【山雅】vs長野|J3第10節【レビュー】③
イングランド・プレミアリーグが好きで全試合観ている戦術オタクによる、松本山雅FCのレビュー。
2023.5.13
J3 第10節
AC長野パルセイロ
×
松本山雅FC
※コメントは以下より引用しています。
~スタメン~
~はじめに~
前回のレビューの続きになります。
今回は守備面について振り返る。
~プレス~
山雅のプレスがハマることもないわけではなかった。
例えば、26:30のシーン。
各選手が相手選手を捕まえて、うまくプレスがハマる。
ただ、このように守備がハマるシーンはあまり多くなかった。
~主導権を握れない理由(守備編)~
監督の試合後コメントにもある通り、セカンドボールを拾うことができなかった。
だからこそ主導権を握れなかった。
なぜセカンドボールを拾えなかったかといえば、やはりDFラインが低いからではないかと思う。
例えば、27:17のシーン。
GK金がロングボールを蹴り、そのセカンドボールを拾われる。
その結果、最終的にエリア内でフリーでシュートを許し、あわや失点というシーンを作られている。
このとき、DFラインが低いせいで、DFとMFの間に大きなスペースができてしまっている。
パウリーニョと、セカンドボールを拾った近藤との距離が遠いので、パウリーニョはプレスバックが間に合わない。
そうならないように、もっとDFラインを高く保つべきだったのではないか。
そうすれば、進はオフサイドだし、近藤や三田に対しては、DF陣が寄せることができていたはずだ。
それを嫌って長野の選手たちがポジションを下げれば、今度はパウリーニョのプレスバックが間に合うようになる。
ハイプレスはするがハイラインはできない、そのせいでピンチになる、というのは、ただの自滅のように見える。
~当たり前すらできない~
戦術以前に、選手個人としてやるべきことをできていない場面が目立つ。
戻りが遅い
・鈴木
10:08のシーン。
三田がボールを持ち、佐藤へパスを出すことが容易に想像できる場面である。
このとき、鈴木にはすぐに戻って佐藤をマークしてほしかったが、鈴木はなんとなく走っているだけだった。
・パウリーニョ
12:13のシーン。
菊井がパスミスし、相手にボールを奪われ、非常に危険なシーン。
CBが相手の攻撃を遅らせている間に、本来ならパウリーニョには全力ダッシュで一刻も早く進に寄せてほしいところである。
だが、パウリーニョは誰かに何かを指示しながら、小走りで戻っているだけである。
パウリーニョからは危機感を感じられなかった。
・菊井
12:18のシーン。
先程のシーンの続きである。
ここから、進が菊井の外を上がっていく。
このとき、菊井には進についていってほしいが、そうすることはなかった。
視野の広い菊井なら、左SB山本が戻りきれていないことに気づいていなかったということはないはずだが…
・山本
27:24のシーン。
図のように、危険な状況である。
山本には、全力で戻って進のマークについてほしかったが、そうすることはなく、なんとなく小走りで戻るだけだった。
このシーンでは、常田・野々村・橋内がとにかく中央に絞ってサイドの杉井を経由させることにより、わずかだが相手の攻撃を遅らせることができていた。
そうする目的は、もちろん味方が戻ってくる時間を稼ぐためである。
だが、今の山本は、その期待に応えられていない。
ちなみに、山本ではなく下川や藤谷だったとしても、全力で戻ってはこなかったかもしれない。
(そういうイメージが湧いてこない)
逆に言えば、全力で戻ることができれば、激化しているSBのポジション争いで優位に立つことができるだろう。
ゴール前の守備
38:58のシーン。
杉井がポケットで受け、野々村が釣り出される。
このとき、CBの間に大きなスペースが空く。
このスペースを本来ならボランチ(このシーンではパウリーニョ)に見てほしい。
だが、このシーンでは、スペースに入ってくる進に対して、パウリーニョは全くついていってくれない。
また、相手がクロスを上げる時、ボランチの選手たちはエリア内の対応に追われ、バイタルエリアの選手を見る余裕はないことが多い。
だから、トップ下の鈴木には、バイタルエリアの選手を見る意識をもう少し強く持ってほしい。
虚しい
当たり前だと思うことをなかなかやってくれない。
特にパウリーニョと菊井は、細かいシーンを挙げ始めたらキリがない。
今のサッカーで勝てると思っているということなのか。
今のサッカーをしていて、「最終的に優勝を」というようなコメントが選手たちから出てくることは不思議だ。
(そう言うしかないのだろうけど)
「こんなチームを自分は応援しているのか…」と、虚しい気持ちになる。
プロであっても、案外こういう部分を疎かにしている。
しかし、むしろこういう部分をしっかりやることができれば、チームは確実に強くなるし、選手としての価値も上がる。
そのことに気づいてくれればいいが…
~試合結果~
AC長野パルセイロ 2
32' 秋山 79' 山本
松本山雅FC 1
90+3' 小松
~4バックは合わない~
常田と野々村のCBコンビを見ていると、4バックは合わないのではないかと思う。
理由の一つとしては、先程挙げたように、相手FWに対して、オフサイドを取ろうとするのではなく、しっかりついていこうとしすぎるところである。
チームのやり方にもよると思うが、今の山雅はハイプレスをかけるので、ズルズルとDFラインを下げてしまうのはきつい。
もう一つの理由としては、判断力や対応力が危ういというところである。
特に野々村は気になる。
78:20の、2失点目のシーン。
山雅の右サイドで宮部に対して1vs2を作られている状況。
野々村が加勢して2vs2で守りたいところなのだが、この時の野々村の対応が良くなかった。
このシーンでは、宮部も野々村もボールを持つ森川を見てしまい、杉井をフリーにしてしまった。
そして、その杉井からのアシストで失点してしまった。
この場面で取るべき選択は、
宮部が杉井を、野々村が森川を見る
宮部が森川を、野々村が杉井を見る
のどちらかだったと思う。
どちらにせよ、宮部の後方にいる野々村が、宮部に指示を出し、対応すべきだった。
だが、結局二人とも森川を見てしまったということは、野々村から宮部への指示がなかったのだろう。
この失点シーンは、野々村一人だけの問題ではない。
安東がもう少しCB間のスペースをケアしてくれれば…
村越が得点者の山本大貴にもう少し寄せることができていれば…
そもそも菊井が頑張って杉井のオーバーラップについてきていれば…
など、いろいろ思うことはあるが、今回挙げたようなプレーに限らず、野々村の危うさはどうしても時々露呈してしまっている。
野々村にはもう少し安定感が欲しい。
常田や野々村には、4バックより5バックの方が合っているのではないかと感じる。
無理にラインを上げるよりは、どっしり構えて守る方がやりやすいだろうし、5バックであれば、例えミスがあってもゴール前で必死に身体を張って守ればある程度は失点を防げるかもしれない。
(特に常田はゴール前で身体を張って相手のシュートコースを塞ぐ守備が本当に上手い)
理想を追い求めるか現実を見るか、という選択が重要になる。
理想を求めて今の守備を継続するなら、DFラインを高く保つことを徹底した方がいい。
現実を見るなら、5バック(である必要は必ずしもないが)でしっかり守りたい。
次の試合では、チームとしてどのような結論を出したのかを見られるかもしれない。
~終わりに~
応援の仕方は人それぞれだと思うが、自分の場合は、
選手たちが活躍する姿を見たい
勝って喜んでいる姿を見たい
と思って応援している。
少しでも力になれたらな、とも思う。
自分に何ができるかと考えると、やはり発信することくらいしかない。
どこがどうダメなのか
どうすれば良いのか
どの選手が改善しなければいけないのか
一見戦犯に見える選手は本当に戦犯なのか
ということを発信していくことはできる。
自分は普段から世界トップレベルの欧州サッカーを好きでよく観ている。
だから、自分の個人的な感想というよりは、
「あの選手・あのチームならこうやってるし、そうすればうまくいくのにな」
という視点で考察することができる。
1人でも多くの人に、今の山雅について伝えられたらと思う。
(あわよくば、何かの間違いで選手本人に届いて、改善のヒントになったりしたらとても嬉しい)
ただ、今の自分には発信力がまだまだ足りない。
フォロワーが少ないので、「なんか知らん人がブログ上げてんな」くらいの感じで、そもそも興味を持ってもらえていないかもしれない。
こんな感じで、時々レビューを取り上げてもらえていて、今後も読む価値があると思ってもらえるようなものを書いていきたいと思っています。
ですので、よろしければTwitterのフォローをしていただけると大変嬉しいです。
(既にしてくださっている方々、本当にありがとうございます)
少しでも自分に興味を持ってもらえるように、ここで一つ、唐突な自己開示をしたいと思います。
東西南北で言えば、西野派
以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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