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【オーストラリア・パース生活】リサイクリングで10セントの返金:Containers for change の自動回収機を使ってみました

先日、パースに住む友人とお茶をしていた時のこと、「Rukaさん、ペットボトルなどの容器を返却したら10セント返ってくるじゃないですか。その回収場所ってどこにあるか知ってます?」と質問を受けました。

すでに世界的に広まっている Container Deposit Scheme(コンテイナー・デポジット・スキーム)の制度ですが、オーストラリア国内でも導入が進んでおりまして、西オーストラリア州では2020年10月に Containers for Change(コンテイナーズ・フォー・チェンジ)という名前で開始されました。

これは、簡単に言うと、ペットボトルなどの容器を返却することで、1つの容器につき10セントの払い戻しがされるというものなのですが、そもそも私はペットボトルや缶に入った飲料をあまり購入しないので、その回収システムを利用したことがなかったのですよね。それ故、『収集場所がどこにあるのか』『返金がどのようにされるのか』をよく知らなかったわけですが、良い機会だったので、ネットで調べて、実際に収集場所に行ってみることにしました。

というわけで、今回はその時の体験についてレポートしてみようと思います。


Container Deposit Scheme(コンテイナー・デポジット・スキーム)

まず、Container Deposit Scheme (CDS) について軽く説明をしますね。

Container Deposit Scheme を直訳するなら、『容器のデポジット制度』と言ったところでしょうか。飲料の販売価格には容器代(10セント)が予めデポジットとして加算されているため、その容器を適切に返却することによって、デポジットの10セント分が還付されるという制度です。

Australian Beverages Clean Up Australia によれば、この制度の目的は、環境保護のため持続可能な循環型経済システムを構築することにあるようです。まず、1容器につき10セントの返金という金銭的インセンティブを利用することで『リサイクル率』を上げ、『ポイ捨てや埋め立て地に排出される容器の数』を減らします。その後、正しく回収された容器は新たな製品の原材料として使われ、再び市場に出回ることとなります。一方、消費者側としては、自らが金銭的還付を受ける以外に、それらの還付金を地域社会への資金支援に回すこともできるそう。よって、地域社会への貢献や、地域社会全体としての参加をも促進しているということです。さらには、この制度を運用するにあたり新たな雇用も作り出されているとのこと。まさに循環経済(Circular Economy)を可能にするためにデザインされたシステムという感じがしますよね。

Containers for Change(コンテイナーズ・フォー・チェンジ)

上記に述べた Container Deposit Scheme ですが、州毎にキャンペーンの呼び方や開始時期が異なっているようです。私のいる西オーストラリア州においては、2020年10月に Containers for Change という名前で Container Deposit Scheme が導入されました。

よって、ここからは、西オーストラリア州の Containers for Change について書いていきますね。尚、ここでは掻い摘んで書きますので、詳細は Containers for Change の公式ウェブサイトでご確認下さい。

返金対象になるもの/ならないもの

全ての飲料容器が返金対象になる訳ではないので、事前に確認が必要です。確認方法の一つとしては、返金対象の容器には『10セント返金マーク』が記載されているので、それを参考にするのが一番簡単だと思われます。また、公式ウェブサイトにおいて Container Eligibility Checker なるものがあるので、そこに容器のバーコードを入力して確認することも可能です。

下記に返金対象になるもの/ならないものの例を紹介しますが、あくまで参考までに。詳細は下記公式ウェブサイトでご確認下さい。

TOMRA ウェブサイト

Containers for Change ウェブサイト

<返金対象になるものの例>
150ミリリットルから3リットルまでの下記飲料容器
 ・プラスチックのボトル(ペットボトル)
 ・ガラスのボトル(瓶)※ワインのボトルは除く
 ・アルミ缶やスチール缶
 ・紙パック

尚、容器返却の際、蓋は外した状態にしておく必要があるので気を付けましょう。

<返金対象にならないものの例>
 ・150ミリリットル未満、または3リットルを超える容器
 ・牛乳の容器
 ・ワインのガラスボトル
 ・スピリッツのガラスボトル
 ・コーディアルやシロップの容器
 ・フルーツ/野菜ジュース(濃縮還元)の容器 
 ・フレーバーミルク、ジュース、カスクワインなど1リットル以上の容器 

10セントマーク
返金対象の容器には、写真のように10セントマークがついています。

収集場所

収集場所の例としては、主に DepotsSelf-service KiosksDrop & Go Stations などがあります。定期・不定期に設置される Pop-up Depots を含め、それらの収集場所には容器を直接持ち込むことが出来ます。他には集荷依頼をかけることも出来るようです。また、寄付目的であれば、地元の慈善団体やコミュニティグループ、学校などが Donation Point を運営しているようなので、容器をそちらに持ち込めば、自動的に寄付したことになるようですね。

返金方法

返金方法も複数あります。現金バウチャーの発行Paypalや銀行振込(メンバー登録が必要)などです。ただ、収集場所によって可能な回収方法や返金方法が異なるため注意が必要です。例えば、回収方法が Bag Drops の場合は必然的に銀行振込になるため事前のメンバー登録が必要です。メンバー登録なしで直接現金が欲しい場合は、それが可能な収集場所を選ぶ必要があるわけですね。

収集場所や、そこで可能な回収・返金方法は、 Containers for Change の公式ウェブサイトで検索できるようになっているので、自分の都合に合う場所を探してみると良いと思いますよ。

実際に収集場所に行ってみた

というわけで、実験がてら、私も最寄りの収集場所に行ってみることにしました。私はメンバー登録なしで利用したかったため、現金かバウチャーで返金してもらえる所を探しました。そして見つけたのが、Osborne Park にある Self-serve Depot です。返金方法が、銀行振込かバウチャーから選べるということだったので、そちらに赴きました。

Containers for Change の看板
Depot の入口
思ったより大きな施設でした。建物の奥の方が Depot の入口です。

施設内の写真撮影はNGと書いてあったので、残念ながらお見せできる画像はありません。言葉だけの説明になりますが、どうぞご理解下さいませ。

さて、この施設は Self-serve Depot という名の通り、セルフサービスです。施設に入ると、まるで銀行のATMのような見た目の自動回収機がずらりと並んでおりました。また、脇には案内スタッフが立っており、不明なことがあれば質問できました。

自動回収機の真ん中には大きな穴があり、そこに容器を1つずつ入れていきます。恐らくバーコードを読み込んでいるのでしょう。容器の種類を機械が判別しカウントした後、容器はベルトコンベアーで流れていきました。(自動回収機の写真は公式ウェブサイトで見ることができますよ→こちら

カウントし終わると、最後に支払い方法を選ぶことができるので、私はバウチャーを選択しました。するとレシートのようなバウチャーが発行されました。どうやら Coles(コールス)というスーパーマーケットと提携しているようで、このバウチャーを Coles に持って行くと返金してもらえるとのことでした。

ただ、Coles に行く前にこのバウチャーを無くしてしまったため、今回、返金手続きまで経験することが出来なかったのですよね。よって、現金として返金してもらえるのか、それとも Coles でのお買い物券としてディスカウントされるのかは、正確には分からずじまいでした。ごめんなさい m(__)m

発行されたバウチャー

最後に

Containers for Change の公式ウェブサイトによれば、過去3年間において、35億個以上の容器が一般ゴミにならずに済み、3億5000万ドル以上が払い戻しされたとのことです。また、この Containers for Change を通じて、1300万ドル以上が学校、慈善団体、コミュニティグループなどに寄付されたとのこと。その一方で、毎年5億3000万個の容器は、未だ一般ゴミとして廃棄されてしまっているみたいですね。

いつも思うのですが、こういった政策やプロジェクトの結果を、しっかりと国民に報告してくれるのはオーストラリアの良い所だなと感じます。

さて、私はソフトドリンクやお酒をほぼほぼ飲まないので、ペットボトルや缶などのゴミは滅多に出さないのですが、習慣的に飲まれる方がいらっしゃれば、是非これらの収集場所に持って行ってみて下さい。返金に興味がなくても、寄付に回せば社会貢献になりますしね!


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