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【山雅2022レビュー】vs鹿児島|J3第20節

互角と言ってもいいような試合内容だっただけに、悔しい敗戦となった。
この試合における山雅の守備と、勝ち点を持って帰ることもできたのではないか、ということについて振り返る。


2022.8.14
J3 第20節

鹿児島ユナイテッドFC
×
松本山雅FC


※第21節以降は観ていない状態でのレビューとなっています。
前回の対戦:【山雅2022レビュー】vs鹿児島|J3 第3節

~スタメン~

鹿児島(紺):4-2-3-1
山雅(緑):4-4-2

~試合展開~

鹿児島の攻撃と、それに対する山雅の守備を中心に振り返る。

鹿児島のビルドアップ

鹿児島は基本的に4バックでビルドアップを行うが、時折可変を行い、3バックでのビルドアップも織り交ぜていた。

・通常時(4バック)

多くの場合、ボランチの中原が少し高い位置を取り、4-3-3に近い形になっていた
トップ下のロメロフランクがライン間を自由に動きながらパスを引き出していた。

中原が上がり、木村のワンボランチに。

そこから、SB薩川・星が攻め上がることで、攻撃に厚みをつけていた。

・可変時(3バック)

アンカーの木村が最終ラインに加わって3バックを形成することが何度か見られた。
この時は、中原がボランチの位置に戻り、両SBは高い位置を取っていた。

木村が下りて、3バックに。

山雅の守備

鹿児島の攻撃に対する、山雅の守備対応について見ていく。
後半改善が見られた理由についても振り返る。

・前半(4-4-2)

前半、山雅は4-4-2の形で守っていた。

鹿児島が4バックでビルドアップしている時は、山雅の守備はそこまで悪くなかった。
どの選手がどの相手をマークするか、というのが明確になりやすかったからではないかと思う。

マークの対象
・山雅FW → 鹿児島CB
・山雅SH → 鹿児島SB
・山雅SB → 鹿児島SH
といった感じで、迷いなく守備を行うことができたシーンが多かった。

山雅の選手たちの役割が明確になりやすい。

ただ、問題だったのは、鹿児島が3バックに可変した時である。

相手が3バックになることで、2トップのルカオと横山は、どの相手選手にプレスをかければいいのか、迷いが生じてしまう

右SH佐藤が3バックの内の1人に寄せていくシーンもあったが、チーム内でそのやり方が共有されたものではなかったのか、あまり効果的ではなかった。

ルカオと横山が、プレスのかけ方に迷ってしまう。

結果として、チームとしてプレスをかけていくことができなくなり、押し込まれる展開を作られていた。

その展開の中で、狙われていたのが、山雅SBの背後である。

基本的にSBは相手SHに対して対応していた。
その時空けてしまうスペースに対して、鹿児島の選手が内側から飛び出して狙ってくることが多かった。
CB常田や大野は、FW有田を見なければいけなかったため、カバーすることが難しい状況だった。

SBの背後を狙われる。

このようにして崩されるシーンが複数見られていた。

・後半(5-3-2)

山雅は、ハーフタイムで佐藤との交代でCB橋内を投入し、システムも5-3-2に変更した。

この変更により、山雅の守備は、より機能するようになった。
機能した理由は、主に2つ考えられる。

機能した理由①
一つは、プレスのかけ方が明確になった、という点。
具体的には、左IH菊井がプレスをかけに前線に出ていくというやり方で統一されていた

前半は、相手が3バックに可変した時に、プレスに迷いが見られていたが、後半ではそれがなくなっていた。

後半のプレスのかけ方は、以下のような形だった。

・鹿児島が4バックの状態のとき
左IH菊井が、相手の右SB星に寄せていく。
ルカオと横山は、相手のCBへ。
右WB下川あるいは右IH住田が、相手の左SB薩川へ。

鹿児島が4バックの時の、山雅のプレス

・鹿児島が3バックに可変したとき
左IH菊井が、相手3バックの内の1人に寄せていく。
ルカオと横山は、相手3バックの残りの2人へ。

鹿児島が3バックに可変した時の、山雅のプレス

相手が4バックにしろ3バックにしろ、「菊井が出ていく」という、明確なプレスの形を持つことで、迷いなくプレスをかけることができていた。

機能した理由②
後半の守備が機能したもう一つの理由は、前半に狙われていた、山雅SB(後半はWB)の背後へのカバーをできるようになった、という点。

左右のCB常田・大野は、鹿児島のFW有田を橋内に任せることで、WBの背後を狙う選手に対して、積極的についていくことができるようになっていた

外山の背後を常田がカバー。
FW有田に関しては、橋内がマーク。


2失点はしたものの、後半の方が安定感のある守備を見せていたのではないかと思う。

山雅の攻撃

この試合では、今までの試合と比べるとパスがよく繋がり、うまくボール保持をしているシーンが多かった。

それは、MFとして先発した菊井、佐藤、安東、住田、そして途中出場の浜崎、山田の全員が、絶えず動き直しながら、ボールを持つ味方のためにパスコースを作り続けていたからだと思う。

これらの選手それぞれが、場面ごとに考えながら、うまくパスを引き出すことができていた。

ただ、ボール保持はするものの、攻撃のスイッチを入れる縦パスを入れるということに関しては、苦労しているように見えた。

(長くなりそうなのでこの辺にします)


~試合結果~

鹿児島ユナイテッドFC 4
7' 広瀬  35' 有田  87' 木出  90+1' 山本
松本山雅FC      2
45+2' 横山  49' ルカオ

~ハイライト~


~勝ち点を拾えた可能性~

終盤の2失点で負けてしまったが、この試合は引き分けに持ち込めたのではないか
相手の3, 4点目は防げたのではないだろうか。

4点目は、明らかに外山のポカだが、試合終了間際でリードを許している、という状況による焦りがあったはず。
つまり、3点目がなければ、4点目もなかったと考えられる。

そこで、3点目について振り返る。

3点目の責任

外山が木出にカットインを許し、そのままミドルシュートを決められる。

3点目のシーン

このシーンで、木出のカットインを許してしまったのは、外山のせいではない
15番の渡邉が外山のすぐ後ろに走り込んできていたため、外山は渡邉へのパスを警戒し、ついて行くしかない状況だった。

同様に、失点は常田や浜崎の責任でもない
常田が渡邉について行くのも、それに伴って浜崎が常田と橋内の間のスペースを埋めるのも、自然なプレーである。

外山・常田・浜崎の守備対応に問題はなかった。

では、この失点は誰の責任かと言うと、それは菊井になる。

菊井はこのシーンでは、守備に関与することなく、眺めているだけになってしまっていた。
しかし、このシーンでは木出のカットインのコースを菊井が防ぐべきだったし、それがIHとして当然行うべきタスクでもある。

菊井がいるべきだった場所

これができていれば、失点を防げた可能性は高い。

できたかもしれない予防策

失点のシーンだけを見れば菊井の責任だが、菊井を責めきれない部分もある。

菊井はすでに疲れ果てていたのではないだろうか。
途中から、結構バテてしまっているように見えた。

そうであれば、交代させるべきだった。
(そうでないなら、失点はシンプルに菊井の責任だが)
ただ、この試合で山雅は交代枠を全て使い切っていた。

一つ気になるとすれば、63分の安東→浜崎の交代である。

安東は(個人的には)今の山雅のボランチの中では最高の選手なので、怪我でもない限りはピッチ上にいてほしい選手。
その安東を早々に交代してしまっていたのだが、この交代枠を使わずに取っておけば、菊井のために使えたのではないか。
(映像で見た限りでは、安東が怪我をしたようには見えなかった)

そうすれば、3点目を防ぐことができたのかもしれない。

そして、引き分け以上の結果を手にすることができたかもしれない。

~終わりに~

惜しい試合だったが、山雅の攻撃力を考えると、こんなもんかな、とも思える。
ビルドアップの形、特に横山のポジショニングに関してはもっと改善できるはず。
山雅が強くなる余地は、まだ十分に残っている。



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Rubin|山雅blog
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