【山雅2022レビュー】vs長野|J3 第9節
2022.5.15
J3 第9節
AC長野パルセイロ
×
松本山雅FC
※本ブログ投稿時点で、第11節まで終了していますが、最新の試合についての内容ではありません。
※第10節以降は観ていない状態でのレビューとなっています。
スタメン
前節からの変更点
5-2-1-2 → 4-4-2
宮部、吉田、米原、村越 → 下川、前、安東、小松
試合展開
前節に引き続きスコアレスドローとなった。無得点の原因を各チーム振り返っていきたい。
山雅
まずは山雅の攻撃を振り返る。
山雅は基本的には攻撃時4-2-2-2の形で、前線にロングボールを蹴り、セカンドボールを拾い、そこから攻撃を展開するという流れだった。
大まかに言えば、山雅はシャドー2人とボランチ2人の計4人がセカンドボールに備えているのに対して、長野はMFの3人だったので、セカンドボールの拾い合いでは山雅が優勢だった。
無得点の原因
山雅が無得点になった原因を二つ見ていく。
原因①
一つ目は、フィニッシュワークにもう少し工夫が欲しかった、という点である。
カウンターの時に、ある程度ボールを運び、エリア外からミドルシュート、というシーンが複数あった。シュートという選択肢自体は全く悪くないし、問題にするほどのことではないかもしれないが、少し強引だなという印象も受けた。
例えば、シュートを打たずに味方のオーバーラップを待つとか、もう少し工夫があってもよかったのではないかとも感じた。
ただ、シュートを打つこと自体は、全く問題はない。工夫が欲しいというのも、強いて言えば、という話である。それよりも、次に挙げる原因の方が重要である。
原因②
二つ目は、サイドを突破する形がない、という点である。
長野は5-3-2で守っているので、当然中央は堅い。ということで、サイドを狙っていきたいが、この試合中にサイドを綺麗に崩した形は少なかった。
サイドの崩し方としては、まず、1対1で仕掛けるという方法がある。
ただ、この試合では難しかった。4-2-2-2で攻撃するということは、SBが上がってきて幅を取ることが多いのだが、山雅のSB下川や前はそこまで突破力がある訳ではない。
そういう意味では、外山がメンバー入りしていなかったのは痛かった。
他の崩し方として、2対1を作るというやり方もある。
この試合で言えば、シャドーの菊井や住田が、SBの外を周っていく形がもっとあってもよかったかもしれない。
長野
次に、長野の攻撃を振り返る。
ビルドアップ
攻撃時は、左WB水谷が中に入っていき、左IH森川が外に出ていくという形がよく見られた。右サイドでは、右WB三田がそのままサイドを上がっていた。
この状態から、中央にいる水谷や佐藤がサイドに流れてパスコースを作り、前進を試みていた。
無得点の原因
長野が無得点の原因についても二つ見ていく。
原因①
一つ目は、サイドチェンジが足りない、という点である。
特に気になったのは、アンカーの住永。
左サイドに寄っていってボールを受けた時に、左サイドの方をずっと向いてしまっていることが多い。本来であれば、左右のどちらにもパスを出せるようなボールの持ち方をしてほしい。しかし、住永は左ばかり見てしまっているので、自らサイドチェンジの選択肢を捨てていることになり、相手としても守りやすい。
(特に顕著だったのは10'25"のシーン)
住永の他には、左CB秋山も、サイドを変えずに、無理に縦パスを狙うシーンがあり、気になった。
ちなみに、ハーフタイムで住永に代わって出場した宮阪は、常に左右両方の選択肢を持ちながらプレーしており、長野の攻撃に勢いをもたらしていた。
原因②
二つ目は、空いたスペースをうまく使えない、という点である。
水谷や佐藤がサイドに流れてパスコースを作ろうとするとき、山雅のボランチのパウリーニョまたは安東が出てきて対応する。
このとき、パウリーニョと安東の間には大きなスペースができているのだが、長野の選手は、このスペースに適切なタイミングで顔を出せていなかった。(あるいは、顔を出していたかもしれないが、そこにパスを出せていなかった。)
逆に、例えば東が安東とパウリーニョの間にいる時、安東またはパウリーニョは釣られて中央に寄るので、その分反対側にスペースができるのだが、そのスペースも使えていなかった。
(住永の問題とも共通する部分である)
相手が動いたことによって生まれるスペースをうまく使っていくことは、パスを繋いで攻撃を組み立てていく上で、非常に重要である。
試合結果
AC長野パルセイロ 0
松本山雅FC 0
ハイライト振り返り
ハイライトに載っているシーンから、気になった部分をピックアップして振り返る。
試合時間80'47"~
この試合では数少ない、サイドをうまく突破したシーン。
宮部が上がっていくことで、WB水谷に対して、宮部と菊井で2対1を作ることができている。
宮部が上げたクロスは相手の元へ行ってしまうが、すぐに安東がプレスをかけ、奪い返す。そして、今度は左サイドをうまく突破する。
下川がオーバーラップすることで、WB藤森に対して、下川と安東で2対1を作ることができている。
得点には結びつかなかったが、非常にいい攻撃シーンだったと思う。
パウリーニョ
山雅の主力として試合に出続けているパウリーニョ。球際の強さに関しては非常にレベルが高い。
ただ、球際の強さで貢献している一方で、大きな弱点も存在している。その弱点を3つ紹介する。
①ボールウォッチャーである
守備の時、ボールに集中しすぎて、周りの状況を把握できていない。
②判断を間違える。あるいは、そもそも判断をしようとしていない。
「自分が今一番優先して守らなければならない場所はどこか」という判断や、「今、誰をマークすべきか」といった判断を間違えてしまう。そもそも、そういうことを考えずに、なんとなく走っているだけのように見えることがある。
③ビルドアップの時のポジショニング
第1節のレビューでも触れたが、山雅がビルドアップを行う時に、相手FWの前に立ってしまっている。
相手FWとMFの間にポジションを取ることができれば、複数の相手選手の注意を引きつけることができるので、他の味方をフリーにしてあげられるのだが、パウリーニョはそれができていない。
今回の試合において、弱点が出てしまっていたシーンを振り返っていく。どの弱点なのかについては番号で示す。
試合時間6'49"①
すぐ横にいる16森川を見なければいけないが、気づいていない。森川にボールが入ってから動き出しているが、これでは少し遅い。
10'32"①②
この状況で優先すべきはライン間のスペース。相手選手がそこで待っているが、首を振れていないので気づいていない。
13'01"②
目の前にいる8宮本をフリーにさせてしまっている。
15'46"②
22住永のところに出て行った後、元のポジションに戻るのが遅い。基本的にはライン間のスペースを空けたままにしておくのは危険である。
15'56"②
エリア内に入ってくる7水谷について行っていない。この場面、もし水谷にパスが出ていたら、失点していた可能性が高い。
21'29"②
10東のことを意識していれば、東にパスが入ったタイミングで体をぶつけることができていたはず。
24'01"①②
CB大野が飛び出して行ったら、大野が空けたスペースをカバーしてあげてほしい。
25'12"①
下川のカバーをできるように、もっとしっかり下がるべきなのだが、ジョギングしながら眺めてしまっている。下がっていれば、下川が14三田に振り切られた後、8宮本にパスを出す前に、ボールを奪えていたはずである。
28'45"③
10東の前に立ってしまっている。
58'30"③
受けるために下りすぎてしまっている。常田にボールを返した後の、パスコースの作り方も甘い。結果として、パウリーニョへのパスが相手のプレスを起動させ、プレスがはまってしまい、ボールを奪われかけていた。
どんな選手にも長所と短所があるものだが、パウリーニョに関しては、ボランチであれば当然求めたいレベルの仕事をできていないことが多い。失点に直結していてもおかしくないなと感じるシーンが多いのである。
よりレベルの高い相手になれば、見逃してもらえなくなる可能性は非常に高い。
余談
今回は、実際の試合のシーンを多めに取り上げました。投稿時点では、まだDAZNで試合を観ることができるので、時間があればそのシーンを振り返ってもらえたらと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。