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「脱山川」って何!?日学理事2年間の軌跡

自己紹介

どうも〜、京葉OLクラブ/桐嶺会の田中基成です。
自意識過剰なので「どうせみんな俺のこと知ってるやろ」と思っていますが、ついに30歳になり学生からの認知度が下がってきたのを感じているため自己紹介します。

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・京葉OLクラブ/桐嶺会 所属
・筑波大学2013年度入学
・元 日本学生オリエンテーリング連盟 幹事
・元 オリエンティア 𝗔𝗱𝘃𝗲𝗻𝘁 𝗖𝗮𝗹𝗲𝗻𝗱𝗮𝗿 運営者(※2023年度に運営離脱済)
・現 日本学生オリエンテーリング連盟 理事(2023-)
・2024年度全日本選手権ME ミドル42位/ロング49位
・タコ寄りオリエンティア夫婦(嫁がかわいい)
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新婚旅行@チェコJWOC併設、ふたりとも初海外遠征でした

アドベントカレンダーには毎年記事を出していますが、今年は去年度から担っている「学連理事」業務について書こうかと思います。
「学連理事」と言うと、「なにやってるのか分からん/知らん」「どうせ頼まれて受けた名前だけポジションでしょ」とか思われていそうな役職(僕も就くまでそうでした!)ですが、この記事が相互理解の一助となれば幸いです。

※この記事は「オリエンテーリング Advent Calendar 2024」の24日目です


【参考】過去の日学理事記事
何で学連理事なんてやってるの? 続けてるの?(一橋2007/齋藤翔太)

就任のきっかけ ~おさそいは突然に~

日学理事が人員不足/世代交代不全に長年あえいでいたのは認識していたけども、
・そろそろ30歳、そろそろ結婚するしなぁ
・自分はこの界隈の遊軍ポジでいたいしなぁ
と色々やらない理由を盾にし、のらりくらりと暮らしていました。

そんなところに飛んできた爆弾は、友人・瀬川出氏からの依頼。
どこかの大会会場(どこか忘れた)で突然近寄ってこられて、
「もとなりさん~、日学理事やりません?」
「うぇ…俺に来たか。ちなみになんの仕事があるの?」
『脱山川』担当理事です」
「…10年前から議論進んでなさそう笑。じゃあ自分のケツ拭きとしていっちょやるか~」
という感じで受けました。あっけなし、盾はどこへいったのか。

『脱山川』(詳細後述)は自分が日学幹事だった10年前にも学連課題として上がったものの、当時は力不足で決着をつけられなかった懸案でした。
瀬川氏は同年代で、その幹事会に同席していたメンバー。かつ、当時JOA改革に尽力してた彼からの頼みを断ることは、男として出来ません。日本オリエンテーリング界は、今日も、これまでも、こうした仁義のつながりに支えられています。(と私が勝手に思っている)

先週瀬川氏(+さとーさん)と一緒に走った筑波なちけんロゲ。こうした付き合いも10年目ですね。

そもそも「日学理事」とは?

日学理事の役割は以下の2点だと考えています。
①日本学連全体に対するオブザーバー/アドバイザー
※社会人の視点で組織運営をアドバイスする。過去に決着がついた議論が再燃し、車輪の再開発状態になるのを防ぐ。
②学生によるハンドリングが難しい課題を担当し、論点整理と議論推進を行う。

「日本学生オリエンテーリング連盟」という学生団体の弱点は
・4年間でメンバーが入れ替わるため、ノウハウが蓄積されにくい
・学生組織のため、一般社会常識的な感覚が希薄

の2点であり、理事会はその弱点を補完する存在だと考えています。そう見ると、うまく出来ていますね。

今年度の理事会、それぞれに役割が付与されています。天野さんは現役弁護士!(つよい)

以降の章で、自分が担当して推進してきた業務について、具体的に述べていこうかと思います。

【業務実績①】脱山川(=日学外部委託事業の整理・契約化)

「脱山川」とは?

ネーミングがイケてないですよね、「脱山川」。俺が名付けたんじゃないよ。
長年この界隈にいる人からは「あーアレね。はいはい」と分かるけども、そうでない人からはなんのこっちゃ?と思われること間違いなし。そして、この課題の本質も投影されていない。
実態に即せば「日学外部委託事業の整理・契約化」が正しいネーミングだと思います。
以下に詳細を述べていきます。

「脱山川」の「山川」ことYMOE社の山川克則氏、通称「山ちゃん」である(全日本2022運営にて)

日本学連の外部委託事業の現状

日本学連は様々な事業を外部の事業者に委託しています、具体的には以下です。
――
・日学事務所借り受け
・日学所有資材の管理
・日学保有テレインの渉外管理、地図修正、地図印刷
・インカレ、地区セレクションの運営
――
そして、これまでその全てを受注していたのが山川克則氏率いるYMOE社です。
いまでこそ上記の「日学外部委託事業」の一覧をスラスラと並べられますが、この課題に着手した断面では誰もが「まあ、こんな感じじゃない…?」とふわっとした枠組みで認識していました。

ここで勘のいい社会人なら疑問符が浮かぶでしょう、『委託事業内容の定義がされていない?契約書はどうなっているの…?』と。

そうです、上記に並べた事業は一切が契約化されていませんでした。もちろん契約書もなく、具体的な委託業務内容も定義されていません。そんな状態で数十年間事業が継続され、学生とYMOE社間でふわっと決められた仕事が毎年委託され、その報酬として百万円単位の金が日本学連からYMOE社へ動いています。
これは一般社会の常識に照らし合わせると明らかに異常事態です。しかし、このYMOE社が一括で受注し日学に必要な事業をその「大きな愛」によりコントロールするという体制は小さなオリエンテーリングムラの文化にフィットしており、その状況・YMOE社に長らく甘えてきました。そのため、YMOE社を批判する意図はありませんし、YMOE社が批判される理由もないでしょう。しかし…

ここで勘のいい社会人なら疑問符が浮かぶでしょう、『この状態で不測の事態によりYMOE社が事業継続不可になったら、日本学連の運営は破綻するのでは…?』と。

そうです、まさにその通り。ここが「脱山川」を成さなければいけない最たる理由です。「脱山川」とはYMOEを日学から締め出すようなマイナスニュアンスではなく、「日本学連の継続可能性確保のために、日本学連の外部委託事業を他事業者も受注可能な状態に整理すること」を目的とするプロジェクトです。また、「日本学連の運営破綻」は誇張表現でもなんでもなく、日本学連が財政収入の多くを栃木テレインの地図売上で賄っている都合上、栃木テレインの地域渉外破綻は日学の財政破綻に即時直結します。

また、契約の話が強く絡んでくるため、契約実務を実行したことがない学生ではこの課題の担当は難しい。実際、10年前に当時学生の自分も取り組みましたが、議論をまとめ切ることができませんでした。そのため今回、議題を推進する専属理事として私が立てられた経緯があります。

これらの状況を踏まえ、私が日学理事就任とともに渡された「脱山川」の正体を整理すると、
「不測の事態によりYMOE社が機能しなくなったら、日学も即時機能不全に陥る。かつ、委託事業内容が不明瞭なため、他事業者に継承することもできない。」
という課題であり、その解決手段が先に述べた
「日学外部委託事業の整理・契約化」
です。
そして、この課題解決によって達成すべきゴールは
「日本学連の持続可能性(サステナビリティ)確保」
になります。

※「山ちゃん」こと山川克則については、以下の記事を参照ください↓↓↓

山川さんと私

「脱山川」は有名(‽)な業界課題でたびたび議論の俎上に上がるものの、そのたびに担当者は力尽き、話は立ち消えてきました。それはなぜか。「山川さんの人格」に尽きます。
いつ連絡しても「いまは忙しい」の一点張り、どうにか面着で捕まえても話が1秒で横に吹っ飛び本題が進まない。この課題に向き合うことの大切さを幾度となく説いても、「俺以外にこの仕事(特に地域渉外)できる人はいないよ」と解決策もなく流してくる。
これを目の前にするとこれまでに逝った過去担当者の顔が空に浮かんできます、涙が出る。

一方、その担当のお鉢が今回自分に回ってきた理由も分かります。
山川さんと自分は付き合いも長く、互いの性格のままにズケズケとものを言い合うことができる関係です。どれくらいズケズケ言うかというと、山川さんは学生当時セレに落ち、速報板の前で打ちひしがれている自分に対して「もとなり落ちたんか!計センで見てたけど遅かったもんな!」と他の人に聞こえる大声で声をかけてくるくらいです。一方、自分は「忙しいと言う割に、Twitterにはいますよね。その時間で質問に回答してください」と正面で言えるくらいにはズケズケしています。仲が良いですよね。
そんな関係性だったので、この仕事が回ってきたときには「俺以外にこの仕事できる人はいないか」と考え、(既に本論点に対する理解も深かったので)引き受けたわけです。輪廻は廻る。

日学外部委託事業の整理
この業務を開始するに当たり、まずは日本学連がYMOE社にどんな業務を委託しているのかを明確化し、契約可能な単位に整備する必要があります。その検討の際に作成した資料が以下の一枚絵です。

山川さんとの頭が痛い対話の末、ひねり出した結晶

この整理を元に、必要な契約書を作成します。契約書の作成は日学理事・リーガルアドバイザーである天野理事に頼り切りでした。
厄介だった一例として、山川さんが「日本学連副会長」という発注側の立場にも就いていたために、そのまま契約化すると利益相反に当たることがありました。そのため、今回は「覚書」として作成し、報酬は「日本学連副会長」に対する報酬という形にしようと天野理事から助言を受けるなどをしました。
私は指摘をいただくたびに「たしかに!」と叫びながら細かいところを直していた気がします。ありがとうございます。

山川さん倒れる

そんなこんなで2024/6に事業内容の整理と契約書の作成が完了、あとは幹事会・総会承認を取るだけ。これで俺の担当職務は完了~~んひょ~、意気揚々とその幹事会に向かっていた車内に一報が届きます。
「山川さんが倒れた。これまで山川さん本人が担ってきた業務は継続が難しい」と。

その時、僕が作成していた契約書は対YMOE社の内容であり、それが叶わないのであれば幹事会承認を取る意味はありません。その夜に開催された幹事会でなんの対応のしようもなく、「俺は今日なにしに来たんや」と思いながら先に述べたような課題と解決の方向性の共有に留めました。

この幹事会の夕食はもりもりの自炊、若い人とワイワイして楽しかったです

急転直下、想定から大きく外れる事態となりましたが、なによりも日学事業の建て直しです、でなければ運営破綻が待っています。すぐに日学テレイン利用申請の新規受付を停止し、事業者を含む関係者を集めて対応を協議しました。
(このへんは乱雑に動いていたので、時系列の記憶があまりありません)

そこで栃木在住の坂野(坂野山遊地図企画)に注目が集まったのは、言うまでもありません。

また、この断面で新理事として手を上げてくれた根岸理事を迎えました。そしてキャパオーバーが迫っていた自分は、何も知らない根岸理事に対して「お、君にはちょうど任せたい仕事がある!」と、脱山川関連全体のコントロールと、契約書の再整備を任命します。この流れがなかったら多分自分は一旦潰れていました、ありがとう根岸理事。
(根岸理事に仕事を分担してもらい、自分は日学事業の建て直しに専念しました。)

栃木在住家持ち異常独身男性

坂野は長年所属していた東京理科大学金町キャンパスの近くに住んでいましたが、いつの間にか日光市内の借家に移住し、さらにはいつの間にか一軒家を購入して定住していました。しかし、それは決してYMOE社の受注業務を担うためではなく、「栃木の仕事が多いから」でした。自分もこれまで何度か坂野に「YMOE社の仕事を分担するつもりはない?」と打診していますが、「うまみがない」と事業者として至極当然な回答が返ってきていた記憶です。
(to坂野、違ったら指摘してくれ)

栃木在住家持ち異常独身男性(右)の自宅庭でのBBQ、寂しがっているので遊びにいってあげましょう

事態が事態なので、坂野に「とりあえず日学の地域渉外業務と地図印刷業務を担当して欲しい」と単刀直入に依頼したところ、即承諾の回答をいただけました。漢です。
そして、山川さんの渉外資料を探す中で日学渉外部にそれなりの資料があることが明るみに出ます。なんでこれまでその存在が明るみに出ていなかったのかはさておき、坂野とその資料により日学の栃木テレインは1ヶ月後に利用申請受付再開を迎えます。奇跡的な運びですが、これには坂野の「とりあえずいけそうなんで、再開しましょう」という漢気あふれる意見によるものです(私は障害リスクを踏まえ、建て直すまでは再開すべきではないという消極派でした)。オリエンティアは栃木テレインを利用するたび、坂野ハウスに肉と酒を捧げにいきましょう。

そんなこんなで、一旦YMOE社が担っていた業務を坂野山遊地図企画社に委託する形で契約書を根岸理事が再整備。9月の日本学連総会にてその内容が承認される運びとなりました。

「脱山川」の進捗状況と残課題

この9月の日本学連総会決議により、「脱山川」は概ね達成されたと考えています。実際、山川さんが栃木テレインの地域渉外と印刷を担えない現状でも、日本学連はこれまでと変わらずに組織運営を回すことができています。これも「坂野、栃木に移住」というイベントに救われた感じは否めませんが、今後もし坂野が動けなくなった際にも契約内容を元手に他事業者と知恵を絞って再起動させることができるでしょう。最終目的である「日本学連の持続可能性(サステナビリティ)確保」は達成されているはずです。

残課題としては「日学所有資材の管理」があります。これもまた別路線で厄介な話で、YMOE社/日本学連/セレ・インカレ実行委員会資材がYMOE社の倉庫に混在している現状に対し、それぞれを仕分け、セレ・インカレ開催のたびに増える資材の処理・保管フローを整備する必要があります。こちらについても年度内にひとまずの決着を得られる程度に進めることができたらと思います。

【業務実績②】春インカレの宿泊・交通斡旋自由化

他にやった仕事といえば「春インカレの宿泊斡旋・交通自由化」です。
こちらも毎年紛糾するものの、誰も具体的に手を動かしてこなかった有名(‽)な課題ですね。インカレは私の担当外なのですが、当時インカレ枠配分問題の推進で溺れていた根本理事(インカレ担当)から「パス!」とパスをされ、担当することになりました。

この議題については作成した以下の資料が全てなので見てください。無事にこの春のインカレから提案した法案が実行されることになりました。
またひとつ、誰も幸せにならない紛糾が世の中から消えました。うれしいですね。

スライド1P目。↓の資料全体も、ぜひ見てください

SpecialThanks> 日本旅行 小林さん、村田ICMR2024実行委員長、Can☆康夫、幹事会メンバー

【余談】学生のSNS投稿に思うこと

我々は「学連理事」といっても報酬もなく権力者でもなく、ただオリエンテーリング界隈を少しでも良くしようとボランティアで働いている身です。これまでツラツラと述べてきた仕事には膨大な時間と思考リソースを割いてきました、がもちろん無報酬です。

それにも関わらず、この2年間で学生による誹謗中傷投稿をいくつも目にしてきました
原文を探して見返すとはらわたが煮えくり返るので、ニュアンスが分かる程度に記憶で例示します。
――
【例①】
「関東学連に有利になる方策を強引に通そうとしてくる」
「発案者の泣き落としが透けて見える、否決してやる」
(インカレ枠配分改正決議をとる日本学連総会中)
↓↓↓
(実態)発案者は特定地方学連に有利ではないことを膨大なデータを分析して定量的に示している。また、発案者は泣き落としもせず、誠実に発案意義の説明と質疑に対応している。

【例②】
「春インカレの宿泊・交通斡旋は、旅行会社の利権」
「利権のために学生へ負担をかけている」

(これまでずっと毎年一度は見かけた)
↓↓↓
(実態)日本旅行様は、ただ春インカレ継続のために斡旋事業を長年維持してきてくださった。
今回は改革案推進にあたり「試験的に交通斡旋なしで春インカレを運営してみたい」と相談に行った際も、意図をご理解いただき快く受け入れてくださいました。
――
これらが本人の目の前に流れる形で、インターネットに投稿されている。
それがどれだけ失礼であり、ボランティアで界隈を支えている人のモチベーションを削ぎにいっているのかが分かりますか?

なぜ相手の正面に立って言えないようなことをSNSにイキり口調で垂れ流し、囲みの友人から「いいね」されて気持ちよくなるためのオナニーのネタに我々が使われなければならないのでしょうか?

また、これら投稿に対し私がTwitter上で憤慨していると「あなたは大人なのだから」と指摘されたことが何度かありましたが、これも解せません。学生だろうと、社会人だろうと、自分をネタにモノを擦って気持ちよくなっている姿を見せつけられているわけですから、そのモノを握りつぶすくらいの権利はこちらにもあると思います。

私が言いたいのは「SNSに公開投稿する内容は、その相手の正面に立って言えることだけにしろ」ということだけです。人間として当たり前のことだと思います。成人なのにクソダセェことをするんじゃないよと。正面で言われるのは全然OKです、ぜひ議論しましょう。
もし、今後もそんなものが目の前に漂ってきたら、そのモノを即握りつぶしにいきます。よろしくお願いします。

おわりに

などと、最後に険しい言葉を出してしまいましたが、私はこの界隈が好きです。でなければ、家でかわいい嫁と遊ぶ時間を削ってまでこんな仕事は引き受けないでしょう。
理事の任期は2年です、そのため私はこの春で理事を降ります。一段落つけていい程度に仕事をしてきた自覚はあります。
この記事で日学理事の業務へのイメージが湧き、ひとりでも参画へ手を挙げてくれる若い人が出てくれば幸いです。
次世代を担う若者募集中…!!

4月に開催したオリエンティアまみれ(200人弱)の結婚式二次会、やっぱりこの界隈が好きです

…と言いたいところですが、先日の理事会で筆谷理事長から「え、もとなり理事辞めちゃうの?〇〇の仕事が担当者不在なんだけど、やらない?」とお声がけがありました。果たして来春、私は無事に一般オリエンティアに戻ることができるのだろうか…
(若者の募集はいつでもしていますよ!)

田中(基)

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