【ファイナルファンタジー16】【感想】【レビュー】 期待を越えられなかった良ゲー
FF16をクリアしたので感想とちょっとしたレビューをしていきます。
まずは注意点
歴代FFシリーズで「FF7R」と本作「FF16」しかプレイした事の無い人間の感想です。FFファンとしての感想を期待してる方はごめんなさい。
プレイ時間は約60時間。サブクエはちょこっとだけ進めて、2周目の序盤を終えたあたり。
シナリオの感想についてはネタバレを含むので、これからやるつもりの方は閲覧注意。
戦闘:俺(私)ゲームうますぎ!が味わえるアクション
このゲームのアクションの特徴はなんといっても多彩なコンボ。
固有アビリティ1つと、クールタイム付きのスキル2つを扱える「召喚獣」を3体装備し、状況に応じて使い分けるのが何より楽しい。始めのうちは召喚獣の切り替えがおぼつかなくて、ずっと同じ召喚獣を使ってる…なんて状況も多々あった。
だが、ゲーム中盤まで来ると召喚獣毎の特徴を掴み、どの場面でどの召喚獣のどのスキルを使うかを把握して上手く切り替えられるようになっていて、やればやるほど上手くなっていく実感があった。
私はカウンター大好き人間なのでカウンター技のある「シヴァ」と「タイタン」を愛用していた。
主人公であるクライヴ自身ができるコンボは少なめではあるものの、6つ使えるスキルをどの順番で使えば効率よくスキルのクールタイムを稼げるか…なんて考えながらプレイしたらかなり戦略性のあるアクションが楽しめた。
さらに開発の親切心も素晴らしい。アクションが苦手な人にもコンボを決める爽快感を提供する為に、自動でコンボを決めてくれるアクセサリーや、回避するタイミングを教えてくれるアクセサリーが初期装備として装備できる。
これにより、アクションに自信が無い方でも「俺(私)ゲームうま!」となる快感を味わえる。今までコマンド式RPGをメインに売りに出していたスクエニならではの配慮だろう。
アクションに関しては正直100点満点レベルの出来だと思う。
グラフィック:圧巻の映像美
さすがに開発者がムービーを推すだけのクオリティはある。グラフィックに関しては想像以上のものだった。
私が度肝を抜かれたのは召喚獣「バハムート」の飛ぶ様子を見下ろすこの映像。
こんなん実写やん…
ってなるほど衝撃的だった。ファンタジーの世界をこれだけリアルに表現する技術はさすがの一言。
ムービーシーンだけでなく、バトルパートでのグラフィックも素晴らしく、召喚獣同士の戦いのシーンでは細かな色彩をこれでもかと表現しており、言葉を失うほどの迫力だった。やはり美麗なグラフィックは没入感を何倍にも高めてくれる…
ただ一方で、発売前から問題視されていた全体的な画面の暗さは気になった。雰囲気を出すためなのかもしれないけど、人によっては映像を見るのが辛くなるかもしれない。
フィールド:探索要素薄め、そして不便
今作は昨今人気のオープンワールド形式のマップではなく、複数のフィールドとダンジョンからなるゲームである。私自身、オープンワールドである必要性が無いゲームが増えてきたなぁと感じていたので、非オープンワールドであることに特に不満はなかった。
しかし、このゲームをやって逆にオープンワールドのありがたみを知ってしまった。
「ジャンプしたら飛び越えられるだろ…」と思う岩や柵を乗り越えられなかったり、
「この川泳いだらショートカット出来るのになぁ」なんてずるい考えしたり、
そういったメインのゲーム性とはかけ離れたアソビも味わえるのがオープンワールドの良さなんだなって再認識できた。ありがとうFF16。
探索要素はほぼ皆無と言っていいだろう。一応、道端にちょっとしたアイテムは置いてあるものの、どれも雑魚敵を倒せば手に入るものばかりで、わざわざ拾おうという気持ちにはなれなかった。エリアマップに関してはただの通り道になってる感じがした。
ただ、ダンジョンマップはどれも「これもうラストダンジョンじゃん…」ってなるほど作り込まれていて非常に魅力的だった。ダンジョンの長さも丁度よく、所々で手応えのある中ボス戦闘も楽しめるので、攻略中に飽きるといったことは一切無かった。
ミニマップが無いのがやはり不便。開発いわく、プレイに集中してもらうため、没入感を高めるためらしいが、何処へ行けばいいか分からなくなると結局メニューからマップを開いてしまうため、プレイ時間を削がれるという本末転倒。画面の邪魔にならない程度にミニマップはあった方が良かったんじゃないかなと思った。
移動:非常にストレス
このゲームのプレイヤーなら必ずこう思ったことであろう。
「なぜダッシュが出来ない!?」
このゲームでは何故かフィールドマップ以外でダッシュが出来ないのである。(フィールドマップ上でもダッシュするボタンが無くてしんどい)
拠点やダンジョン内では、クライヴがジョギング程度のスピードでしか動いてくれない。現代のアクションゲームでダッシュ出来ないゲームが現れるとは思いもしなかった。
しかもこのゲーム、至る所で拠点内の往復を求められる。
Aに話しかけると、Bに話を聞いてこいと言われ、その後Bとの会話を終えるとAのところまで再びで移動させられる。
なんだこの無駄な移動は!
拠点内で30秒にも満たない移動時間ではあるものの、これが何度も続くとなると相当ストレスである。FF16の世界観に浸ってもらうために追求したリアルさであると思うが、これはゲームなのである。本来ゲームに求められるゲーム性を削ってまでリアルを追求されても困る。こちら側はゲームをプレイしたいのであって映画や小説を見たいのでは無いのだ。
さらに細かいことをあげると、他ゲームでの「馬」にあたる、移動手段のチョコボの乗り降りがスムーズじゃなくて、不満を感じた。
1回チョコボから降りるとチョコボがどっかに行ってしまい、またボタンでチョコボを呼んで…の繰り返しになるため、
せっかくだから呼んだチョコボもその場に残って雑魚戦に加勢してくれるようにすれば良かったのに…と思ってしまった。
エリア間の移動に関してはさすがのPS5。爆速ロードで一切不満は無い。
キャラ育成:物足りない
本作では進行状況に応じて武器や防具を鍛冶屋で作成することが出来るのだが、どの装備も作成難易度が低すぎる。基本的に雑魚敵から得られる素材で新しい武器が作れるため、ダンジョン攻略をこなせば即作れてしまうものがほとんどだった。
装備ごと性能差も攻撃力や防御力の数値の差しかない。気力削りが多くなるとか、連続で攻撃を当てると相手が痺れるとかの特殊効果を持たせてたら装備が多様化されて、プレイの幅がさらに広がってたりしたんじゃなかろうか。
シナリオ:ネタバレ注意!
開発者本人がムービーゲーと言うくらいなので、シナリオ面については相当自信があったように思われる。だが、個人的にはあまり納得がいかない内容だった。全体を通してストーリーに一貫性が無いと思った。
序盤の物語のイメージでは弟と祖国を失ったクライヴの復讐劇を描くんだろうな
と思っていたら、割と早い段階で弟を殺したのは自分自身ということに気づいて、シドの「黒の一帯」の拡大を止めるためのマザークリスタル破壊に加担するストーリー展開に変わっていた。ここから「人が人として生きられる世界」を創るための、クライヴ対諸国の戦いを描くのか
と思ってたら今度は「アルテマ」という全能性のある神様が出てきて、肉体を必要としない精神世界の実現を目指すアルテマと人としての自我を尊重するクライヴとの戦いがメインの物語になる。
アルテマが出たあたりでシナリオに違和感を覚えた。ドミナントを抱える国同士の血みどろの戦いを期待していたら急にファンタジー色の強い神様が出てくるもんで頭の中は「???」
序盤で期待させていたクライヴの復讐劇もサクッと終わってしまったのも不満。弟ジョシュアが実は生きてて、その母アナベラもあっさり自害してしまった。母に見捨てられた兄弟の母に対する思いとかも聞けなかったし、アナベラの死後も兄弟2人とも何故かケロッとしてるのが不思議だった。
「人が人として生きられる世界」を実現するためにクライヴ一行はマザークリスタルを破壊して回っていた訳だが、
マザークリスタルの破壊は魔法に頼っている既存の生活様式の根本的な破壊と同じであるのに、クライヴたちのマザークリスタル破壊後の市民へのアフターケアが何も描かれてないのが気になった。
一般市民から見たらクライヴたちがしてることって完全に悪な訳で、それに対するクライヴたちの葛藤があまり描かれなかったのが寂しかった。
しかしキャラクターは非常に魅力的であり、美麗なグラフィックで描かれるキャラクターの心情描写は見応えがあるものだった。
中でも印象的だったのはバイロンおじさんとクライヴの再会シーン。お前は誰だと言われて何かを言うのではなく、クライヴの幼少期に2人でやっていた演劇を行うことで自分がクライヴであることを伝える所は、バイロンおじさんの再会の喜びと2人の関係性を示す粋なシーンだった。
あまりサブクエは進められなかったが、グツの成長を描くサブクエは心温まるものがあった。
ムービー中にパッドボタン長押しで語句の説明とかキャラクターの人間関係を教えてくれるシステムは親切で良いなと思った。
総評:90点を期待してたら80点のゲームだった。
体験版の出来が良すぎて購入前の期待値が高くなっていた。100点満点中90点ぐらいの出来のゲームだろうなと思って蓋を開けて見たら80点ぐらいの出来で肩透かしをくらった感はある。2周目前提のレベルデザインであったり移動や装備のバリエーションなど細かな不満点はあったものの、全体的には非常に楽しめるゲームであり、美麗なグラフィックで描かれる物語は一見の価値あり。アクションはここ最近のゲームの中ではトップクラスの完成度だと思う。
FFファンでなくても楽しめた一作なので、PS5を持ってるゲーム好きにはぜひオススメしたいゲームであり、絶対に買って損はないだろう。
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