2020/12/31

真昼の陽光をむねいっぱいに吸い込んだ海が
湾内で一晩中やさしく発光していると思われる日がある。
そんな日にかぎって、私は昼間の仕事をさぼり
目立った成果のない一日を送っていたりするのだ。
構造のない問題ばかりが頭の中を駆けめぐり
私はひざを抱えて海を眺めるばかりなのだ。

先送りされたまばたきの数が十四を超えるとき
人は旅に出なければならないのだと思っていた。
が、そのような子供じみた妄想はもう必要がなかった。
私たちはみじかい間、地表面に滞留しているだけの生き物で
考えることの多い生き物で、つばさのない生き物で、冬眠しない生き物で・・・・・・
それにしてはこの世は構造のない問題ばかりなのだ。