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大学入試問題における数学的背景
毎年大学入試問題では、数学的背景が顕著に表れている目的が明確な問題が出題される。
もちろん定番の問題や思考力を試す問題も良いと思うが、「入試の先」を見据えた問題は、個人的に大好物である。
今回は3題紹介しようと思うが、SKEヲタクである当アカウントではあまり需要はないことは重々承知なので、興味ない方はスルーしておくんなまし。
早稲田大学(理工)2006年<ネイピア数のマクローリン展開>
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(1)は右辺を$${e^x=1+x+\frac{x^2}{2}}$$くらいで止めて、微分を用いて不等式を証明させる問題が定番になっているが、この問題ではきちんとネイピア数のマクローリン展開が題材となっている。
(ちなみに数学的帰納法を用いて解答する問題)
大学では複素数を用いての証明が一般的かなと思われる。
テイラー展開やマクローリン展開といえば大学1年生の微分積分学の授業で扱い、懐かしさすら覚える。
(ちなみに私はε-δで詰んだ)
弘前大学(理系)2015年後期<ガンマ関数>
続いてはガンマ関数の導出問題である。
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問題の流れとしては定番で、(1)最大値、(2)極限、(3)数学的帰納法 の三本立てである。
扱う関数もシンプルでとっつきやすい印象だが、最終的に示しているのはガンマ関数と言われるものである。
ガンマ関数は階乗の一般化である。
大学では解析学や特殊関数論などで学ぶ範囲であり、個人的に大好きな関数の一つである。
数学的背景が顕著に出ている一方で、標準的な微積や帰納法を問う良問と言えるであろう。
慶応義塾大学(医)2020年<バーゼル問題>
最後は慶応医学部のバーゼル問題
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平方数の逆数和が$${\frac{\pi^2}{6}}$$に収束するという美しい等式。
この入試問題では三角関数を利用した導出になっている。
正直結果を知っている受験生ならば、最後の(く)は答えだけは埋められるであろうが、誘導が素晴らしく、数学好きな人であれば一度は解いてもらいたい問題になっている。
今年も受験シーズン真っ只中。
自分が受験生の頃は数学的背景なんてまるで考えることはなかったが、教える側の立場になると、いろいろ気付くことは多い。
受験数学の楽しさ、奥深さを感じられる問題があることを、今年も楽しみにしている。