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自転車に乗る
天気が良かったので、自転車に乗ってみた。
私の愛車は、娘が高校時代に乗っていた自転車のお下がり。
たまにしか乗らないので、毎回、蜘蛛の巣を払い、空気を入れないといけない。
目的地の産直まで1.5キロメートル。ペダルに体重をかけて、自転車を漕ぎ出す。
空き地の草むらの脇に差し掛かると、スズメの大群が草むらから一斉に飛び立った。
12月になったといえど、今日は風に暖かさがある。ダウンジャケット、マフラー、イヤーマフラーまでつけてきたが、要らなかった。
数十メートル漕いだところで、じんわりと背中に汗をかいてきた。漕ぎながら、マフラーとイャーマフラーを外して、カゴに放り込む。
100メートルほどしか進んでいないのに、じわじわと太ももの前面が痛くなってきた。息も上がる。日頃の運動不足を痛感する。ハンドルについた自転車のペダルの重さの切り替えを見ると、6段階の2。悔しいけれど、一番軽い1に切り替える。前回乗ったのはいつだろう。数ヶ月前? そのときより筋力が落ちているという証拠。ショック。
ペダルは軽くなったが、スピードがうんと遅くなる。
まあいいか、急いでいない。安全運転。のんびり風景を見ながら行くことにした。
自転車に乗るのは楽しい。
高校時代は3年間自転車通学だった。
学校帰りに、寄り道して帰るのは楽しかった。幹線道路から一本、二本奥まった生活道路を散策して、書店や雑貨店を見つけるのが好きだった。自分だけの秘密の場所を見つけたみたいな優越感があった。友人にも場所を教えずに、一人でこっそり通ったりした。
地方暮らしの大人は、数メートル先に行くのにも車に乗る。車を持っているのに、徒歩や自転車で移動することは滅多にない。私もそうだ。なんなら、「歩いたら負け」くらいに思っている。
健康維持には、睡眠と栄養と運動と言われる。睡眠と栄養はまあなんとか及第点だと思うが、問題は運動。
運動オンチで、学生時代、どの種目も苦手。
同年代の友人は、週末、テニス教室に通ったり、山登りをしたりして、定期的に身体を動かしているのが少しうらやましい。
一方私は、どの運動種目にも興味がもてない。準備やら移動やらを考えると、めんどくさいが先に立つ。
じんわり汗をかきながら、息を切らして自転車をこぐ。うんしょ、うんしょと坂を登り、小さな橋を渡る。ペダルを漕ぐのをやめて、惰性で下る。
なんだ、自転車を漕いで買い物に行くのも、立派な運動じゃないか。お金もかからないし、買い物もできて一石二鳥。運動って要は一定時間継続して体を動かせばいいのだから。
帰りは野菜や花をつめたエコバッグをカゴに乗せて、再び、カラカラとペダルを漕ぐ。
家の近くまで帰ってきたら、道沿いの弁当のテイクアウト専門店が、昼の弁当の見切り品を半額にして売っていた。和牛カルビ焼肉弁当が360円だった。ラッキー。
車だったら気づかず通り過ぎてしまっただろう。自転車できてよかった。
帰って食べた。おいしかった。
この冬の間は、もっと自転車に乗ろうと思う。
ペダルの重さは、1から3くらいになりたい。
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