【山雅2022レビュー】vs八戸|J3第15節
どうやら八戸のチーム名は「ヴァンラーレ八戸」ではなく「ヴァンラーレ八戸FC」らしい。(知らなかったの自分だけ?)
そんな八戸戦の試合展開と、この試合で見えてきた、山雅の「こだわれない」部分について、振り返る。
2022.7.2
J3 第15節
ヴァンラーレ八戸FC
×
松本山雅FC
※本ブログ投稿時点で、第17節まで終了していますが、最新の試合についての内容ではありません。
※第16節以降は観ていない状態でのレビューとなっています。
~スタメン~
~試合展開~
山雅は試合を通して何度もフォーメーション変更を行っていた。
八戸の攻撃について最低限触れた後、山雅の守備についてフォーメーション毎に振り返る。
八戸の攻撃
八戸は山雅WBの背後をかなり狙ってきていた。
攻撃時はSHが絞り、SBが上がってくる。
SBに対して、山雅WBが寄せに来たところから攻撃が加速していく。
例えば、右SBの小牧に対してWBの外山が寄せに来たとき、右SH丹羽が、外山の背後を狙う。
丹羽に対してCB常田がついて来たら、それによって空いたスペースをFW佐藤碧が狙う。
このような連動によって、サイドを何度も突破していた。
山雅の守備
山雅はこの試合だけで5-3-2、5-2-1-2、4-4-2、5-3-2と形を変えていた。
それぞれのフォーメーションのときの守備対応を振り返る。
・5-3-2
八戸SBに対して、IHが寄せていける時は、WBが釣り出されなくて済むのだが、IHが寄せていけないときに、WBが釣り出されてしまっていた。
そもそもだが、MFの人選から少し不安を感じた。
この試合のMFの3人は菊井、住田、パウリーニョだった。
まず、菊井と住田は、IHとしては、球際の強さと攻→守の切り替えのスピードが物足りない。
そして、パウリーニョは、球際の強さはあるが、周りの状況を把握し、状況毎に適切な立ち位置をスムーズに取れていないことが多い。
安東のような、球際の強さと予測力の高さを両立できている選手が一人もいない。
だから、自らアクションを起こして積極的にボールを奪いにいくような、いわゆる「いい守備」が生まれない。
安東がいないのであれば、前をMFで起用してもよかったと思う。
前は球際の強さと予測力の高さを両立している選手なので、チームとして、ある程度の守備強度を保つことが出来たかもしれない。
菊井と住田に関して、守備への意識が特に甘いと感じたのが、1'57"のシーン。
相手がロングボールを蹴ってきたので、二人とも戻らなければいけないのだが、戻るスピードが遅い。
ただボールの軌道を眺めているだけになってしまっていた。
「5バックの前のスペースを3人で守ろう」というのが5-3-2というシステムのはずだが、このシーンでは広大なスペースをパウリーニョだけで守らなくてはならなくなっている。
このシーンでは大野がヘディングでうまくパウリーニョへ繋いでくれたから良かったが、ボールのこぼれ方次第では、相手にボールを拾われ、ピンチになっていてもおかしくなかった。
「味方のDFが競り勝ってくれるだろう」「パウリーニョがなんとかしてくれるだろう」という甘さがあるのではないかと感じた。
MF以外にも、2トップの守備も気になった。
いつもであれば小松が少し下がってきて、相手のボランチをマークしてくれることが多い。
しかし、この試合ではその頻度が少なかったように感じた。
・5-2-1-2
19分ごろから、菊井をトップ下に置いた5-2-1-2に変更する。
5-2-1-2にしたことで、八戸SBに誰が行けばいいのか全くハッキリせず、SBを常にフリーにしてしまっていた。
結局WBが八戸SBに対して寄せていくしかなく、当然その背後を狙われていた。
・4-4-2
62分、佐藤と浜崎を投入し、4-4-2に変更する。
この変更のおかげで、SBが相手SHを、SHが相手SBを見ることになり、外山や前が大きく釣り出されるということは少なくなった。
ただ、守備が安定したかと言われれば、そうではなかった。
4バックに変更したにも関わらず、SB外山が5バックとの切り替えがうまくいっていなかったのか、WBであるかのような、少し高めかつワイドにポジションを取っていることがあった。
そのカバーのために常田が中央からサイドに流れ、中央にスペースが出来てしまっていた。
・5-3-2
橋内、宮部を投入し、再び5-3-2に変更し、逃げ切りを図る。
5バックに戻したことで、八戸SBに対してWBが釣り出されるシーンは見られたものの、交代で入った選手たちを中心に、なんとか守り切っていた。
~試合結果~
ヴァンラーレ八戸FC 0
松本山雅FC 1
73' 下川
~ハイライト~
~こだわれない部分~
ビルドアップの問題
山雅のビルドアップに関して、局所的にうまくいったシーンはあったものの、全体的には安定していたとは言えない内容だった。
浜崎と佐藤を投入して、4-4-2に変更してから、多少改善されたようにも見えた。
ただ、それはチームとして良くなった、というよりは、浜崎と佐藤がアドリブで頑張っていた、という感じだった。
浜崎と佐藤は、うまくパスコースを作ってパスを受けることができ、そしてうまくパスを出していける選手たちなので、その特徴がうまく噛み合ったという印象である。
山雅のビルドアップにおける根本的な問題は、パウリーニョがパスコースを作る意識が低い、ということである。
相手FWとMFの間のスペースに立ち、相手2トップの間を通すようなパスコースを作ってあげる、ということを出来ていないことが非常に多い。
全く出来ていないというわけではないが、出来ない頻度が少し高すぎる。
これが出来ないと、山雅は中央からの展開を選択肢として持てなくなり、サイドからの展開しかできなくなってしまう。
中央を使われないと分かっていれば、相手からすると当然守りやすい。
結果として、うまく守られている中で、下川が強引に相手DFの背後にボールを蹴るしかなく、横山がそれを頑張って追いかける、みたいなシーンが多発してしまう。
これまでは安東がある程度うまくやってくれていたのだが、この試合では安東がいないので、パウリーニョの問題が際立ってしまっていた。
チームの問題
パウリーニョのポジショニングに関しては、開幕節から継続して見られる問題である。
もし、ポジショニングに関して何らかの指示が出ているのであれば、いい立ち位置を取るためにもっと急いで移動する姿が見られるはずである。
だが実際のところ、パウリーニョはジョギングでゆっくり移動しているだけのことが多く、動きに意図が見えづらい。
そのため、現状では、ポジショニングに関する指示はパウリーニョに対して出ていないのではないかと思う。
ボランチは中央でプレーするので、あらゆる方向の選手たちと関わっていくことができるポジションである。
だからこそボランチのポジショニングはトップレベルに重要だと思っている。
そして、そのボランチのポジショニングにこだわれていないという部分に、チームとしての危うさを感じる。
~終わりに~
ビルドアップは、ボランチがある程度適切にポジショニングを取れることが大前提になる。
だからこそ、その前提が成立していない状況では、ボランチ以外の選手について触れていくことが難しい。
とはいえ、なるべく多くの選手にフォーカスして書いていきたいと思っているので、次回以降は他のポジションの選手にも注目していきたい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。