【山雅2022レビュー】vs愛媛|J3第13節
スーパーゴール2発で負けてしまった愛媛戦。
守備における選手たちの課題と、失点を防ぐことはできなかったのか、ということについて振り返っていきたい。
2022.6.18
J3 第13節
愛媛FC
×
松本山雅FC
※本ブログ投稿時点で、第15節まで終了していますが、最新の試合についての内容ではありません。
※第14節以降は観ていない状態でのレビューとなっています。
スタメン
試合展開
・愛媛の攻撃
愛媛は4バックとボランチでボールを回しながら、SBが高い位置を取っていく。右SBの森脇は外側にいることが多いのに対して、左SBの内田は、内側に立つことが多いのが印象的だった。
そして、積極的に山雅DFの裏を狙い、ロングボールを送ってきていた。
・山雅の守備
裏を狙ってくる愛媛の攻撃に対して、山雅の守備はそんなに悪くなかったと思う。
チャンスを作られていなかったわけではないが、DF陣が集中して裏へのケアをできていた。
愛媛があまりサイドチェンジをしてこなかったのも大きい。
一度右サイドにボールが入ったら、そのまま右サイドで攻め切ろうとすることが結構あった。
サイドを変えずに攻めようとすると、山雅からすれば、マークの受け渡しをしなければならない場面が発生しにくくなるので、比較的守りやすかったのではないか。
・各選手の課題
よく守っていた山雅だが、選手ごとに課題もある。
菊井、小松
無理やりプレスをかけに行ってしまう癖が治らない。
推測だが、二人とも、自分がプレスに行ったときには、絶対に後ろの味方は連動してくれるという前提で動いてしまっているのではないか。
もちろん連動することは大事なのだが、連動が間に合う時と間に合わない時がある。
間に合わないのは集中力が足りないからとかではなくて、試合の状況次第でそうなってしまうのである。
28'19"のシーン。
菊井と小松が強引にプレスをかけてしまう。
まず、菊井が出ていくことで、右SB森脇がフリーになる。
もし、森脇がもう少し低めのポジション取りをしていたら、森脇にパスが入り、前向きでボールを持って、自由に配球することができていただろう。
外山は連動して森脇に寄せていたが、間に合っていなかった。
それはおそらく、右SH佐藤のことを見ていたからだろう。
そして、小松が出ていくことで、ボランチ田中が空いてしまう。
安東は連動して田中に寄せていたが、間に合っていなかった。
それは、直前まで小松が田中へのパスコースを切っていたはずなのに、小松が出て行ったことにより、パスコースが急に空いてしまい、反応が遅れたからである。
そのせいで、田中に時間を与え、縦パスを通されている。
小松は、菊井と同じタイミングで行くのではなく、一度我慢するべきだった。
そうすれば、安東が田中までスライドする時間が稼げる。
プレスに行くのであれば、横谷が鈴木に対してパスしてから出ていくべきだった。
このシーンでは最終的に相手のパスミスのおかげで難を逃れたが、そうでなければ大ピンチだった。
下川
味方CBの背後を守る意識が弱い。
まず4'10"のシーン。
大野との間が大きく空いていて、危険に見える。
そして、直後の4'18"のシーン。
大野の背後に入ったFW進のことを見れていない。
今回は、クロスが上がった時にギリギリで対応できてはいるが、もっと早い段階で寄せておいてほしい。
この課題は以前から見られていたものだし、第7節のレビューでも触れている。
下川は様々な役割を起用にこなせるいい選手だが、この課題に関しては改善してほしいポイントである。
・田中パウロと横山
一方、山雅の攻撃に関してだが、まず、田中パウロはこの試合も良かった。
タメを作るのも上手いし、クロスの精度も良く、小松の決定機を演出するシーンもあった。
また、菊井との連携がとても良かった。
11'08"の、ワンツーから菊井がミドルシュートを打ったシーンはいい攻撃だった。
25'07"のシーンも、まず田中パウロがスペースを見つけてうまくパスを受けたところから、菊井が動き出し、そこに田中パウロがタイミング良くパスを出して、最終的に安東の決定機に繋がっている。
(両方ハイライトに載っているので、見返してみてほしい)
田中パウロほど、菊井の動きをよく見て、それに合わせてあげられるような選手は、今の山雅にはいないかもしれない。
二人の連携のシーンでは、菊井は活き活きとしているように見えた。
田中パウロと交代で入った横山はどうかというと、こちらも非常に良かった。
得点を決めた時のシュートも上手かったし、サイドでの1vs1の仕掛けもキレキレだった。
自信に満ち溢れたようなプレーをしていて、頼もしかった。
田中パウロと横山は、どちらの方がいいとかではなく、どちらも良かった。
いつか一緒にプレーする試合が観たいものである。
・ぎこちないビルドアップ
いいプレーをしていた選手もいた一方で、チームとしては、相変わらずビルドアップに苦しんでいた。
時々見せていたのが、ボランチの一人が最終ラインに下りて、下川がサイドに張り、前が中へ入ってくるというような可変の形だった。
3トップ以外の7人、あるいは、時には菊井も下りてきて8人が低い位置でビルドアップしているため、相手も無理にはボールを奪いに来ない。
そのためパスは回っているが、そこからどう崩していきたいのか、明確な形が見えない。
このビルドアップの形が分かりやすく出ていたのが22'15"~のシーンと58'25"~のシーンだが、どちらも、結局下川が小松に放り込むだけである。
どちらも1vs2(小松vs愛媛DF)になっているため、この状況でパスを受けても、小松は基本的にはどうしようもない。(2つ目のシーンでは相手の対応ミスでパスが通っているが)
選手たちの良さを引き出すために、ビルドアップの形はしっかり整えてあげてほしい。
試合結果
愛媛FC 3
27' 松田 73' 茂木 81' 佐々木
松本山雅FC 2
53' 横山 90+1' 宮部
ハイライト振り返り
ハイライトに載っているシーンから、気になった部分をピックアップして振り返る。
試合時間25'58"~
1失点目のシーン。
下川に関して、味方CBの背後を守る意識が弱いという課題を挙げたが、それが失点につながってしまったシーンである。
愛媛FW松田が、大野の背後に入ってきていた。
この時点で、下川は松田のことを見なければいけないのだが、下川が全力で松田を止めようとしているようには見えなかった。
もっとしっかり寄せていたら、シュートブロックできたかもしれないし、そもそもシュートを打たせずに済んだ可能性もある。
松田のことを大野に任せすぎていたのかもしれない。
あるいは、下川がボールウォッチャーで、松田のことを認識できていなかったかもしれない。
防げなかったのか
今節は3失点を喫し、内2つはスーパーゴールだったわけだが、防ぐことは不可能だったのだろうか。
個人的には、少なくとも1、2失点目は防げる可能性があったと思っている。
1点目は、ハイライトで振り返った通り、下川の意識次第で防げていたかもしれない。
2点目に関して。
フリーキック自体は止めようがないが、フリーキックを与えずに済んだ可能性はある。
そもそも大野がファウルしてしまったのが勿体無いというのはあるのだが、もう一つ、気になるポイントがある。
それが、69'40"の、小松のプレーである。
相手のバックパスと同時に、一気にCB鈴木までプレッシャーをかけに行くが、そのせいで、ボランチの田中にフリーの状態でパスが入ってしまう。
山雅からすると、右でも左でも中央でも、どこから崩されてもおかしくない、危険な状況である。
これも、小松の課題として挙げた、強引にプレスに行ってしまう部分が出てしまったシーンである。
押し込まれていた状況だったので、鈴木は自由にさせてもいいから、まずはチームの守備ブロックを整えたい場面だった。
小松が強引にプレスに行ってしまうのはずっと変わっていないので、チームからは何も言われていないのかもしれない。
ただ、行くべきタイミングとそうでないタイミングを判断できるようになれば、より守備が安定するはずである。
個人の意識次第でなんとかなる失点に関しては、なるべく減らしていきたいところである。
終わりに
もちろん守備だけでなく、攻撃面でも課題は多いのだが、これ以上書くと長くなりそうなので、またどこかで触れられたらと思います。
まだまだ山雅には改善点が多いが、その分強くなれる余地がある。
昇格だけでなく、J2でも戦えるようになることを見据えて、チーム作りが進んでいったらいいなと思う。
最後まで読んでいただきありがとうございました。