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雑草の国に住む ~#花束郵便~
油断すると、どこもかしも雑草に侵食される。いや、ファンタジーじゃなくリアルの話。
コンクリートの隙間、浄化槽のマンホールの隙間、植木の回り。特に、この季節は雨が降るごとに、緑がもくもくと大きくなる。
緑が全くない街はさみしい。人は緑を食べないと健康に生きられない。
だけど、我が家の隙間に生えてくれなくて結構。
雨の日、玄関先の排水溝のコンクリートブロックの隙間にはびこったコケのような植物を踏みつけて、危うく滑って転びそうになった。もう少しで後頭部をしこたまぶつけて、死ぬところだった。コケ殺人事件なんて笑えない。
踏んづけたコケは、無残にも地面でバラバラになったが、またしばらくすると元どおり、今日も、コンクリートブロックの隙間にびっしりと生えている。
我が家の雑草は、年々その力を強くしているような気がする。真冬の強い北風にも、まるで海風に髪をなびかせる美女のように悠然と吹かれ、アメリカジャスミンの鉢植えの土の上に、至極、当たり前のように鎮座している。
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ふと考える。雑草は、「地球」という名前のRPGの「勇者」なのではないだろうか。
山に住んでいる友人が言っていた。
人が手入れをやめて放棄した空き地が、夏を越えると、見事に雑草で覆いつくされるそうだ。そのまま放置すると、いつしか自然に還っていくのだろう。
そんな浄化作用のある雑草たちを、忌々しげに引っこ抜き、ゴミ箱に放り込むとき、ふと魔王のような邪悪な気持ちになる。
その上、私は、どんな植物でも枯らすことのできるブラックハンド。
もしかすると、雑草たちは世の中の植木が魔王ブラックハンドによって全て枯らされてしまわないよう、世界の緑を魔の手から守るため、戦っているのかもしれない。
いや、逆に、勇者・雑草のボスが、世の名を全部緑色にしてしまう、魔王・グリーンだということもありえる。そしたら、今度はブラックハンドが勇者なのか? もはや、どっちが正義なのか分からない。
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たなかともこさんの企画に寄せて書きました。
とても難しかった! 結果、オマージュともパロディとも言えないものになってしまいました。せめて、ご笑納ください。
ともこさん、素敵な企画をありがとうございます。
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