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【山雅】vs鹿児島|J3第11節【レビュー】

イングランド・プレミアリーグが好きで全試合観ている戦術オタクによる、松本山雅のレビュー。



2023.5.28
J3 第11節

松本山雅FC
×
鹿児島ユナイテッドFC



※コメントは以下より引用しています。


~スタメン~


山雅(緑):4-4-2
鹿児島(青):4-2-3-1


~善戦できた理由~

終盤に失点するまでは、拮抗した試合となっていた。
その理由について振り返る。


守備の改善

まず、セカンドボールへの意識が高くなった。

プレスをかけ、相手がロングボールを蹴った時に、中盤の選手たちがしっかり戻ってセカンドボールを狙う姿勢が見られ、非常に良かった。

また、自陣で守備をする際に、菊井がしっかり戻って守備に参加するようになった。
これまでは菊井が前線に残る場面が結構見られていたが、しっかり戻るようになったおかげで、守備の安定感が増していた。


ロングボール主体の攻撃

今までトライしていたようなビルドアップは少なくなり、ロングボールを主体にして攻撃を組み立てるようになっていた。

SHが絞ることで、セカンドボールを拾い、そのまま攻撃に繋げることができていた。

ボールの周りで数的優位ができている。

SHの菊井や村越が良い位置で前向きでボール持てる回数が増えたことにより、チャンスの回数も増えていた。

DFから繋いでいくビルドアップをしなくなったことにより、山雅の攻撃は安定するようになっていた。

ビルドアップを志すチームではあるが、なかなか改善が見られないことを考えると、現体制では難しい。
であれば割り切ってロングボール主体にした方がいい。
実際、選手たちもあまり迷いなくプレーできていたのではないかと思う。


下川の存在

先発に復帰した下川のパフォーマンスは素晴らしかった。

ミスも多少あったけれども、攻守において貢献度が非常に高かった。

特に、危険なシーンでもなんとかしてくれる圧倒的な守備力は本当に頼もしかった。

この試合で下川は自身の価値を証明することができた。
理不尽に批判されることも、もうないだろう。


~試合結果~

松本山雅FC      2
21' 小松  44' 野々村
鹿児島ユナイテッドFC 4
30' 藤本  48' 福田  90' 山口  90+4' 武


~「自滅」の理由~

試合の内容よりも結果を取りたかった試合で、一番欲しかった結果が自分たちのミスによるプレーで相手にあげてしまった。今年シーズンの勝てない試合はほぼ自分たちのミスや自滅で、相手に勝ち点を与えていることが多かった。

監督

勝てないのは自滅である、というのは、今回で言えば3失点目の住田・4失点目の山本のプレーのことなのだろう。

負けたのは本当に住田・山本のミスによる自滅なのか、振り返っていきたい。


立ち位置の変化

選手交代により、セカンドボールを拾いづらくなってしまった。

先発したSH菊井・村越は、ロングボールを蹴る際には高すぎない位置で絞ってセカンドボールを狙っていた。

一方、途中出場のSHルーカス・滝は、ロングボールの際にサイドに開いていたり、相手のDFライン近くに立っていたりしていたため、セカンドボールの拾い合いにあまり参加できていなかった。

ボールの周りで数的不利に。

結果として、思うようにセカンドボールを拾えなくなっていた。


できていた部分が、できなくなった。
これは、采配による自滅と言える。


1失点目

29:00のシーン。

ロングボールが福田に入る。

ロングボールでDFラインの背後へ。

福田がクロスを上げる。
端戸のシュートは野々村がブロックするが、こぼれ球を藤本が押し込む。

このシーンだが、まず、藤谷の守備が甘い。
簡単にクロスを上げさせてしまうのはまずい。

そして、パウリーニョの守備も甘い。

端戸がフリーになっているのを、パウリーニョは集中していれば気づけたはずだし、すぐにマークしなければいけないシーンだった。

しかし、パウリーニョはただゆっくり走っているだけである。

フリーになっている端戸に寄せない。

遅れて気づき、慌てて走り出すも、すでに手遅れであり、シュートを打たれてしまう。

そのせいで失点してしまう。

どの選手の責任かと言われればパウリーニョだが、パウリーニョの集中力の低さは以前から見られる問題である。
それを改善してあげられない修正力不足、あるいはパウリーニョを使い続ける選手起用による自滅と言える。


2失点目

47:01のシーン。
ボールの流れは以下の図の通り。

ボランチに自由に繋がれ、逆サイドへ。

相手のボランチに自由にプレーさせてしまっている、という状況があまりにも危険だ。

自由にしてしまっているから、サイドチェンジされ、広大なスペースがある状態で1対1の勝負に持ち込まれてしまう。

もう少しFWが相手のボランチをしっかり見るべきだったのではないか。

渡邉がボランチを抑えてくれていれば、結果は変わったかもしれない。

もっと相手のウイングにボールが入ってくるだろう、そこでしっかり遅らせることができればと言っていたのですが、そこで1対1からのカットインシュートを決められてしまいました。藤谷壮の1対1の対応もそうですけれども、カバーリングを含めて簡単にシュートを打たせてはいけないと思っています。

監督

ということだが、これだけのスペースを相手に与えた中でもなんとかしろ、というのは藤谷が少し可哀想だ。

相手のボランチを野放しにしてしまうのも、以前からよく見られる問題であり、修正力不足による自滅と言える。


3失点目

89:44のシーン。

住田の中途半端なクリアからボールを野嶽に奪われる。

まず、野嶽に対する山本の守備が軽すぎる。
簡単にかわされてしまうのはまずい。

山本が簡単にかわされる。

ただ、それ以上に気になったのが、ルーカス・鈴木・小松の3人が前線から戻ってこなかったということ。

このシーンでは、住田が武に、常田が山本駿亮に釣り出された。

住田と常田が釣り出される。

それにより、有田へのパスコースが空き、失点してしまった。

パスコースが空いてしまう。

特に常田が釣り出されたのは痛かった。

ここでの問題は、バイタルエリアの山本駿亮がフリーだったということ。

前線から3人のうち1人でも戻ってきて山本駿亮をマークしてくれていれば、失点を防げていた可能性はあったのではないか。

誰かが戻ってきていれば…

小松はフル出場で疲れていたから仕方ないとしても、途中出場の鈴木かルーカスは戻れたはずだ。

89分、しかも同点という、絶対に失点したくない状況で、3人も前線に残っているというのは強気すぎる(というか無謀にも思える)。

だから、住田のミスだけの問題ではない。
サッカーという、ミスが起こって当たり前のスポーツにおいて、住田のワンミスが失点に直結してしまうような守備組織であるということの方がよっぽど問題である。

バイタルエリアの相手選手をフリーにしてしまうのも以前から見られる問題であり、修正力不足による自滅と言える。


4失点目

山本の中途半端なクリアが相手に奪われ、そのまま失点。

このシーンでは、パワープレーのため野々村が前線に上がっていた。

3失点目と同じく、ワンミスが失点に直結してしまったが、今回は、こういうリスクを承知の上で野々村を前線に送ったのだから、仕方がない。


まとめ

選手が上手いに越したことはないし、ミスをしないに越したことはない。

戦術が完璧なら、選手のせいだと愚痴を言いたくなるのも分からなくはない。

だが、実際のところ、完璧からは程遠いと感じる。

改善すべき部分が改善されない。
(問題点も改善案も、これまでのブログで度々紹介している)
だから、監督は十分な仕事をしているとは思えない。

にも関わらず、選手の技術不足やミスのせいだという発言を繰り返してしまう。

自分の戦術に自信があるのかもしれないし、負けが続いて余裕がなくなってきているのかもしれない。

とにかく、選手の責任にしようとしないでほしい。

「自滅」の理由は、選手というより監督にある、そんな気がしてならない。


~終わりに~

松本山雅が培ってきた守備の厳しさは、人が替わっても時代が変わっても継承されるべきだと思っていて、…

監督

普段からそう思っているかのような感じを出しているが、少なくともダービーで負けるまではそう思っていなかったのではないか。

試合をここまで観てきた限りでは、そう感じる。

内容と結果がリンクしないもどかしさは感じています。

監督

そんなことはない。
リンクしまくっている。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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