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【山雅2022レビュー】vs富山|J3第32節


山雅の失点シーンを中心に振り返り、常田の適正ポジションについて考えていく。


前回の対戦↓




2022.11.6
J3 第32節

カターレ富山
×
松本山雅FC



~スタメン~

富山(青):4-2-3-1
山雅(緑):5-3-2


~試合展開~

お互いにビルドアップがうまくいっていなかった。

富山がチャンスを作っていたのは大体カウンターだった。
山雅は、後半途中で4-4-2に変更し、ロングボール主体の戦い方にシフトしてからシュートシーンが増えていった。


~失点を振り返る~

失点シーンを元に、山雅の問題について振り返る。


失点①

そもそも、林堂のフリーキックがうますぎた。

そのフリーキックを与えてしまったのは小松だが、失点を小松のせいにしたくはない。
むしろ、よく戻ってきて守備をしてくれたなと思う。
(もちろん、ファウルしないで守備することに越したことはないが)

小松が戻らなければ、姫野にフリーでボールを持たれ、ピンチになっていた。


それよりも気になったのは、直前の山雅のビルドアップである。

29:47のシーン。
ビクトルから常田にパスが出る。

このとき、誰も常田からのバックパスのコースを作っていない。
今回は、大野かビクトルのどちらかが、常田の後ろにパスコースを作ってあげてほしいが、それが見られない。


バックパスのコースがない。

そのため、常田は前方に運んでいくしか選択肢がなくなってしまう。

後ろに下げれないので、前に行くしかない。

これはつまり、サイドチェンジの選択肢がなくなってしまうということ。

富山の選手たちは、サイドチェンジされないと分かっていれば、常田のサイドへ選手たちが寄っていき、守備ブロックの密度を高めて守ることができる。

そうすることで、パスの出し先が見つからず、常田は前線の横山に放り込むしかなくなり、ボールを失っていた。
(このシーンで住田はフリーで待っていたが、常田からすると、安東と被っていたため、パスを出せなかったのだと思う)

常田は前に蹴るしかない。


失点②

2点目も相手のフリーキックから。

今回も、山雅のビルドアップが原因でフリーキックを与えてしまっていた。

37:58のシーン。
大野がボールを持っていて、そこにWB外山がライン間から下りて受けにくる。

外山が下りてくることで、富山の右SH松岡は、外山に注意が向き、引き寄せられる。
それにより、サイドで張っている常田にスペースを与えてあげることができる。

外山の動きに松岡が釣られ、常田がフリーに。

この流れ自体は綺麗だし、山雅がWBを中に入らせるような可変を取り入れているのも、これが狙いなのだと思う。


ただ、問題なのは、サイドで張っているのが常田であるということ。

常田は、おそらく、プレッシャーを受けている中でのプレーが相当苦手なのだろうと思う。
このシーンで、常田は、大野からのパスを、寄せてくる右SB大畑から逃げるように、後ろ向きにトラップしてしまう。
(映像ではそう見えにくいが、少なくとも、前方へプレーしようという意欲は、常田からは全く感じられない)

後ろ向きに。

常田にもっと心の余裕があれば、ライン間で待つ小松や、裏へ走る横山へのパスを狙えたのではないかと思う。
ただ、常田は逃げるように後ろに下がろうとした結果、ドリブルが大きくなりすぎたところを奪われ、ファウルで止めてしまう。

逃げようとして失敗し、ボールを奪われる。

もし、サイドで張っているのが、落ち着いてボールを持てる選手であれば、最低限、大野へボールを返すという選択くらいは取ることができたはず。


今回の失点は、常田個人の問題とは考えづらい。
サイドを上がっていってプレーするのが常田は苦手であり、その苦手なことをさせてしまっているというチームの構造に問題があると感じる。


失点③

46:08の、富山のスローインのシーン。
大畑の投げたボールを、松岡、アルトゥール・シルバと繋ぎ、アンカー安東の横で、FW安藤が受ける。

このとき、田中パウロには、安藤についていってほしかった。

5-3-2であれば、アンカーである安東の横のスペースは、基本的にIHである田中パウロが守らなければいけない場所である。

アンカーの横のスペースは、IHがケアしたい。

ここ最近大活躍している田中パウロがスタメンで使われないのは、守備面の課題があるからなのだと思う。
献身性は高いが、どこを守るべきかという判断が甘いように見える。


そして、その後の46:22のシーン。
常田が右SH松岡に1対1を仕掛けられ、抜かれてしまう。

シーズン通して山雅を見ていて、常田が1対1で抜かれてしまう回数が、無視できないレベルで多いなと感じる。


失点④

カウンターからの失点。

安東のパスミスからカウンターが始まっているのだが、安東のパスミスは仕方ない。
安東が下川にパスを出そうとした瞬間に、下川が逆の方向に動き直したため、パスミスという形になってしまった。

二人の意図が合わなかっただけなので、割り切るしかない。


その後のカウンターで、またしても松岡に右サイドを突破され、クロスを上げられてしまっている。
ただ、松岡に対応したのが、FWの榎本だったため、仕方ない部分もある。
むしろ、カウンターの時に自陣ゴール前まで戻ってきてくれた榎本(に限らず、田中パウロなども)は評価されるべきだと思う。


ゴール前の山雅の人数は十分だった。
松岡が上げたクロスも、しっかり篠原が弾き返している。
それがたまたま相手の前にこぼれてしまっただけなので、この失点に関しては仕方ない。


~試合結果~

カターレ富山 4
33' 林堂  40' 林堂  47' 神山  67' マテウス レイリア
松本山雅FC   3
73' オウンゴール  82' 常田  90+1' 榎本



~常田の適性~

この試合、失点シーンの多くに関わっていた常田だが、左CBというポジションは果たして常田に合っているのかと考えると、そうではないように見える。

現時点では、常田の適正ポジションは、3バックの中央だと思う。

攻撃面と守備面で、それぞれ理由がある。


攻撃面

まず、攻撃面での理由は3つ。


一つ目は、攻撃参加が得意ではないということ。

2失点目の部分で説明したように、常田はプレッシャーの中でのプレーを苦手としている。
そもそも、ボールを扱うこと自体が苦手なのではないかと思う。
キックはうまいが、それ以外のプレーは得意ではなさそうに見える。

今の山雅では、左右のCBがどんどん上がっていくことが求められているが、常田がサイドで高い位置を取ったとしても、常田はそこで何か違いを作り出せるような選手ではない。

常田はDFの選手なので、ドリブルで仕掛けたり、スルーパスを出したり、コンビネーションで崩したりといったプレーを持ち味にしている選手では当然ないのだが、それを求められるような場所に置かれてしまっている。


二つ目は、運ぶドリブルが苦手だということ。

3バックの左右でプレーする場合、自分がフリーの状態で、目の前にスペースがあれば、ドリブルで運んでいくプレーが求められる。

フリーであれば、ドリブルで運んでいくべき。

運んでいくことで、相手選手を釣り出すことができるし、相手選手を釣り出せば、味方をフリーにすることができる。

相手のSHを釣り出せば、サイドで待つ味方がフリーになる。

しかし、常田は、ドリブルが苦手で、相手からプレッシャーを受けることを極端に嫌がってしまう。
そのため、自分がフリーだとしてもドリブルで運ばずに、すぐパスを出してしまうことが多い。

ただ、そうすると、相手を釣り出すことができていないため、味方が相手からの厳しいプレッシャーを受けてしまい、苦しむことになる。

相手を釣り出せていない状況で味方にパスを出しても、味方が困るだけである。


三つ目は、3バックの中央であれば、常田の良さが生かせるということ。

ビルドアップにおける常田の特長はロングフィードである。
中央であれば、そこから左右のどちらのサイドにも蹴り分けることができる。

トッテナムのエリック・ダイアーや、チェルシーのチアゴ・シウバのようなイメージで、常田も中央で起点になれるのではないか。
(中央だとしても、相手のプレッシャーにある程度は対処できてほしいところではあるが)


守備面

守備面での理由は2つ。


一つ目は、1対1を仕掛けられると弱いということ。

3失点目の部分でも触れた通り、常田は1対1を仕掛けられると、結構簡単に抜かれてしまう。

左CBでプレーしていると、味方WBの背後を狙われた時にはサイドに出ていって対応しなければいけない。

WBの背後をカバーしなければならない。

そのため、自然と1対1を仕掛けられる回数は増えていく。
その度に常田は苦労している印象がある。


二つ目は、3バックの中央であれば、クロスの対応に集中できるということ。

一つ目の話と似ているが、常田が3バックの中央でプレーする場合、左右どちらのサイドから攻められたとしても、常田は基本的にサイドまで出ていかず、中央に残る形になる。

そうすれば、常田はクロスの対応に集中することができ、競り合いの強さという常田の特長をより生かすことができる。

競り合いの強さを生かし、ゴール前を守る。


まとめ

現時点では、常田は3バックの中央の方が合っているように思える。
(大野が中央ではダメとか、そういう話では全くなく、あくまで常田単体で考えた場合の話です)

中央の方が、常田の特長を生かすことができる。

もし、今後も左CBとしてプレーするのであれば、ドリブルと1対1の守備の改善はマストだと言える。


~終わりに~

藤枝はここ3試合で2分1敗と、相当取りこぼしてくれている。
それでもまだ不十分というのが切ないところだが、とにかく、祈るしかない。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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Rubin|山雅blog
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