「坂ノ途中」と私、野菜、そして野菜。
人生で初めて “ふき” を下ごしらえする。
有名な童謡「おべんとうばこのうた」には「すじのとおった ふき」という歌詞が出てくるが、現代ではそこまで一般的な野菜ではない気がする。
個人的に馴染みがないだけかもしれないが、ともかくそんな我が家では珍しい ふき。
下ごしらえの方法が分からないのでネットで調べてみると、塩で板ずりしてから茹でて皮をむき、水に浸して保存する…、という、焼けばオッケーな野菜ばかり選びがちな私には、やや食べるまでのハードルが高め。
しかしながらせっかくならしっかり食べたいので、もうすぐ2歳になる息子は夫に任せ、台所でいそいそと準備を始めた。
最も時間がかかるのは皮むき。茹で終わって冷水に浸した5cmほどの ふき から薄皮をちまちまむいていく。皮はスッと取れるのでそれ自体は大変ではないが、まあまあ量があるのと細かい作業なので、なんだか頭の中がだんだん空っぽになっていく。
空っぽ、という表現は少し語弊があるかもしれないが、料理中たまに訪れる「無」の時間が私は結構好きである。ひとまずこの作業に集中していれば安心、というような時間。
子育てが始まってからは余計にそう感じる気がする。子供がいると何をするにも中断が多いので、「無心に集中」=「安心」なのだろう。
そんな「無」の時間の中で、野菜との出会いに思いを馳せる。実はこの目の前に浮かぶ ふき は、私が選んで手に取ったものではない。
それは去年の6月まで遡る。
息子の離乳食生活が終わり、1歳を過ぎて少し経った頃だった。いわゆる完了食という食事になっていた。食べやすいように細かく、そして味は薄くするけども、内容はほとんど大人と同じご飯が食べられる。
今まではお粥と潰した野菜を用意していたら良かったのであまり献立に困ることはなかったが、息子も同じものを食べるとなると少し大人の料理にも変化が必要かな、と思った。
何せ私と夫は今までスーパーで買った毎度ほとんど同じような手軽な野菜ばかり食べていた。
例えば小松菜!これは今でもしょっちゅう食べているが、とにかく扱いが楽。そしてピーマン。これもまあ理由は同じ。茹でる作業が必要そうな野菜はほぼ敬遠で、カボチャなんて息子の離乳食で久々に買った。(まあカボチャは生で焼いてもいいんだけども。)
もちろんそれでダメなことはないんだろうけど、どうせならもうちょっと息子に色んな野菜を食べさせてみたいな、と思ったのをきっかけに、私は宅配を探すことにした。
なぜ宅配なのかと言えば、近所のスーパーは品数がさほど多くないのと、私はスーパーであれこれ思考するのが苦手なのだ。何というか、サッと家に帰りたいからかもしれない。そう、生粋のインドア。
で、そういうわけで辿り着いたのが野菜の定期宅配をしている「坂ノ途中」さん。
数ある宅配サービスの中でこちらを選んだ一番の決め手は、「旬のお野菜セット」があること。なんと毎回ランダムで野菜を詰めて送ってくれるんです!
「スーパーでは見ない野菜とかを食べてみたいけど探し回るのはちょっとなあ…」、と漠然とした怠惰な希望だけ持っていた私には本当にピッタリ。西日本の野菜を中心に、旬の有機野菜が家に届く……、さ、最高!!
個人的には2週間に1回の便が選べることもポイント。毎週宅配があると上手く消費しきれずアワアワしそうなので、1週飛ばせると私のような不器用人間にはかなりの安堵…!
ちなみに年会費がなく、商品の値段(+送料)だけの支払いなところも何だか気軽に始められそうでグッドでした。
そうしてドキドキしながら申し込み、初めて野菜セットを開けたのが去年の6月。「ケール?…ケ、ケールが来た…!!」と謎の感動を覚えたのを覚えている。(初ケールは肉と焼いて美味しくいただきました。)
それから宅配を続けていると、ビーツ、葉つき玉ねぎ、きくいも、セロリ…などなど、知っている野菜はもちろん、完全に初めましての野菜もいくつかあった。
その都度、一緒に届く野菜の説明書を読み(非常に丁寧で分かりやすい)、ものは試しだ!エイヤッ!と料理する。美味しく食べる。そして「へえ〜こんな味がするんだあ」、と新たな発見がある。
息子は当たり前のようにパクパク食べる中、大人たちは驚きに満ちております。
ところで、「坂ノ途中だより」というお知らせも素敵なエッセイや写真が満載で、しばらく保存してからまとめてフムフム読むのがひそかな楽しみ。
息子のために…、とささやかな親心で申し込んでみた宅配も利用してから半年が過ぎた。「ふ、ふき が来た…!!」と今でも驚きつつ、新しい野菜の出会いは嬉しいもの。
さて、そんな ふき は無事に全ての皮をむき終え、ゆらゆらと水の中で美しい緑色に光っていた。どうやって食べようかな、と迷いながら少し背伸びをしつつ。
さいごに
今日の ふき 、お試しでそのまま息子に少しだけあげてみた。最初は警戒して手をつけなかったけど、後からおそるおそる口に入れつつ「シャキ!」と音が聞こえそうな具合にしっかり歯で噛んだ。心なしか美味しそうにモギモギ食べていた。いつもより下ごしらえに時間がかかったせいか、なんだか無性に「良かったなあ」と思った。
おまけ
野菜の入った箱を届けてくれる配達のスタッフさんが、息子を見て「大きくなりましたね〜」と声をかけてくれた。初回からいつも来てくれている方なので、ここ半年ちょっとの息子の成長を定期的に見ていると言える。農家の皆さんやスタッフさんのおかげですくすく育ってます!いつもありがとうございます!…と直で言うのは恥ずかしいので、ここに記しておきます。
成長といえば、いつも空になった野菜便の段ボール箱に入って、後ろから大人に押してもらい床を滑走するのが好きだった息子。今日も喜んで箱に入っていたのだけど、何だかぎゅうぎゅうで窮屈になっておりました。最近まではぴったりサイズだったのに、身体が大きくなったのね〜、とそんなところでも成長を感じたのでした。
追記
ご迷惑かしらん…とも思いつつ、勇気を出して日頃のご挨拶と共にこのページのリンクをお問い合わせページから送ったところ、本社のスタッフさんから直々に温かいお返事をいただきました。お忙しい中、ありがとうございました!!
それにしても、感謝の気持ちが相手に届くってシンプルに嬉しいことだなぁ。
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