連載小説 ディア-デイジー 8
アリアの丘の森 径
アーサー家召使い2人が、辺りを見渡してフレデリックを探している。
「フレデリック様-。」「フレデリック様-! 」
アリア丘の小川のほとり
かすかにフレデリックを呼ぶ声が聞こえてくる。
フレデリックはっとし、声のする方を振り返る。
「・・・あっ! 」
ジョセフィーヌとエドガーもかすかに声のする方を見つめ、フレデリックを見て、笑顔になる。
「良かった! これでお家に帰れるね?ワンちゃんも、偉かったね! 」そう言って仔犬の頭を優しく撫でると仔犬は尻尾を振り、ジョセフィーヌに飛びつき頬を舐める。
「あっ・・・わかった! わかったってば ! ふふっ、
いい子いい子! 」ジョセフィーヌ嬉しそうに、仔犬の頭を撫でる。
フレデリック、その顔をじっと見つめる。
「この子はロック、 ロックって言うんだ・・・」「あなた、ロックって言うのね?
ふふっ、くすぐったいってばっ! 」
「僕の大事な、友達・・・」
ジョセフィーヌ、フレデリックを見つめる。
「お兄ちゃんと私達も、もうお友達ね?
だってロックがここに招待してくれて、会えたんだもの! ねっ?」
「あ・・・うん。あ、あのっ! 君の・・・君の名前は・・・何て?」「フレデリック様-! 」
フレデリックを呼ぶ声がフレデリックの声に大きく重なり、ジョセフィーヌとエドガー、声のする方を見る。「あっ! 」「あっ! 」
「・・・あっ! ここです! ここにいます! 」
エドガー大声をあげ、召使い達に手を振る。遠くで召使い違、気づく。
ジョセフィーヌ、フレデリックを見る。
「フレデリック?お兄ちゃん、フレデリックって
言うの?素敵なお名前 ! 」「そうかな。」
フレデリック、少し照れた顔をする。
ジョセフィーヌとエドガー、2人微笑みあう。
「あっ、いやっ、そんな事、そんな事より、君の、な・・・」
向こうからアーサー家召使いが、フレデリックを見つけ、大声を上げて走ってやってくる。
「フレデリック様-! 」「ジョセフィーヌ様 !
そろそろ戻らないと、アメリ様にしかられます! 」2人の声が重なる。
「えっ?今っ、何て?」
ジョセフィーヌ、両手をパンッと叩く。
「あ~! 忘れてたっ。またアメリに怒られちゃう! 」フレデリック、ジョセフィーヌの顔を見つめる。「えっ?今、何て?ジョ?」
ジョセフィーヌ、フレデリックを見つめる。
「またね! えっと、あの、フレ・・・」「フレデリック ! 僕の名前はフレデリック! 」
「フレデリック! またいつか、会おうね ! 」
「さよなら ! フレデリック。」
そう言うと、ジョセフィーヌとエドガー軽やかに
走り出す。一旦立ち止まると、振り向き
笑顔になり、フレデリックとロックに大きく
手を振る。
フレデリック、笑顔になり思わず手を振り返し、
ジョセフィーヌの後ろ姿をじっと見つめ続ける。
「あぁっ! 」ロックの顔を勢いよく撫で抱きしめる。
「ロック! やったぞ ! はぁ・・・何て言う名前だったんだろう? 」デイジーの花をうっとりしながら見つめる。「ははっ・・・デイジー。野に咲く・・・か。」
そこへ、アーサー家召使い2人が息を切らせて、フレデリックのもとまでやってくる。
「ああっ・・・フレデリック様っ。ご無事で・・・良かったです。」「心配かけたな。」
「はい。心配いたしました! あっ! 」
1人がフレデリックのリボンで結ばれた所にじんわりと血が滲み出ているのを見つめる。
「お怪我なさったんですか?」
もう1人の家来がフレデリックの怪我の部分を見る。「そんな汚い布など・・・お捨てになって。」そう言いながら、リボンをほどこうとする。
「触るなっ! 」鋭い目で召使いを睨みつける。「フ・・・レデリック様。」
「も、申し訳・・・ございませんでした。」
フレデリック、そっぽを向いている。
「べっ・・・別に大丈夫だから! 」「・・・はっ。」「お城に戻りましょう。」
「ああ・・・わかってる。」
フレデリック、1人の召使いに支えられ立ち上がる。もう1人が馬を向こうから連れてやってくる。少し足を引きずりながら、馬に乗り、森からゆっくりと去って行く。
つづく
登場人物
ジョセフィーヌ
エドガ-
フレデリック
アーサー家 召使い
私の頭の中に浮かんできた、空想のお話です。
次から、主人公達が大人になります。
これからもマイペースで書いていきます。
未熟な点、誤字脱字はご容赦くださいませ。
暇つぶしにどうぞ。