瑠香

空を見上げて、移りゆく季節を感じるようにしています。 物語を想像するのが趣味です。

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最近の記事

連載小説 ディア-デイジー 8

アリアの丘の森  径 アーサー家召使い2人が、辺りを見渡してフレデリックを探している。 「フレデリック様-。」「フレデリック様-!  」 アリア丘の小川のほとり かすかにフレデリックを呼ぶ声が聞こえてくる。 フレデリックはっとし、声のする方を振り返る。 「・・・あっ!  」 ジョセフィーヌとエドガーもかすかに声のする方を見つめ、フレデリックを見て、笑顔になる。 「良かった!  これでお家に帰れるね?ワンちゃんも、偉かったね!  」そう言って仔犬の頭を優しく撫でると仔犬は尻尾

    • 連載小説 ディア- デイジー ⑦

      ジョセフィーヌ、2人の元に戻ってくる。 「ただいまっ!  」そのままフレデリックの前にしゃがみこみ、傷口を見つめる。 「痛かったでしょ?お怪我したとこ・・・ちゃあんときれいにしとかないとね。バイキンが入ってちゃうんだよ。」 「うるさいなぁ。」フレデリック、そっぽを向く。 ジョセフィーヌ、濡らしたハンカチでそっと傷口の汚れを取り除こうとすると、その瞬間にふわっと血が溢れ出す。フレデリック目を大きく見開き、ジョセフィーヌを鋭い目つきで見つめる。 「いったいだろぉっ!」ジョセフィー

      • ディア・デイジー⑥

        アリアの丘   小川近くの径 仔犬が小川に向かってどんどん進んで行く。 エドガーとジョセフィーヌも早足で、後についていく。 「ねぇっ! ワンちゃん・・・どこまで行くの?」 仔犬が急に走り出す。 「ねぇったらっ!」 2人も走り追いかける。 森の奥へと進んでいく。 アリアの丘   小川のほとり せせらぎが響く小川のすぐ近くの木陰で、足を怪我した少年フレデリックがその場で下を向き 膝を抱えて座っている。 「あぁ・・・どうしよう・・・足が痛いよ・・・。 皆などこ行ったんだよ!  ロ

        • ディア・デイジー⑤

          アリアの丘 デイジーの花が一面に咲いている。 その中にジョセフィーヌがしゃがみ込み、デイジーをつんで、横に置いたカゴに一本ずつ丁寧にさしている。 そのすぐそばにエドガーもいる。 少し離れた木陰に、アメリがバスケットを横に置き木にもたれ座り、本を開いたまま、今にも目が閉じそうに、頭をゆらしているが、はっとして顔を上げジョセフィーヌを見て、大声を出す。 「あんまり遠くまで行かないでくださいよー!  危ないですからねっー!」 ジョセフィーヌ、パッと顔を上げ、アメリを見て大きく手を振

          ディア・デイジー④

          「私の・・・何がいけないのかな?やっぱり、 何をやっても、ダメだから・・・」 エドガー、眉をひそめ小さく首を横にふる。 「ジョセフィーヌ様は、ダメなんかじゃ・・・ありません!  とても思いやりがあって、素直で優しい子だって・・・僕は知ってます! 」「本当?」 ジョセフィーヌ、顔を少しあげてエドガーを見つめる。その瞳に不安げな心が映し出される。 エドガー、その瞳をまっすぐに見つめる。 「はい! それに、この世に・・・いらない子なんて、 一人もいないんです・・・皆な幸せになる為に

          ディア・デイジー④

          ディア・デイジー③

          ドーソン家 食堂 天井の瀟洒なシャンデリアが部屋を柔らかく照らす。ダイニングテーブルの中央には銀の燭台があり、そこには蝋燭が灯されている。  ドーソンが手入れの行き届いたアゴ髭を生やし、ビロードのローブを着ている。体格は、がっしりとしてダイニングテーブルの前の椅子にゆったりと座っている。 ソフィーが細い体のラインがゆるやかに見える仕立ての良いドレスを着て座っている。笑顔を浮かべるその瞳の奥には、冷たい光が放っている。 パトリック、テーブル上の食事を顔を赤らめ見つめている。 ジ

          ディア・デイジー③

          ディア・デイジー② 薫風歌から変更しました。

          アリアの丘 森の小径 木々の隙間から、陽の光がさしこんできている。 ジョセフィーヌ、木の上を目を細めて見つめ、まぶしそうに見つめている。小鳥が巣穴から飛び出していく。 「ふふっ・・・そこねっ!」笑顔になり、巣穴を見つめる。「見ぃつけたっ! 」そう言うと、その木に登り始める。 エドガーが向こうから、ジョセフィーヌの姿を見つけ、木の下に走ってやってきて、見上げる。 「ジョセフィーヌ様ー! 何をしてらっしゃるんですかっ!」ジョセフィーヌ、木の太い枝の上に乗り、キョロキョロして、声の

          ディア・デイジー② 薫風歌から変更しました。

          薫風歌 ①

          アリアの丘 大海原をどこまでも揺らし続けるさざ波のように、通り抜ける風が大草原を悠然とたなびかせている。その中にぽつんと一人、少し癖のある長い栗色の髪をした少女ジョセフィーヌが辺りを見渡し、立ちすくんでいる。 その肌は透き通るように白く、けがれを知らぬ その瞳はこれから迎えくるアリアの春を映し出している。 「お兄ちゃまー! エドガー! 」ジョセフィーヌ下を向く。「ふぅ・・・どこいっちゃったんだろ。」 ふいに木立の向こうに何かが動いたのを感じ、視線を森の入口へと移すと、顔がぱっ

          薫風歌 ①

          うさぎと亀

          ここは ある程度長い文章を書いても良いのかな? と、今更 気付いたので (どこまでもマイペースなので 気づくのが 遅い・・・) 子供の頃から友達にはいつもおっとりしてるね と言われてたなぁ・・・と思い出します。 それが良いか悪いかは別として。 うさぎと亀でいったら完全に亀ちゃんの私。 でも 書くこと好きだし せっかくだし  以前に書いて 私の机の引き出しの奥に 忘れさられてた私小説を ここに載せようかなぁと思います。 長いので 何回かになっちゃうだろうし 初めて書いた作品

          うさぎと亀

          輪廻

          もしも 輪廻転生というものがあって 命のロンドが 続いてきたとして。 もしも 自分が千年前にも どこかで生きていたとしたら。 姿形は違えども その時と性質、生き方、考え方が今も同じなら 生まれ変わった今 もう同じ後悔はしないで済むのかな? それとも同じような事を繰り返して 後悔するのかな? どっちなんだろなぁ。 ただ 人生を最後まで生き抜いた その瞬間に これで良かったんだと思えれば 良いのかもしれないな。

          ケ・セラ・セラ

          毎日色んな事があって、 頭の中をぐるぐるめぐる時がある。 考えても仕方ないこと。 でも どうしても気になって仕方ないこと。 傷ついたり。 不安になったり 悩んでしまったり。 でもそんな時、昔 父がよく言ってくれた言葉を ふと 思い出す。 昔のアメリカ映画の主題曲。 今も そのタイトルの歌 あるなぁ。 ルカ、ケ・セラ・セラだよって。 あぁ、確かに 色々はあったけど 今まで 何とか乗り越えて  なるようには なって来たのかなぁって 思うんだよなぁ。 ケ・セラ・セラ うん。良

          ケ・セラ・セラ

          秋祭り

          神社の参道に明かりが灯され  所狭しと露店が並ぶ。 子供達がその瞳をキラキラさせて 祭りを楽しんでる。 どれだけ時代が移り変わろうとも 街が上へと上へと バベルの塔のように 天を目指そうとも ここは日本の変わらぬ 美しさだなあ と思う。 お囃子の音が 祭りを粋に包み込む。 浴衣の帯をきちんと締めた人々の からんころんと歩く 小気味良い 下駄の足音。 風鈴が 時に風に揺られ チリリリンと鳴り響く。 その情緒たるや  過ぎたる 遥遠の時代から受け継ぐ 日本の誇るべき文化なん

          春 夏 秋 冬

          年齢を重ねていく。 これまでの日々の積み重ねが 今に繋がっていると思うから。 この先の未来のために 一日一日を 心を込めて 丁寧に生きたいと思う。 なかなか、それが難しいんだけど。 人の生き様を季節に例えるなら。 よくある例えだけど。 春 夏 秋 冬と繰り返す。 あおあお としたもみじが 少しずつ過ぎゆく 季節の移り変わりを経て ようやく散りゆく その間際に 美しく色付く。 そして何の見返りも求めずに ただひたすら 山々を華やかに染めあげ もののあはれを 知らしめてく

          春 夏 秋 冬

          食欲の秋

          うだるような暑さがどこへやら 季節が移りゆくのを感じる 今日この頃。 夏の疲れも まだとりきれぬと言うのに あぁ、秋の味覚がなんとも美味。 柿に栗にさつまいも、ぶどうにさんまに エトセトラ。 底なし沼の胃袋へ。 食べても食べても まだ食べたい。 この食欲がおそろしい。 はぁ~。 そうそう、小学生の頃 全校遠足で毎年芋掘りだったのを思い出す。 どろんこになって 皆で宝探しみたいに 夢中になって さつまいも探し したなぁ。 きょうだいがいると 段ボールいっぱいの泥だらけのさつまい

          食欲の秋

          アロマキャンドル

          炎がいっときたりとて同じ姿をすることなく ゆらゆら揺れるのは、ただ綺麗だなぁって思う。 好きな香りのキャンドルを灯して 部屋の中が優しい光と、ほんのりと穏やかな香りに 包まれて、ただひたすらぼーっとする。 このままどこか違う世界の新しい自分に タイムスリップしたらどうなるんだろう? 大草原を駆け回る少女か。 それとも海賊か。 それともどこぞの国のスパイか。 それとも野に咲く小さな花か。 どんな生き方をするのかな。 と、ふいにスマホのアラームがなった。 ああ、まずは今を

          アロマキャンドル

          狐の嫁入り

          昔の人は想像力豊かで、お天気雨が狐の嫁入りと言う、何とも風流な事を言ったもんだな。 と思います。 あの由来とはかけ離れてるとは思いますが。 私はこんなのだったら良いなと思います。 山道で旅人が雨降しきり、疲れ果てていた時に、ふいに空から陽の光がさして、雨粒がそれに照らされて、キラキラと光って、それがお稲荷さんの狐さんの嫁入りに見えたらそれはそれで良いなと。 旅人が慌てて隠れて見てたら、お狐さんがこっちを向いてぎょっとしたけど、ウィンクしてくれたりして。 私だったらびっくりす

          狐の嫁入り