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【山雅】小松の今後を憂う|J3第14節【レビュー】

イングランド・プレミアリーグが好きで全試合観ている戦術オタクによる、松本山雅のレビュー。



2023.6.17
J3 第14節

松本山雅FC
×
カマタマーレ讃岐



監督・選手のコメント↓


~スタメン~

山雅(緑):4-2-3-1
讃岐(白):4-2-3-1


~はじめに~

ここ数試合、山雅は攻撃時、シンプルにロングボールを多用していた。

以前はボールを保持して繋いで攻めようとしていたものの、ほとんど相手の守備を崩すことができていなかった。
そして勝ち点を多く落としてしまっていた。
だから、ビルドアップに関しては、できないと諦めていたのだと思っていた。

繋ぐことは諦め、ただ昇格だけを目標に、ロングボール主体の現実的なサッカーに切り替えたのだと勝手に考えていた。

ただこの試合では、再びボールを保持して繋いで崩そうとしていた。
そして再び、相手の守備をほとんど崩せないまま試合が終わっていた。

ゴール前にたくさんボールを供給して、相手のペナルティエリアの中にたくさん入れて、惜しいシーンもたくさん作れたので、点を取るということに関しては非常によくなっていると思います。

監督

というコメントがあったが、ゴール前にたくさんボールを供給できたのは、ゴールの遥か遠くから雑にクロスを入れ続けていたからだ。

サイドを特に崩すわけでもなく、ただシンプルにクロスを放り込んでいた。

だから、ペナルティエリアの中にボールが入る回数は多かっただろう。
しかも、相手はJ3の下位チームだから、雑にクロスを入れるだけでも、惜しいシーンを作ることができていた。


でもそれでいいのだろうか。

仮にJ2に昇格できたとして、クロスを放り込むだけのサッカーが通用するのだろうか。

いや、そんなことはないはずだ。
J3よりはるかにレベルが高いであろうJ2のチームに対して、単純にクロスを入れるだけの戦い方がうまくいくとは思えない。


~必要な改善~

チーム全体のやり方は変えないにしても、個人レベルで改善できると思う点がいくつもある。

そのうち、中心選手の菊井と小松について挙げるとすれば、

  • 菊井のポジショニング

  • 小松のビルドアップへの絡み方

以前からブログで度々触れていることではあるが、なかなか改善が見られない。


・菊井のポジショニング

菊井は攻撃時のポジショニングが甘いと感じられることが多い。

例えば、69:30のシーン。

パウリーニョがボールを持った時、菊井はポジショニングが甘く、パスが来たらCB宗近に寄せられてしまうような位置に立っている。

CB宗近から十分な距離を取れていない。

だからパスがもらえない。

もう二歩ほど下がるだけでも、パスをもらえたかもしれない。

宗近からもう少し離れれば、パスを受けることができていただろう。

また、直後の69:32のシーン。

喜山にボールが渡る。
やはり菊井は宗近に寄せられてしまいそうな位置に立っている。

宗近との距離が近い。

だからパスがもらえない。
ここでも、もう二歩ほど下がるだけでも、パスをもらえたかもしれない。

もう少し宗近と距離を取りたい。


菊井は、ボールを前向きで持ってしまえば、本当にうまい。
ただ、そもそもボールを受けることができなければ、もちろん何もできない。

J3で戦っている今ですら、菊井はポテンシャルに見合った活躍をできていない。
もしJ2で戦うことになったら、菊井は相当苦しむのではないか、という不安がある。

そうならないためにも、ポジショニングを改善したい。


・小松のビルドアップへの絡み方

小松は、相手のボランチの間に下りてきてビルドアップに絡むという動きが少ない。

たまにしている時(あるいはしようとしている時)もあるが、本当に必要な場面でそれをできていないことが多い。

例えば、23:59のシーン。

敵陣で、住田がボールを持っている。

このとき小松は、相手のボランチの間に下りてきてパスを受けてほしかった。

下りてきて受けたい。

そうすれば、村越に良い形でボールを渡すことができたはずだ。

村越へ繋げば、一気にチャンスに。

それを見て相手も必死に戻るだろうが、小松はゴール前の空いたスペースに走り込み、村越からリターンパスを貰えばいい。

エリア内でフリーかつ前向きでシュートを打てる。

このように、小松が一度下りて受けることで、結果的により簡単に得点を取れるようになる。

小松は普段、最前線でクロスを待っていることが多い。
ただ、遠くから上がってくるクロスを相手CBと必死に競り合いながらなんとかシュートを打つのと、エリア内でフリーでシュートを打つのとでは、明らかに得点のしやすさが変わってくる。


同じように、小松が下りて受けていれば決定機ができたかもしれないと思えるようなシーンが、1試合の中だけでも何度も見られる。

つまり、決定機を作るチャンスを何度も逃しているということである。
これは致命的なのではないだろうか。

小松はもっと効率的に得点を量産していくことができるはずだ。


~試合結果~

松本山雅FC      2
38' 滝  60' 小松
カマタマーレ讃岐 0


~小松は今のままで本当に大丈夫か~

ボールを持つことはできていても、相手の守備を崩すことはできない。

そんなサッカーでも、J3だから勝ち点を稼げている。

でもJ2では通用しないだろう。
そんな簡単な世界ではないはずだ。
きっと残留争いに巻き込まれる。
(補強次第かもしれないが)

J2に上がったとして、主導権を握るサッカーをやってみるもうまくいかない。
となれば、ここ数試合のように、堅守速攻、とにかく前線にロングボール、そしてとりあえずサイドからクロス、というサッカーに転換せざるを得ないタイミングがきっと来る。


そうなった場合、小松はポジションを守ることができるだろうか。


小松は「パワー系のFW」の中では比較的パワーが控えめな方だと思う。
そんな小松が、J2のDFたちに対して、今と同じように競り合いで圧倒し、存在感を出し続けるのは難しいのではないか。

オフザボールの動きが改善されてきているのは感じるが、それが活きる展開は作りづらいのではないかと思う。
小松にもっとスピードがあれば話は変わってくるが、そういうわけでもない。

ロングボール主体のサッカーになってしまう場合、小松では厳しい、という判断になってもおかしくない。

小松ではパワーが足りない、となった結果、ルカオのような、よりフィジカルに優れた選手を補強して、小松の代わりにロングボールやクロスのターゲットとして起用するだろう。

あるいは、横山歩夢のような、スピードがあって一人でカウンターを完結できる選手を連れてくるかもしれない。

いずれにしても、小松よりも単独でなんとかできる力を持っている選手に居場所を奪われる可能性が十分考えられる。


小松だけでなく菊井もそうだ。

菊井のポジショニングが悪いままの場合、佐藤和弘のような、技術もある上でポジショニングも素晴らしい選手を補強して、菊井はメンバーから外されてしまうかもしれない。

また、堅守速攻を重視する場合、前貴之のような、菊井より守備面で信頼できて走力のある選手を連れてきて起用するようになるかもしれない。

菊井も今のままでは危ういのではないかと思う。


二人ともJ2では絶対的な存在ではなくなる可能性がある。
だから今のうちに成長しておきたい。

菊井はポジショニングを改善しておきたいし、小松はもっとうまくビルドアップに絡めるようになっておきたい。

逆に、これができるようになれば、J2でも十分すぎるくらい通用する選手になれるはずである。


~終わりに~

小松や菊井の活躍にケチを付けたいわけではないし、ヘタクソと罵りたいわけでもない。
むしろ応援したいと思っている。

応援したいからこそ、今後のことを考えると不安になる。

中心選手として活躍している二人が、次の年には急に試合に出られなくなるなんてことになったら、自分は寂しい。

成長できれば問題ないのだが、これまでの試合を観てきた感じだと、今後もあまり変わらないような気がしてならない。

今のままで本当に大丈夫だろうか。
(そもそも昇格できるのだろうか。)


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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