試合がつまらない。。
私が指導している
ラグビースクールの小3クラスでは、
タックル有りのミニラグビーへの移行してから、
夏前までの期間、
どのようにアタックするかという
戦術をチームに落とし込むような指導は一切やってこなかった。
というのも、
コンタクトなしのタグラグビーから、
コンタクトありのミニラグビーへの移行だけで、
手一杯だったのと、
特定の戦術をチームに落とし込むことについて、
コーチ間での意見がまとまらなかったためだ。
しかし、
夏前の対外試合での
ある選手の一言がコーチ陣を動かすこととなった。
その選手は、いわゆるエース級の選手ではなかったが、
練習でも試合でも、いつもニコニコ、笑顔が絶えず、
”今日の練習(試合)、どうだった?”と聞くと決まって、
”楽しかった!”という返答が帰ってきて、
他の選手やコーチたちを和ませてくれる、そんな存在だった。
そんな彼が、
対外試合の空き時間に、つまらなそうに芝生に座っていた。
気になったので、
”どうした?何かあった?”と聞くと、
”試合がつまらない。
ボールを持つ奴はいつも決まっていて、
そいつらは絶対にパスしないし、
俺たち、(グラウンドに)いる意味ないから。”
という答えが返ってきた。
彼の言う、
ボールを持つ選手はいつも大体同じで、
彼らは自分がつかまるまでパスしない、
という状況は認識していた。
しかし、私たちコーチは、
その状況に対して具体的なアクションをとっていなかった。
せいぜい、エース級の選手に、
”一人でラグビーやってるんじゃないぞ!”
というような、
抽象的で、
およそ指導とはいえないような
言葉をかけるぐらいしかしてこなかった。
その理由は次のとおりだ。
理由その1
小学校3年生程度であれば、
大抵の場合、
味方へパスをせず、
自らのランで突破を図るというプレー選択は正しい。
試合でボールをよく持つ選手は、
パワーやスピードに優れた選手である場合が多く、
相手チームのエース級の選手を除いて、
ほとんどの場合、パワーやスピードで優位に立てるため、
そのような状況であれば、
パスより自らのランで突破を図るというのは、
プレー選択としては正しい。
理由その2
味方へパスをしない(というかできない)原因が、
他の味方選手にある
ポジショニングが悪い、
パスキャッチの技術が低いなど、
他の味方選手の(イマイチな)プレーが、
「パスしない」という選択をさせている。
理由その3
選手や保護者から不満の声が上がっていない。
理由その1、その2は、
一朝一夕で改善できるものではなく、
中・長期的かつ継続的な指導が必要だし、
原因がエース級以外の選手にもあるというところで、
仕方なしにではあるが、
関係者一同、現状についてある程度納得できていたのだと思う。
ただ、前述の彼の発言で、
理由その3が崩れた。
”つまらない”
”俺たち、いる意味ない”
育成年代の担当コーチとして、
これほど心に刺さる言葉はなかった。
(続く。)