【山雅2022レビュー】vs愛媛|J3第23節
この試合の山雅は、前半はビルドアップがうまくいっていたのに、後半はできなくなってしまった。
前後半それぞれのビルドアップと、なぜ後半はうまくいかなくなってしまったのかについて、振り返る。
2022.9.3
J3 第23節
松本山雅FC
×
愛媛FC
※第24節以降は観ていない状態でのレビューとなっています。
前回の対戦:【山雅2022レビュー】vs愛媛|J3第13節
~スタメン~
~試合展開~
山雅のビルドアップについて、前後半に分けて振り返る。
うまくいった前半
前半の山雅は、ビルドアップの際に可変を行っていた。
具体的な動きとしては、
ボランチのパウリーニョが最終ラインに下りる
トップ下の菊井がボランチの位置に下りる
右WB下川が中へ入ってくる
右CB野々村がWBのようにサイドに開き、上がっていく
といった感じであった。
2トップのルカオと横山は、少し左サイドに寄っていることが多かった。
菊井と佐藤が、愛媛のFWの背後で良いポジショニングを取ることで、うまく最終ラインの味方からのパスを引き出していた。
そして、前線の選手たちにうまく配球していた。
そのおかげで、前半はビルドアップがうまくいくシーンを作ることができていた。
一つ気になったのは、下川のポジショニング。
下川にはもう少し上がっていって、ライン間に立ち位置を取ってほしかった。
下川がライン間に立つことで、愛媛の左SB高木は、下川と野々村の二人を見なければいけなくなる。
この状態で、例えば常田がボールを持ったときに、下川が裏へ走ったとする。
下川には、当然だが高木がついていくことになる。
このとき、高木は野々村のことを見ることができず、フリーにしてしまう。
そうすると、常田から野々村へ、一気にロングパスを通すことができる。
下川が高い位置を取ることで、常田のロングフィードの能力を活かすことができていたのではないかと思う。
うまくいかなかった後半
後半は、ビルドアップの際に可変をしなくなる。
パウリーニョが最終ラインに下りることがほとんどなくなっていた。
菊井をライン間に残しておきたかった、ということだろうか。
CBの野々村を上がらせないようにすることで、3人のCBでしっかりカウンター対策をしたかった、ということだろうか。
理由は分からないが、とにかく、可変を行わなくなっていた。
そして、そのことにより、後半は後方からのビルドアップがうまくいかなくなってしまった。
うまくいかなかったのは、可変をやめることで、パウリーニョが中央に残るようになったから、というのが大きい。
なぜうまくいかなくなるのか、主な理由を2つ挙げる。
・理由①
一つ目は、パウリーニョがパスコースをなかなか作ろうとしない、ということ。
具体例として、59:00~59:15の一連のシーンを振り返る。
まず、野々村に対して、パウリーニョはパスコースを作ってあげることができない。
その後、大野に対しても、パスコースを作ろうとしない。
そして、常田がボールを持った時の、佐藤との距離感も悪い。
佐藤と近い位置にいれば、佐藤経由でパスを受けることができ、チャンスになりそうな場面だが、パウリーニョはそれができない。
最後に、外山に対しても、パスコースを作ることができない。
その結果、外山は雑に前に蹴るしかなく、愛媛にボールを奪われてしまう。
この一連の流れの中で、佐藤は、ずっと走りながら、パスコースを作ろうと努力し続けていた。
一方で、パウリーニョは、ずっと、なんとなくゆっくりジョギングしていただけである。
ボランチがこれでは、ビルドアップは当然うまくいかない。
・理由②
二つ目は、パウリーニョが、縦パスを通すべきタイミングで通せない、ということ。
例えば、62:11のシーン。
パウリーニョが佐藤からパスを受けた時、ライン間にいる菊井への縦パスのコースが空いている状況だが、菊井へパスを出すことはできず、佐藤へ返すだけになってしまった。
縦パスを出せるタイミングで出せなければ、ビルドアップは苦しくなる。
~試合結果~
松本山雅FC 2
40' 横山 90' 榎本
愛媛FC 1
55' 三原
~ハイライト~
~うまくいく理由を分かってない~
振り返った通り、うまくいっていた前半の形をわざわざ変えたことで、後半はビルドアップがうまくいかなくなってしまっていた。
なぜ変えてしまったのかと考えると、推測だが、「うまくいく理由を分かってない」からではないか、と思う。
うまくいく理由を分かっているならば、形を変えることはなかったはず。
あるいは、うまくいく理由を分かっていて、あえて形を変えたのであれば、後半の形ではうまくいかないということも分かるはず。
だとしたら、後半は、例えばルカオにロングボールを送り込むような、パスを最小限に抑えるサッカーをするはず。
これらが見られなかったということから、「うまくいく理由を分かってない」と推測することができる。
この試合で言えば、大雑把にまとめれば、
うまくいっていたのは、佐藤と菊井が中央でプレーしていたから。
うまくいっていなかったのは、佐藤とパウリーニョが中央でプレーしていたから。
パウリーニョはビルドアップに関わるのが苦手な選手なので、後半うまくいかなくなってしまったのは、当然と言えば当然ではある。
~終わりに~
前半のビルドアップは、完璧とまではいかないが、今季の山雅の中ではかなり良い方だったように思える。
前半のようなサッカーを今後も続けることができれば、主導権を握ることができるし、チャンスの数も増えてくるのではないだろうか。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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