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口臭 病的要因②
口臭シリーズ:「食道と胃の病気が原因の口臭」
今回は、胃酸や胃の働きが原因で起こる口臭についてお話しします。
胃酸が喉や口まで逆流すると、その酸によって粘膜が刺激されて、炎症を引き起こすことがあります。この炎症は、口臭の原因になるだけでなく、歯が溶けたり、歯の先端が透明になるといった影響を及ぼすこともあります。また、逆流した胃酸が独特の酸っぱい匂いを発することもあります。
さらに、胃酸の逆流が続くと食道に慢性的な炎症が起こり、食べ物や胃液が少量ずつ食道内に残りやすくなることで口臭につながることがあります。逆流による口腔内の乾燥も細菌の繁殖を助け、これが口臭を悪化させる原因になるのです。
「胃酸には強い殺菌力があるのに、むしろ口臭に効果があるのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。確かに胃酸は強力な殺菌作用を持ち、胃の中で多くの細菌を殺します。しかし、胃酸が逆流して口に達する場合、食道の粘液や唾液によって酸性が弱まるため、口腔内では十分な殺菌効果を発揮しません。それどころか、逆流した胃酸が口腔内を乾燥させ、酸性環境を作り出すことで細菌が繁殖しやすくなり、歯周病や虫歯、口臭が悪化する原因となるのです。
特に、過食後に嘔吐する習慣がある方や、ストレスで吐き気を感じる方は、この影響を受けやすいかもしれません。こうした状況では、口腔ケアがとても重要です。
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そして、聞いたことはあるけど、自分に関係があるような、ないような〝ピロリ菌〟。かつて、井戸水が原因とされ、その話が広がっているため、井戸水が少なくなったいま、ピロリ菌、多くの人は、「私、関係ない」って思っていないでしょうか?
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃に感染する細菌で、胃潰瘍や慢性胃炎の原因として知られています。現代の研究では、ピロリ菌の感染は主に幼少期に起こり、親や家族からの感染が多いとされています。免疫力がまだ十分に発達していない小さな子供は、親や家族との密接な接触によりピロリ菌にさらされています。周りの大人からのチューによる唾液が、周りの大人の食器や、箸、スプーンによる食べ物の受け渡しが、感染経路と考えられています。
ピロリ菌の感染は多くの場合、幼少期に家庭内で起こり、その後長期間、胃に定着します。そして胃の粘膜を萎縮させます。そしておよそ5%の割合で、ピロリ菌除菌後に逆流性食道炎の症状が現れると言われています。
これは、ピロリ菌感染のために抑えられていた胃酸分泌が、除菌により復活したためです。
逆流性食道炎が慢性化している場合は、医師の指示に従って治療を受けることで、口臭が改善することがあります。これは消化器内科。
そして、もうひとつ、腸内細菌が病的な口臭に関係しています。次のお話は腸内細菌です。お楽しみにね。