”ラグビーインド代表監督で得た学び”#9 インドのコーチング事情 その1
日本ラグビーフットボール協会公認 S級コーチの神宮寺です。
今回は2018年にインド代表監督としてアジア選手権に出場した際のスペシャルな経験から得た学びを綴りたいと思います。私がコーチとして得た学びが皆さんのコーチングを豊かにするお手伝いができたら幸いです。
インドラグビーのコーチング事情 vol.1
国が違えばカルチャーも違う。
今回はラグビーインド代表キャンプでおきたトラブルと実際の解決方法について書いていきたいと思います。
(徐々に内容をコーチングに寄せていきます)
テクニック or スキル
インドラグビーのトレーニング現場では、おそらく日本のようなドリル形式の練習をやってきていないだろうと感じる時があります。
ドリル形式とは一般的には「テクニック」の練習であり、基礎基本の動き、圧力(プレッシャー)がない状態でのトレーニングを指すことが多い。
逆に「スキル」の練習とは、圧力(プレッシャー)のかかった状態で判断が伴う練習のことをさします。(ゲームの状況に近い練習)
ドリル形式の練習は、守破離の「守」の部分でもあり、まずは型(基礎)を覚えましょうという段階。
(野球の素振り、サッカーのリフティング なども守破離の「守」)
ドリル形式の練習は、正確なフォームだけでなくルールや規律なども定着させる狙いがあるので、コーチが笛をふいてタイミングや強度、時間などをコントロールするケースが多い。
ちなみに守破離の「守」が徹底されていないと、下手な癖が定着(習慣化)されてしまうので、導入として「守」は重要だと私は思う。
JAPANラグビーとINDIAラグビーの違い
彼らの行動を観察していると、インドラグビーは「自分達で自由にラグビーを楽しむ」ような、日本でいうところの社会人クラブのような雰囲気で練習しているチームが多いと思われる。
彼らのメイン練習は、おそらくタッチフットかな。
その影響は少なからずあって、体系だてて練習することが苦手なのかもしれない。(やってきていない可能性がある)
体系だてた練習が苦手な理由として学校教育や学校体育のカルチャーの差も関係している。整列とか行進とか、もっというと順番守るとか、、そういうカルチャーがあるとないチームではアプローチが変える必要もある。
インドでは、テクニックにもスキルにも分類されないようなエンジョイ系の練習が多そうだけど、もちろんテクニック練習ばかりが重要ではなく、日本ではテクニック練習が多すぎることも問題にもなっている。
(よく言われるのが、時間だけかかるランパスなど)
*ランパスをして育ったので、ランパスの良さも重々承知ですが。。。
僕は練習メニューに入れたことはありません笑
プレッシャー下でミスが起きたり、判断が悪かったりするのは、実践トレーニングの経験の乏しさが原因だと言われている。上記の表のように、テクニックとスキルのバランスがとれた練習構成が望ましい。
JAPANラグビーのコーチング体系がしっかりしているなと感じるのは、日本が抱える弱点を多くの優秀なコーチが理解して、それぞれのコーチング現場がスキル寄りに舵をきった結果、日本ラグビーが強くなっているのを目の当たりにした時。
とは言え、JAPANラグビーでもカルチャーが醸成されたのは、トップリーグができて、エディーさんが日本のラグビー現場に強烈なメッセージを与えて・・・(南アを倒すという衝撃と共に) それでも10数年単位の話。
難しいかもしれないけど、インドカルチャーを生かしたトレーニング構成を考えて、礎になるようなコーチングがしたいと考えていた。
<学びのまとめ>
●彼らのカルチャーを理解すること(カルチャーに寄り添う)
●彼らが効果的に学べる環境を作る