南米ガイアナ
ちょっと仕事で、来年の国別の経済成長の予測の数字をみていたら、あれれ?と思ったのが南米ガイアナの数字。
まあ、ここ2年は感染とかでどこの国も数字がぐちゃぐちゃなので、ベースが低くなる分、+10%とか+20%とかの数字がでてきても驚かないのだが、ガイアナの数字に驚いた。
ガイアナは今年2021年に+20%、そして2022年はさらに前年比+50%の成長!
あ、そういえば、と思い出したのが、数年前に読んだ記事。
ガイアナの領海で海底油田の埋蔵が確認されて、うまく全部開発できれば、とてつもない富をこの70万人だかの人口の国にもたらすと。油田開発に違いない。
海底油田とかガス田の開発には多額の投資が必要なのと、その資金動員のためにかなりの長期の安定的な買い手がつくことが必要。さて、夢物語で終わるのか、あるいはカタールみたいにうまくやるのか。世の中CO2削減へと動く中で今更油田開発に資金が動くのであろうか。
カタールは、たしかローカル人口30万人くらいの漁村の国が、うまく海外の開発資金を動員して、いまやそのローカルひとりあたりのGDPは数十万ドルとかで、ローカルに生まれれば大学まですべてただでいかせてもらえるだけの財政支援ありと。外から人を呼び込んで100万人だかの人口の近代都市をつくって、今年はサッカーワールドカップ開催。
以前このNoteでも書いたが、あるカタール人知り合い曰く、「カタールを成金の国と思われてるかもしれないがナイジェリアをみてください、資源があるだけでは国民が豊かになれない、海外の政府や企業とちゃんと交渉して、ここまでもってきたんです。わたしの親の代は漁村みたいなところで生まれ育っていたんですよ」と。さて、ガイアナ政府、うまくやれているのだろうか。
資源については、地図であきらかなように、お隣のベネズエラが一大産油国なのでその隣の海底・地底にもおそらく石化燃料が埋まってるんだろうというのが予想できたが、GDP予測におりこめるくらい、開発計画が進んでいるようで、これは凄い。近年なかったような小国のシンデレラ・ストーリーなのでは。米国のエクソンモービルとかが主導しての開発のようだが。
この南米大陸の右肩というか、カリブ海に面したベネズエラとブラジルの間に、なんたらガイアナという国が2つくらいにスリナムという国があるというのは昔バックパックしていたころから認識していたが、英領だったり仏領だったり蘭領だったりと、ラテンアメリカとしては異質な感じがしたし、文化・歴史的にもあまり関心はなかった。カリブの一部とみるには、ちょっと右側、外側にあるんだなあと思っていた。
800Kmくらい離れたベネズエラ首都のカラカスとか、たぶん同じくらい離れたアマゾン上流のマナウスというブラジルの都市には行ったことがあったので、ああいう熱帯の、死にそうに暑いとこなんだろうなくらいの認識だった。たしか、ガイアナはアメリカの宗教団体の集団自殺事件があったところだったか。それ以外はあまり情報も、関心もなかった。
改めて南米とカリブの地図をみてみたら(このタイトル写真)、カリブ海が右側が主要な島国たちに囲まれているようで、ぶらタモリ的に、なにか地勢の長い歴史の背景があってこうなっているんだろうなと思う。いつか暇なときにそこらへん調べてみたい。この巨大な内海みたいなカリブ海で、新大陸略奪に乗り遅れたイギリスが、スペイン相手に、海賊までくりだして覇権争いをしていく、なんとも痛快ドラマチックな17世紀。ちょっと調べてみたら、大英帝国のもと、インド・パキスタンからの移民がたくさんガイアナにきていて、人口の多数がヒンズー教のインド・パキスタン系と。なんとも複雑な歴史。
なんだか、年末せわしいなかで、ちょっと時代と空間を越えて、雄大な気分にさせてくれたガイアナ。いつか行ってみたい。■