
必殺!3-1-3”超速"アタック
選手から面と向かって、
”つまらない”
”俺たち、いる意味ない”
と言われた(前回の記事)のは初めてだった。
原因の一部が、
エース級でない選手たちにあるからと言って、
”君たちの頑張りが足りないからだ”
と言ったところで、
”つまらない”という現状は、
すぐには変わらない。
日本ラグビー協会のコーチ資格の講習で、
育成年代を担当するコーチの最も大切な役割は、
”ラグビーが大好きな子どもを増やす”ことと
教わっていた私は危機感を覚えた。
今のままの指導ではダメだ。
今すぐ練習方法を変える必要がある。
しかし、どう変えるんだ?
”つまらない”のなぜだ?
↓
試合でボールに触れないから
↓
エース級以外の選手たちが、
試合でボールに触れるようにする
単純に、
エース級以外の選手たちが、
試合でボールに触れるようにするだけなら、
方法はいろいろある。
例えば、
同じ選手がトライしても3回以上からは
得点に加算しない、
とか、
同じチームで5人以上がトライ取ったら
ボーナスポイント
とか。。
しかし、私にはある”こだわり”があった。
エース級”以外”の選手たちが、
試合でボールに触れるようにすることと、
エース級の選手たちのラグビーの技術向上とを
両立させることだ。
エース級”以外”の選手たちの上達が、
エース級の選手たちの犠牲の上に
成り立つという構図は、
どうしても作りたくなかった。
考えに考え、
行き着いたのが、
3-1-3”超速"アタックだ。
予め決めた方法で全員が動き、
アタック(攻撃)する
”シークエンス”と呼ばれる戦術を採用し、
練習を通じて選手たちに、
この3-1-3”超速”アタックの動きを
覚えてもらう。
3-1-3"超速"アタックの
基本的な考え方はこうだ。
FW3人、BK3人が交互にボールを持ってアタックする。
SHはボールをFW又はBKへ提供することに専念
FW3人、SH1人、BK3人で攻めるので3-1-3
一次攻撃はセンタークラッシュ
二次攻撃はフォワードの順目サイドアタック
三次攻撃はバックスが順目大外展開
この戦術は選手の自由な判断を
認めない戦術だ。
子どもの自由な発想を
阻害するような戦術は、
時代に合っていない、
と言った批判は当然あると思う。
しかし一方で、
エース級”以外”の選手たちが、
試合でボールに触れるようにすることと、
エース級の選手たちのラグビーの技術向上とを
両立可能な手段が、他に思いつかなかった。
エース級”以外”の選手たちが、
半強制的にボールキャリアとなることで、
エース級の選手たちが、
誰に教わることなく、自然と行っている、
ボールを貰える
”ポジショニング”や、
”走るコース”を、体感させることができる。
これまでの経験上、
この年代は、理屈よりも
まずはとにかく体感させ、
それを繰り返す方が、
スキルをより早く身につけることができるはずだ。
また、エース級の選手たちにとっては、
自分のスピードやパワーだけで突破できない時の
攻撃のオプションを増やすことができるし、
派手な突破やトライの陰に隠れて、
見過ごされている地味な基礎プレーや、
試合中のチームメイトとのコミュニケーションの仕方(※)、
を身につける良い機会になるはずだ。
※今は、「なんで〇〇しないんだ!」と怒鳴っているだけ・・・
これが正解かは分からないけど、
何かを変えないと、
選手たちは”つまらない”まま
私たちコーチは腹を括った。