匿名文通合評会について:経緯と方法

1 はじめに

「自作の自由詩作品に関する建設的な意見交換を行うこと」を目的として、オンライン合評会を主催してきました。その中で、匿名文通合評会という合評会の方式を考えました。考えることになった経緯とこの方式の詳細について以下に記します。

2 経緯

昨年は、自由詩のオンライン合評会を四回主催しました。その中で、オンライン合評会には以下の欠点があると感じました。

  1. 合評会の時間が長い:自由詩作品は一般に長く、少数の参加者数であっても合評会は長引いてしまう。時間が長くなると、疲労で議論の効率は低下するし、そもそも参加者は都合を付けて参加することが難しくなる。合評会の全体の時間を短くするべきだか、それができないならば、細切れの時間でも合評会へ参加できるようにするのがよいだろう。

  2. 論点が多岐にわたり討論が難しい:自由詩作品は一般に長いため、多数の箇所が議題として上がる。しかし、多数の論点を実際に取り上げて議論することは容易でない。司会が即興で少数の良い論点を取り上げるようにするべきだが、技術的にそれができないならば、討論とは異なる形式での意見交換を考えるのがよいだろう。

  3. 作者を伏せることが難しい:短歌の合評会(歌会)では、作者を伏せた状態で作品にコメントをすることが多い。この方式には、参加者がコメントをしやすくする効果や作者名からの推測(メタな読み)を減らす効果があると考えている。自由詩の合評会でもこの方式を採用したいのだが、現実には難しい。参加者が少ないため、作者を伏せても容易に分かってしまうのだ(参加者を増やせばその分合評会の時間がさらに長引いてしまう)。参加者が自分以外の参加者を知らないという状態にして合評会を行えれば、作者を伏せることはできるかもしれない。

  4. 作品を読む込むための時間が短い:コメントができるほど自由詩作品を読み込むのには時間がかかる。昨年の合評会では、合評会前日に参加者へ作品を配布していたが、これも十分とは言えないだろう。配布時期を前倒すればひとまずは解決するが、参加者の自主性に頼る部分は変わらず、むしろ参加者ごとに読み込んできた時間の違いが大きくなり、不平等感が増す可能性もある。そこで、ある具体的な目標の下で(例:100字のコメントを書く)読み込んでもらう方がよいのではないか。

以上の欠点を軽減するため、匿名文通合評会という合評会の方式を考えました。

3 匿名文通合評会の方法

  1. 参加希望者は参加の希望を主催者にのみ伝達します。

  2. 所定の参加者数が集まったら、主催者は合評会の決行を参加者へ通知します。

  3. 参加者は自作の自由詩を主催者に提出します。

  4. 提出された自由詩は主催者によって作者以外の複数参加者へ配布されます。このときは作者が誰か分からないようになっています。

  5. 配布された自由詩作品に対して参加者はコメントを書き、主催者に提出します。

  6. 提出されたコメントの内容に禁止事項(作者の人格否定、作品の全面的な否定、参加者へのハラスメントなど)がないか、主催者が確認します。主催者がコメント執筆者に修正を求める場合があります。

  7. 全コメントが出揃ったら、全作品と作者名、コメントが参加者へ公開されます。コメントの執筆者は最後まで明かされません。

4 お知らせ

※終了しました。

第一回の匿名文通合評会を開催します。興味のある方は次のページをご覧下さい。