生きること。つくること。 ー竹越 夏子ー
今回は
画家
竹越 夏子さん
のインタビュー。
『自分の感覚を信じること』
を絵画を通して
多くの女性へ伝えています。
― そもそも、最初に来店したのは?
竹越夏子(以下、竹越):
最初は18歳の頃、
バイトしてる時に、八幡通りにあったお店に行ったんです。
その時はラ・ペルラを買いました。
龍多美子(以下、龍):
ということは、もう30年ですね。
竹越:はい!それで本を買って、
あのお店は龍さんのお店だったんだって知って
恵比寿のお店に行きました。
龍:なるほどね。
今、画家として絵を描くことをお仕事になさってますよね。
そもそも、絵を描き始めたのはいつ?
竹越:そうですね。
ひとりっ子だったので、本当に小さい頃から絵具と色鉛筆を持って。
私、一番最初に絵具を混ぜた記憶があって
黄緑色だったんですよ。
緑と黄色を混ぜたら黄緑になるのね
魔法だなぁ
と思ったのが3歳とか、そのくらい。
それから、絵を描くとほめられたんですよ。上手だって。
それで、いっぱい描いてお友達にあげたり。
油絵にふれたのは中学生。
自画像を授業で描いて。
龍:それは学校の授業で?
竹越:学校の授業で。
自分は鼻高々に
「私、絵が上手いぜ」
という雰囲気で描いていたんだけど
何だか、つまらなくなったんですよ。
自分の顔がそのまんま描かれていることが嫌だなと思って。
その時の恩師に、
「肌色って色んな色が見えるよ、竹越さん」
て言われて。
そうなの?ってよく見たら
緑とか青とか紫が見えるんだ、と衝撃を受けて。
その恩師が
「竹越さんは、絵描きさんになるんですか?」
っておっしゃったんです。
その時、私は演劇もやっていたので
「私、女優になってガンガン稼ぐんですよ」
なんて言って(笑)
龍:女優になりたかったのね(笑)
竹越:そうなんです!
で、恩師が
「僕は、竹越さんは絵描きさんになると思うねぇ」
っておっしゃって。
私の自画像を、素晴らしい作品だから
文化祭に飾りましょうねっておっしゃってくれて。
それが自画像だった
っていうのが私の中では大きかったんですよね。
自分を認めてもらった想いと
自分って何なんだろうって想いが
同時に進行していくっていう感覚がありました。
そこから、ずーーーっと自画像を描き続けて。
― 「死」を感じたことで、辿りついた「愛」
龍:なっちゃんにとって自画像ってどういうものですか?
竹越:やっぱり、若い時は
「自分ってこうなんじゃないか」
っていう外側を一生懸命、手さぐりで創りあげてっていう感じ。
龍:外側をね。
竹越:外側を。
例えば、マリア様の絵が多かったんですけど
何かのカタチを当てはめないと理解ができなかった。
自分を保っていられなかった。
でも、手術をして
手術をしたら蓋をしていたものがわぁっと開いていって
何にならなくてもいいんだなぁって
自分の内側から溢れてくるものを
そのまま描きとめるっていうのもいいのかもしれない。
って思ってから抽象画に。
龍:そうだね。
カタチあるものから、カタチのないものを
描くようになった。
あれは大きかったよね。
竹越:そうしたら、何て楽しいんだろうと思って!
今まで自画像を描く前に
下地としてそれ(想いのまま描くこと)をやってたんです。
龍:でも、それが本当の表現だったのね。
竹越:そうなんです。
それでいいんだ、っていうことに気づいた。
龍:なるほどね。
皆さん、それぞれの人生の中で
何かになろうとする
っていうのがすごく大きなテーマになっちゃってるんですよね。
「何かにならなきゃいけない」
それはもう、本当に要らないことなのに。
竹越:本当に、そうですね。
龍:なっちゃんが、
何かになろうとすることを捨てたのって
何年くらい前の話?
竹越:そうですね。
手術終わって、もう6年。
そこから
一回死んだな、と思って。
一回、昔の自分を手放したなぁ
と思って。
龍:今思うと、
恵比寿のお店に来てくれていた頃のなっちゃんて
何か、回っている様子だった。
とにかく何かがいつも頭の中で回っていて
それに酔っている感じ。
竹越:そうそう。中毒みたいな感じ。
龍:あの時のなっちゃんと、今のなっちゃんは
いい意味で別人だよね。
竹越:本人はわからないんだけどね(笑)
龍:ぜーんぶ脱いで、素っ裸になった感じ。
竹越:わぁ、嬉しい。
― すべての女性に、自分の感覚を信じてほしい
龍:今、なっちゃんの作品を
店頭にも飾らせていただいているんですけどね。
この瞬間、絵を通して
女性に対して伝えたいこと
ってありますか?
竹越:自画像をずっと描いていくと
「女性性」っていう大きなフィルター、
思い込みがあったと思うんですよね。
龍:例えば?
竹越:例えば
セクシーで在らねば選ばれない、とか
外見の好み、とか
誰かに依存しなければ生きられない、とか
色んな
「女の人ってこうだよね」
って思い込みが、だいぶあったんですよね。
だけど、もっともっと
根底にある
受け入れる、とか
すべて受容する、とか
本当の愛みたいなところに繋がると
「あぁ、些末なことを考えても仕方なかったんだなぁ」
と思い浮かぶんですよね。
でもやっぱり、女の人ってすごく大変で。
○○しなければならない。
結婚、出産、子供の学校とか大きな流れがあって
そこからちょっと外れてしまうと楽ちんなんだけど
ずっと求められているものに対して反応していくと
自分が何が好きか、どうしたいか、
忘れちゃうと思うんですよね。
そんな時に
作品だとか、ブラジャーだとか
本当に好きなものに包まれる時間をもつことで
自分が何を求めているか自覚する。
そんな時間になったらいいなと思いますね。
この間、作品をお嫁にもらってくれた女性達は
「自分の時間を生きるんだ」
って覚悟を決めてくれた方が多くて。
すごく嬉しかったですね。
龍:2020年8月の展示会は
女性の身体にフォーカスした展示会だったんですよね。
すごく衝撃的なんだけど、
その衝撃がとても柔らかいものに包まれて伝わってきますよね。
竹越:嬉しい。
龍:それって、ものすごく女性的。
本当の意味で女性的な表現の仕方だと思うんですね。
めっちゃコアなことを言っているんだけど、すごく柔らかい。
それこそが「女性性」ですよね。
芯が通っているんだけど、
外側は薄くて柔らかくて、優しい。
竹越:今回の作品は、男性が見ると
みんな身構えちゃって(笑)
龍:今までは、アートってものを考えた時に
すごく敷居が高いイメージですよね。
かしこまって見なくちゃいけないとか
お行儀よく見なくちゃいけないとか
縛りがある。
竹越:あるある(笑)
でも、ルーブルに行くと、子供が寝っ転がってるし
色んな人が模写してるし
そういう身近なものだと思うんですよね。
龍:そこで、リュードゥリューの店頭を使って
なっちゃんのミニ・エキシビジョンをぜひ。
可愛くて、小さなアートを
自分のために、お花買うみたいに買い求める。
それを大事にお家に持って帰って
お気に入りのスペースに飾る。
そういうの、どうでしょうか?
竹越:すごく良い!
私もイライラしちゃう時は、
いつもお祈りするマリア様の後ろに飾っている絵を
毎回みるようにしています。
「私、ここにいるんだよ。いつも」
っていうことを忘れないように。
みんなで幸せになれる
みんなでエンジョイできる
その一因になれたらいいなと思って。
ぜひ、開催しましょう!
(※当店での竹越夏子 Exhibitionの開催は終了しました。)
竹越夏子(Natsuko Takekoshi)
画家
現在画家としての活動のほか、美術教員として学生にアートを広める活動も行っている。
【略歴】
1993年 武蔵野美術大学短期大学美術学科卒業
1995年 共立女子大学生活美術学科卒業
1993年、1994年、1995年 主体展入選
1995年 4月 銀座<あかね画廊> 個展
1991年~現在 毎年10月 玄木会 グループ展出品
2011年 10月 Caffe sherile 個展
2012年 5月 Caffe 312 個展
2013年 6月 Sherile cabre 個展
2014年 8月 三宿 star poets gallrary 個展
2016年 第48回欧美国際公募コルシカ美術賞展入選
2016年 8月 三宿 Unica creative space 個展
2017年 第49回欧美国際公募イタリア美術賞展入選
2017年 主体展入選以後毎年出品
2018年 第50回欧美国際公募スペイン美術賞展入選
2019年 2月ART UP 2019 Foire d’Art Contemporain au LILLE GRAND PALAIS -FRANCE出品
2019年 4月PARIS FRANCE galerie metanoia 初海外個展
2019年 7月 日比谷 帝国ホテルプラザ MEDEL GALLERY SHU個展
2020年 2月 PARIS FRANCE espacesorbonne4個展
2020年 2月 PARIS FRANCE Le Salon des Indépendants datant au PARIS Grand Palais.出品
オフィシャルサイト:https://natsukotakekoshi.com/