爆弾散華 鬼才!川端龍子!
東京のお仕事を午前で終わらせにして、本日は都営浅草線西馬込駅からてくてく、はじめての大田区立龍子記念館へ。川端龍子(かわばたりゅうし)の作品を観に行くことにしました。
龍子という名前とおり、龍に拘りを持っていてこの建物も龍子自らが設計。上から見るとタツノオトシゴの形らしい。地上からはわからりませんが。上のお花も竜舌蘭の形。
入館料300円という区立らしい価格設定。
↑パンフレットから撮りました。実物は、渦潮・・・かとおもったら龍!みたいな感じの絵です。
龍子はもともと洋画の勉強をされていたのですが、渡米時に訪れたボストン美術館で観た平安絵巻に感動して、日本画を専門にやるようになった人です。
↑これもパンフレットから撮影。横長の屏風のような絵です。
龍子は渡米時に観た壁画の影響で、大型の作品を描くことにこだわるようになりました。
「會場藝術」
お金持ちが自分の部屋でひっそりと楽しむのではなくて、多くの人に観てもらえるような芸術を志しているのですね。
きらびやかな散華でネーミングもキャッチーだなと思っていましたが、これは終戦間近の8/13に自宅の池での家庭菜園の野菜が爆風で本当に吹き飛んだときのことを表した作品だそうです。終戦直後にこの「爆弾散華」と「臥龍」という大型の作品を出していますが、どちらも陰惨さや悲しみを踏み越えて、美しさを表現しているところに、このひとの鬼才ぶりがうかがえます。ひとの死を悼む形は、必ずしもモノクロである必要も、沈痛である必要もないと私は思うのです。
奥入瀬渓流と、現実感のない蝶。ものすごいクールな構図です。
今回は、「爆弾散華」ほか3点が撮影可能でした。
開館日は一日に三回、龍子記念館のとなりの龍子公園に案内してもらえます。普段は施錠されている敷地です。ちょうど時間もうまく合ったので、ほかの観覧の方と一緒に案内してもらいました。
龍子は抽象画は描かないのに、客間の壁には謎模様。これは、客との話の糸口、会話のきっかけのためにデザインされたものということです。色々なものに見えなくもないけれど、何者でもない影絵。
この近くにある池上本門寺大堂の天井画の龍は、龍子の未完作で、まさに画龍点睛を欠く状態であったのを、のちに奥村土牛が開眼させました。正直、龍子と奥村土牛とはかなりの画風の違いを感じるので、これはなかなか面白いエピソードです。
お庭は当然季節によって表情が変わるだろうし、展示も年に3~4回入れ替わるので、また違う季節に機をみて来れるといいな。二月には山種で「華曲」が!展示されるらしいので、これも今から楽しみです。