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竹の子や 兒(ちご)の歯ぐきの うつくしき 服部嵐雪

(Youtube動画 ずんだもん読み上げ台本)

生え始めた歯で竹の子をかじる幼子のはぐきの愛らしいことよ

こんにちは、ずんだもんなのだ。
今回も以前とりあげた1654年生まれの服部嵐雪の句なのだ。松尾芭蕉の弟子なのだ。

季語は竹の子で夏なのだ。この竹の子は、今一般的に食べられている孟宗竹の竹の子ではなさそうなのだ。孟宗竹は、中国原産で、日本に広まった時期は1700年代とする説が多いからなのだ。

『近世俳句俳文集』では、この竹の子は根曲がり竹と推測されているのだ。根曲がり竹の竹の子の旬は5~6月なのだ。日本海側が産地となっているのだ。竹の子は鮮度が落ちやすいので、日本海側から嵐雪の住んでいた地域まで運べなかったと思うのだ。なので、この竹の子は根曲がり竹でもなさそうなのだ。

この竹の子は日本原産の真竹の可能性が高そうなのだ。真竹の竹の子の5月から6月頃が旬なのだ。孟宗竹よりも細い竹の子なのだ。アクも少なく、新鮮なら生でも食べられるそうなのだ。ただし、アクが強いと言っている人もいるのだ。

「うつくしき」というのは、美しいという意味ではなく、古語の「愛らしい」という意味なのだ。歯茎がうつくしいということは、この子は、歯茎を見せているのだ。なので、たぶん乳歯がまだ顔をのぞかせたくらいの年齢の子どもだと思うのだ。1歳くらいなのだ。竹の子は加熱しても固いので離乳完了期の1歳~1歳6か月頃の年齢からになるのだ。

だから、この俳句を現代風に訳すと
生え始めた歯で竹の子をかじる幼子のはぐきの愛らしいことよ
といった形になるのだ。

孟宗竹は、大正時代に缶詰製造をきっかけに商品化が進み、行政による竹林振興事業によって日本各地で竹林が育成されて広まったのだ。その後、輸入竹の子の急増や、プラスチック製品の増加によって孟宗竹の価値が下落し、今は、竹やぶが広がって負の遺産になっているのだ。

ちなみに、根曲がり竹の多い地域は、縄文時代の人口の中心地なので、縄文人も根曲がり竹を食べていたと思われるのだ。クマも根曲がり竹の竹の子を好んで食べるので、人間と鉢合わせして人間が襲われる事件もときどき起きているのだ。人と熊はけっこう好きなものが似ているのだ。

今回の動画はここまで。次回またお会いしましょうなのだ。

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