ウワバミにゾウを飲み込ませる力
初めまして、note一発目は本にまつわる話をしたいと思います。
先日、ちょうど予定のない休日ができたので大阪の難波に本を買いに行きました。
買ったのは「世界から猫が消えたなら」という本で、友達から泣けるとの評判を聞いていたのでわくわくしながら読んでみます。
この日、本屋のレジに行くと有料のレジ袋がいるかどうかを聞かれました。
スーパーやコンビニでレジ袋が有料になってからしばらく経って僕たちも慣れてきた頃だと思いますが、未だにレジ袋を数円で買うのには若干の抵抗があります。
家から袋を持っていってその数円を節約する人も多いでしょうし、それによってちょっと得した気分になる人もいたりするかもしれません。
しかし一方でその有料レジ袋を使うときってちょっと損した気分になりませんか?
「たった3円なんだけどなんか悔しい」って。
僕らはときに自分の気分を上げるために数百円の贅沢をするときがあります。自分へのご褒美に買うコンビニスイーツは300円を余裕で超えてきます。
ちょっと気分を上げるために300円必要なら同じように、ちょっと落ち込むのは300円の損だと思います。
レジ袋はたった3円ですが、そのためにテンションが下がってしまうのはもったいないですよね。
話は変わりますが、本から学ぶことはたくさんあります。自分が大切にしていることの多くも本から学びました。
本題はその大切にしていることについてです。
僕は1番好きな本は何ですか?と聞かれると必ず「星の王子さま」と答えるようにしています。
僕が読んだのは英語を翻訳したもので、文章構成などが洋風なので初めて読んだ小学生時代の僕には読みにくかった覚えがあります。
その本には人生の指針となる言葉が散りばめられていました。
違う星から地球にやってきた王子さまにあるキツネが
「いちばんたいせつなことは、目に見えない」
と言います。僕の1番好きなセリフです。
このセリフの前後を要約すると
自分の星で一輪のバラと「二人」で暮らしていた王子さまは、地球にやってきて唯一無二だと思っていたバラが大量に咲いているのを目撃します。
戸惑いと失望に暮れる王子さまに登場人物であるキツネはヒントを与えて「何か」に気付かせようとします。
その「何か」こそが僕がこの文章で伝えたいことなのです。
目だけで、見えるものだけで判断すれば王子さまの星にいたバラと地球にある無数のバラは全く同じものです。
しかし王子さまが喧嘩したり水をやったり「二人」で長い時間を過ごしたのは変えの効かないあのバラ一輪だけです。
その他大勢のバラと王子さまの星のバラは「目に見えない」部分で違いが生まれているのです。
そこであの名言
「いちばんたいせつなことは、目に見えない」
が生まれるのです。
大人になると効率が求められ、目の前の事態に対処する能力ばかり伸びてしまうような気がしています。
目に見える数字や自分の視野を何より信用し、頼ってしまうのが大人というものです。
僕は、そうなるのが大人なら大人になることに憧れなど抱きません。
さきほどの有料レジ袋の話についても同じことが言えると思っています。
我々は目に見える金額という数字に気をとられ、その先にある自分の気分を想像するということを手放してしまっているのです。
もう一つ、星の王子さまで印象深く、心に残っているストーリーがあります。
主人公である飛行機乗りの小さい頃の話です。
彼はウワバミ(大きな蛇のこと)がゾウを飲み込んで、お腹が大きく膨れている絵を描いて大人たちに見せました。
大人たちはそれが帽子にしか見えないだの、そんなことより勉強しなさいだの言い、大人には真似できない彼の想像力を評価することはありませんでした。
これが原因で彼は画家の夢を諦めてしまうのです。
彼は子どもらしい想像力で目に見えるもののその先を見据えていました。
しかし「大人」になりきった人たちは目に見えるものだけを信じ、夢を見ることも見させることもありませんでした。
僕は想像力を大切にしたままで歳を重ねたいのです。
星の王子さまの主人公がその想像力を否定され、「大人」になったのと同じように、僕らもいつか気付かぬうちに「大人」になってしまうのだろうと思います。
そんなときに思い出して心の拠り所になってくれるのが僕にとっての本なのです。
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