【レビュー】vs鳥取|J3 第5節【松本山雅2023】
チームが良い方向に進んでいるという感じがしない。
そんな試合を、イングランド・プレミアリーグが好きで全試合観ている、戦術オタクな自分の視点で振り返っていきたい。
2023.4.2
J3 第5節
松本山雅FC
×
ガイナーレ鳥取
~スタメン~
~はじめに~
コメントは以下より引用しています↓
ということなので、ビルドアップについては最低限振り返った後、カウンターについて考えていきたい。
そして、戦術以外の部分でチームを苦しめている二人の選手についても書いていきたい。
~ビルドアップ~
これまでの山雅のビルドアップについて振り返る。
1-3節
初めの3試合での、山雅の主な攻撃パターンは2つ。
一つ目は、SHが相手SBの背後に走り込む、というプレー。
特に、右サイドで滝が相手SBの背後を取るシーンが多かった。
二つ目は、逆サイドへのロングフィード。
左SH榎本が裏へ走ることで相手SBを引っ張り、それによってフリーになった下川へロングフィードが渡る、というシーンが多かった。
この二つのプレーによって、前進することはできていた。
(崩せていたかどうかは別として)
4節
左SH:榎本→菊井
トップ下に鈴木
ボランチ:パウリーニョ→喜山
相手DFの背後へ走ることの多い榎本ではなく、足元で受けたがる菊井が左SHになったことで、相手SBを引っ張り下川へロングフィード、という形はあまり見られなくなった。
一方で、菊井や鈴木が下りて受けにくることにより、パスがある程度つながるようになっていた。
喜山が何度もパスを引き出し、捌いていたのも印象的だった。
5節(今節)
右SH:滝→村越
ボランチ:喜山→パウリーニョ
村越もどちらかと言えば下りて受けようとすることが多く、相手SBの背後を狙った攻撃はほぼなくなってしまった。
また、前節のように、パスがつながっていくシーンも少なかった。
原因としては色々あるはずだが、そもそも「どうすればうまくいくか」を選手たちが理解できていなさそうだなという感じがする。
まとめ
元々、菊井や藤谷が個人技で相手をかわすことでチャンスを作っていた場合が多く、ビルドアップがうまくいっていたとは思わない。
ただ、振り返った通り、最初は見られていたはずの、相手SBの背後を狙った攻撃・逆サイドへのロングフィードという山雅の良さが、今ではどこかへ消えていってしまった。
かつ、前節のような、パスを繋いでいくシーンもほとんどなかった。
今のところ、ビルドアップはただ悪くなっていく一方である。
~カウンター~
今節はカウンターを狙っていたということだが、気になる点がある。
それは、前線の4人(2トップとSH)の人選である。
SHの人選
カウンターを狙っているのなら、SHにはドリブルでスピーディーに運べて、かつ1対1を仕掛けられる選手がほしい。
右の村越はいいとして、左SHで起用された菊井は、ドリブルが得意な選手ではない。
例えば、8:39~のシーン。
うまくボールを奪い、大チャンスになる。
相手のCB鈴木との1対1の場面で、菊井は縦に突破しようとするが、鈴木を抜くことができないどころか、ボールも足につかず、スピードダウンしてしまう。
最終的に菊井のハンドを取られ、大チャンスを失ってしまう。
菊井の左SH起用は、いい形で奪ってもイマイチ攻めきれない原因の一つだったと思う。
例えば、両サイドを滝と村越にして、どちらのサイドでもドリブルで仕掛けていけるような形が良かったのではないか。
2トップの人選
それでも菊井を左SHで起用したということは、菊井に相手DFラインの背後へのスルーパスを期待していたのではないかと考えられる。
ただ、その場合、2トップが小松・鈴木というのは違和感がある。
裏に抜けてスルーパスを受けるというのであれば、まず抜け出しのスピードがほしい。
その上で、ファーストタッチからシュートまでの一連の流れを、相手DFやGKからプレッシャーを受けながらもうまくやってのける技術が必要になる。
これらの条件を、小松と鈴木は完全には満たせていない。
例えば、2:00~のシーン。
相手のゴールキックが鈴木の元へ飛んできて、それを菊井へ預ける。
菊井は裏を狙う小松へ浮き球のパスを出すが、小松は間に合わない。
小松の動き出しは決して悪くなかったが、純粋にスピードが足りないように見えた。
もっと足が速い選手だったら、と思わせるシーンだった。
仮に小松が追いついていたとしても、うまくトラップして、相手GKに止められることなくゴールネットを揺らせるようなイメージが個人的にはしづらい。
例えば、裏抜けを得意としている(のではないかと思っている)田中想来なら、菊井のパスをもっと活かせたのではないだろうか。
なぜ
では、なぜ2トップは小松・鈴木だったのだろうか。
考えられるのは、この二人の体格を活かして、サイドからのクロスをゴールにねじこみたかったのだろう、ということ。
二人がファーサイドに流れてクロスを待っているシーンは何度もあった。
ただ、そもそも、いいクロスが上がってこない。
それはSBのクロス精度の問題ではない。(そういう時もあるけど)
サイドで相手の守備を崩せていないから、いい状態でクロスを上げることができていないのである。
コメントにもある通り、下川も、そしておそらく逆サイドの藤谷も、味方との距離が遠くて苦しむことが何度もあったはず。
これは下川や藤谷が悪いのではなくて、当然チーム全体の問題である。
にも関わらず、監督は以下のようにコメントしている。
これでは、SBの選手たちはあまりにも可哀想である。
~試合結果~
松本山雅FC 0
ガイナーレ鳥取 0
~チームを苦しめるプレー~
…本当だろうか。
ゴール期待値では山雅が圧倒していたようだが、相手の質不足に助けられていただけではないだろうか。
シュートを打たれなかったから期待値に反映されていないだけで、決定機を作られてもおかしくないようなシーンは何度もあった。
失点が少ないのは、もちろん守備陣が頑張っているからこそではある。
ただ、それ以上に、J3だから失点せずに済んでいると感じる。
そこで、ピンチを度々招いている二人の選手について取り上げたい。
その1
一人目は、パウリーニョである。
パウリーニョは、ボールを持つ相手に突っ込んでいって、簡単にかわされる、ということが多すぎる。
例えば、25:44~のシーン。
パウリーニョのパスが世瀬にカットされる。
奪い返そうとパウリーニョが突進するが、簡単にかわされる。
そのせいで、村越と野々村が世瀬に釣り出されてしまう。
最終的にはなんとか食い止めたが、相当こわいシーンだった。
このシーン以外にも、パウリーニョが簡単にかわされるシーンは多い。
(22:32, 74:08, 92:57など)
しかも、その大半において、相手の攻撃を遅らせるというわけでもなく、ただ無抵抗にかわされてしまっている。
ほぼ毎試合そのようなシーンが見られており、非常に危険だと感じる。
その2
そして二人目は、菊井である。
菊井はプレスバックが非常に遅い。
ダッシュで戻って来てほしい状況でも、ジョギングでゆっくり戻ってくることが多い。
例えば、20:37~のシーン。
相手の右SB田中にパスが入る。
菊井が急いで戻って田中に寄せるべきだが、ジョギングで追っていくだけで、全く守備に参加しない。
そのせいで、ただ田中に運ばれ、クロスを上げることまで許してしまう。
クロスは藤谷がなんとかクリアするが、その後常田がうまく処理しきれず、相手にフリーキックを与えてしまう結果となった。
他にも、菊井の戻りが遅いシーンは多い。
(3:52, 46:42, 74:11など)
また、攻→守の切り替えが遅いせいで戻りきれていないシーンも多い。
(42:31, 47:54, 77:35など)
これまでSHでプレーしてきた他の選手たちは、サボらずしっかり走っていたが、菊井はそうではない。
菊井の守備も、かなり危険である。
~終わりに~
パウリーニョといい、菊井といい、主力選手たちがチームを危険に晒すようなプレーをしているというのは、見ていて残念に思う。
特に菊井は副キャプテンなのだから、もっとプレーでチームを引っ張っていってほしい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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