカチカするそれを触ることもできました。そしてそれをハードウエアと呼ぶということを「覚えました」。
また対立的な言葉として、テレビのような画面に緑の文字で表示されるアルファベットの文字の羅列のようなものをソフトウエアと呼ぶとも「知りました」。
その時からずっと、「見えないもの」「見えないこと」を、どんな風にイメージできるか、他の人と共有できるかを、ずっと追いかけてきたように思います。
でも、やっぱり掴みかねている。
コンピュータのことをどうして「ウェア」と呼ぶの?
スポーツウェアやスイムウェアなど、着るもの・衣服という意味は、馴染み深いものであるがゆえに、
計算機って「着るもの」?
プログラムって「着るもの」?
となって、よくわからないまま、深く考えることをしてこなかったように思います。
*2021.7.13 追記*
この後の思索が、「ウエア」の綴りを誤って wear として展開しています。上記のnote に詳細を記していますので、この後の展開は「勘違いの偶然からの発見」として、読んでいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
*2021.7.13 追記 終わり*
改めて、ウェア(wear)を英語の辞書でひくと、
「身につけている」「着る」「着ているもの」という意味があり、
コアの意味は「身に(ぴったり)つけている」。
語源的にも、「(衣服を)着ることを表す」wes- を元にした言葉です。
とあります。
いったい「誰」もしくは「何」が「着る、身につける」ものなのでしょう。
「コンピュータ」はかつて「電子計算機」とか「計算機械」と呼ばれていました。「情報処理」をする「計算機械」。
なので、コンピュータの本体を「ハードウエア」、そこに流れるものを「ソフトウエア」と認識してきたかもしれません。そうした認識のズレが、本当の理由を理解しないままに来てしまった原因かもしれません。(もしかして、私だけかもしれませんが。)
コンピュータは「処理」をします。
特にコンピュターの処理のことを「情報処理技術」Information Technologyといいます。ITと呼ばれているものですね。
では、IT(Information Technology)の、 inform という動詞は本来はどんな意味なのでしょう。
「インフォメーション」は、日本語で「案内」「情報」という意味が一般的です。コンピュータを計算機ともいいましたので、「計算をして、結果を表示(案内)する道具」というイメージは、長い間、コンピュータの使われ方の実態の感覚に近かったと思います。そして、コンピュータで扱うものを「情報」と呼ぶようになりました。
改めて「inform」を辞書でひいてみると (Weblio 辞書より)
【inform】
<主な意味>
通知する、知らせる、(…に)活気を与える、吹きこむ、満たす
<Eゲイト英和辞典>
①(人)に〈…を〉知らせる,報告する〈of/about〉
②(作品など)を特徴づける
<日本語WordNet(英和)>
1)特徴または本質を提供する
2)いくつかの事実、状態、情勢、事象についての知識を授ける
3)情報提供者として機能する
<印度語根>
merph- 形,姿を表す。
<ラテン語>
「…を形成する」の意 (IN+fōrma ‘form')
Latin īnfōrmō (“to shape, form, train, instruct, educate”),
とあって、
何かを
「特徴づけて」
「本質をとりだして」
「カタチにして」
「表し」
「知らせる」
ことのようです。
その一連の行為を「案内」とし、そのカタチになったものを「情報」としたのですね。
確かに「インフォメーション」は、伝えたいことの特徴を本質を外さずにあるフォーマットで表現されて、知らされます。
IBMの初代社長トーマス・J・ワトソンがコンピュータに向かって「Think.」と言ったことも、Apple が1997年のスローガンで「Think different.」と伝えたことも、どちらもコンピュータに「カタチにしろ」と命じたのでしょう。
一方はビジネスを、もう一方はクリエイティブを。
そして、コンピュータの中で、この「 inform されるもの(データ)」に「ぴったり」着いて仕事をするのが、ハードウエアとソフトウエアなのでしょうか。
だから、コンピュータの機能は、
インプットしたデータを
「処理をする」というより
「ドレスを着せて、もてなして、変身してもらう」という感じ。
なので、できるだけ煩わせることなくスムーズにスピーディにコトを運びたい。
では、inform の意味にある「活気を与える、吹きこむ、満たす」というイメージは、どう繋がるのでしょう。
カタチにする = 活気を与える、何かで満たす ?
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ところで、英語圏の人たちは、「wear」 は着る人の人格をかえてしまうものとして捉えているのでしょうか。
電話ボックスの中で、あるサラリーマンがスーツを脱いで着替えて、スーパーマンに成るのは、もしかしたらそうしたイメージの延長で、電話ボックスはブラックボックス的なコンピュータなのかもしれません。
そしてそれは日本でも、着物は「くるまれる形」が蛹(サナギ)のようで、変身のための呪器でもあります。
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