カフェのBGMだけじゃ足りないもの #ハッピーになるかもしれない朝エッセイ
とるにたらない話だけれど……
今朝、冬休み明けの娘が、夫に車で送ってもらうので、いつもより早い時間に登校した。
やった、久しぶりの一人時間。
それもいつもより、30分ほど長い。
一人分のコーヒーを淹れ、デスクに座った。
読みかけの本の続きでも読もうかな。
じゃあ、何かBGMが欲しいな。
YouTubeで某有名カフェチェーン風BGMを見つけたので、かけてみる。
なるほど、軽快で耳障りのいい、まさに有名カフェで聞こえそうなメロディと、店舗の映像が流れてきた。
さて、まずは数日ためてしまった日記を書こうと、日記を開きかけ、
ん、何かが違う……
スタバ(あ、言っちゃった)ってこんなにBGMが大きかった?
YouTubeのボリュームを下げてみる。
うーん、違う。
しばし考えて気がついた。
ああ! 雑音か!!
店員さんの声や、食器をカチャカチャする音、人の話し声やキーボードをたたく音がないと、BGMだけではちょっと物足りないのだ。
もちろん、こうやって文章を書いているとき、映画やテレビのような、はっきりとした言葉が聞こえてきたら、そちらの言葉と頭の中で浮かぶ言葉がごちゃごちゃに混ざってうまく言葉にできないが、不思議なもので、カフェのような雑音は気にならない。
ネットで調べたら、カフェの雑音のような70デシベルくらいの音の中で作業すると捗るという統計もあるみたい。
確かにそうなのだろうけど、その説は、私にはどうもしっくりこない。
ときどき、朝早く、スタバの開店時間と同時にくらいの時間に行く。空いていて席が確保しやすく、ご時世、適度な距離感を保てるし、オフからオンへのスイッチの切り替えにもなるから。
たまに、あまりに早く着いてしまうと、店内に客が私一人ということがある。ラッキーと思いつつ、実はちょっと居心地が悪い。
BGMも、店内のしつらえも、店員さんの動きも、ふだんと変わりがないのに、がらんとした広い店内に一人というのは、とても落ち着かない。持ってきたパソコンも開けず、ずっとスマホでSNSを見ちゃう。
しばらくたって、ほかのお客さんが来る。店員さんが客に話しかけ、食器の音が響き、客同士が会話したり作業したりする音が聞こえ始めると、私もやっとパソコンを開き、作業を始める。
どうやら、雑音がないと、さみしいらしい。
多分、それは誰かがそばにいる安心感。かかわってほしいわけじゃない。でも、人がいるだけで、少し空間の温度が上がる気がするのだ。
YouTubeでBGMを流しても、どこか物足りないのは、その安心感がないからか。
なるほどと納得した。
夫、早く帰ってこないかな。
家族とずっといると一人になりたいと思うくせに、一人になったらさみしいと思うなんて、勝手な話だ。
ずずっと冷えたコーヒーをすすって、カップを机に置くと、ごとんと、いつもより大きな音が部屋に響き渡った。