「紙の動物園」
「紙の動物園」(短編集『「紙の動物園」からの表題タイトルの一編)
ケン・リュウ著
再読版
登場人物は、アメリカ人の父親と英語が話せない中国人の母親。そして、その子供ジャック。
母親は、包装紙を折り紙のように、折って、虎の形を作る。そして、完成した折り紙に命の息を吹き込む。そうすると、折り紙の虎は、鳴いたり、動いたりする。ジャックは、喜んで遊ぶのだけど、小学生の高学年になると徐々に、自分の姿が、東洋人であることで、差別を受けていることに気づき、英語を話さない母親を疎ましく思う。
ジャックが、大学を卒業して、就職しようという時に、母親は亡くなってしまう。
恋人といっしよに、母親の荷物を整理した時、母親が、ジャックに宛てた手紙を見つける。そして、母親のことを想い出して、奇跡を目の当たりにする。
何度も読んでも、母親の愛情に涙する。暖かく、切ない話。
自分が、母親に対してやっていた数々の非礼を思い出す。一方で、親となった自分は、子供に対して、責任を果たしてこれただろうか?という反省。