1995年は「ブラジャーエポック」の年でした
イタリアの高級ブランド『ラ・ぺルラ』
真珠の意味を持ち、ヨーロッパのランジェリー界のトップを荘厳に気高くエレガントにリードしていたボローニャで生まれたブランド。
インポートランジェリーといえば?のクエスチョンに「ナンバー1」に挙げられ、その名を口にしたときの多くの女性たちは、恍惚の表情で斜め45度上に顔を向けて、ため息をついたものでした。
リュー・ドゥ・リューは、90年代の終わりまで『ラ・ぺルラ』のブラジャー、タンガ、キャミソール、水着やそれにアクセントをもたらすリゾートウエアに至るまで幅広く販売していたことがあります。
その『ラ・ぺルラ』が1995年8月に世界中の新聞の全面広告を使って新作『スカルプチャー』を打ち出しました。
その時のコピーは、このように。
『ナチュラルビューティなバストの時代へ。
ラ・ぺルラがすべての女性に贈ります。
「スカルプチャー=彫像」という名のブラ、誕生。
もっとナチュラルに、シンプルに、あるがままの美しさで』
古代ギリシャの彫像さながら、自然な丸みのあるシルエットがデコルテに生まれる、奇跡のようなシルエットは、女性たちの支持はもちろん、社会学的な評価も獲得している。
いつもの、ぜいたくで厚みのリバーレースや繊細な縁かがりはゼロ。
何の装飾もないウレタンフォームの二枚接ぎのブラジャーの第一印象は「ビキニ」?
展開カラーはホワイトと黒のみ。価格は一万円(通常の刺繍レースのは二万円)でした。
当時、龍は、しばらくの間唸っていましたが、ひざを打って立ち上がりました。
そのシンプルになった『スカルプチャー』と相性よく合わせたトップス服の楽しみ方をお客様にプレス記事で告知していきました。
シースルーニットやサマージャケットのインとして着こなしを爽快に決めました。
とても評判が良かったのを覚えています。
龍の下着に対するリスペクト、そして新しい挑戦を垣間見たのです。
つまり、シンプルな下着にモデルチェンジしたとしても、ジャストフィットのブラジャーを的確に選び、身体と服を気持ちよくセッションさせる改革なのです。
言い換えれば、個性を下着から表現するならば、世の中に恥じる事のない『楽しみの責任』をとってゆくことに思えました。
この1995年夏の『スカルプチャー』を機に、世界中の『ブラジャーの概念』が変化していきました。シンプルで大幅に縫製工程をショートカットできる資材とパターンがもてはやされるようになり、裁断して接ぎ合わせるブラカップから、つるっとしたモールド(成型)タイプのブラが大量生産に入りました。
シャツにブラジャーが響かない、シンプルだから着けやすいとの声も多く聞かれました。
さて、あれから30年後の最近のブラジャーは、モールドブラから更にワイヤーも抜き去り、ウレタンの厚みを身体にくいこませるようにバストボリュームをかき上げする代物になりました。
サイズ展開も、洋服のように、S・M・L。
しかし、残念ながら、様々なタイプの骨格の上に付いた、色々な容量のバストの重みをしっかり支え、胸元を美しく際立たせるには、成型されたカップをバストに当てがっただけでは、到底うまくいくはず何枚ものパターンをはぎ合わせ、立体的に縫製されているブラジャーにしか実現出来ない事なのです。
リュー・ドゥ・リューのオリジナルブラの着け心地をご存じの方々の笑顔が今、ぱ~っと見えました。
普遍的なことは大事なことなのです。
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