タコ足配当
たまには真面目な話、証券用語編。後半に有料鍵。
学生の時だったか、証券関係の本を読んでいたら、「この会社はタコ配してる」というような表現に出くわす。
まず、電気のコンセントにたくさんアダプターで6つも8つもプラグが差しているのを思い浮かべた。漏電危険のあるタコ配電。
ある企業の配当がさまざまなペーパー会社を経由していろいろなところに流れていく?企業による複雑なマネー・ロンダリングの方法なのか?と妄想して調べてみたら、なんのことはない、8本もあるタコの足の数ではなくて、あるタコの異常な生態からの比喩であった。
「タコ足配当」
タコ足配当とは、企業が原資となる十分な利益がないにもかかわらず、過分な配当金を出すことをいいます。見た目には配当金が高いため魅力的に感じられますが、実際は資産を売却したり、積み立て金を取り崩したりして配当金に回しているだけで、業績や財務状況に難点がある可能性があります。タコが自分の足を食べるのに似ていることから、このように表現されます。
(SMBC日興証券ウェブサイトwww.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ta/J0546.html )
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徒然なる解説コメント
この証券用語は、間違っても、Octopus Leg Dividendとか訳してはいけない。
意味不明になるし、足が8本のタコのような配当支払い?と、米国では多々ある年4回の四半期配当を越えて、年に8回も配当を払う企業が日本にはあるのか?と変な想像を呼んでしまう(なことはないか)。
なお、この表現、おそらくタコの生態を本質的に勘違いした日本人が考えた表現か。というのは、さすがのタコも自分の命を脅かしかねない、自分の体を食するというのは極めておかしな話で(蓄えておいた脂肪を燃やすとかは人間でもあるが)、一説によるとこの自食はタコが極めてストレスが高い状況下でのみ起こる行為という。そして自食したタコの多くは数日で死んでしまうという。
まあ、自らの足を食べてしまうという自殺行為を引いて、企業が本来は利益を源泉とする配当の原資がないのに配当をしてしまうことを批判的に揶揄したというのであれば、奥が深い表現。
日本企業、やはりまだ不思議なのは、米国企業とかだと、今期の一株あたり利益がたとえば5ドルで、配当性向を30%と決めましたので1.5ドルを配当します、となるのだが、古い日本企業はいまだ、当社は今期も配当金10円を維持いたしました、とか言う。
この背景は、あたかも債券の利息のように、安定して毎年一定の配当金を払ってくれる株式が日本の個人を中心とする株式投資家の一部に人気だったということか。こつこつ毎年10円払ってくれる、それがありがたいと。
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