二重人格ごっこ【毎週ショートショートnote】工作員ヤンの潜伏記 12
潜伏工作員は、自己を隠しカバーになりきる二重人格ごっこをしているかのように思われるが、実は、なるべく地でふるまってそれでボロがでないのが一番よい
ヤンの場合、さらに別に自分のミッションがあった
両親、妹、そして自分の部族全体を苦しめた国への復讐
それを悟られないように、優秀な工作員のふりを続けているという点では、二重人格ごっこの日々とも言えた
一見幸せにみえた、語学ベタで、南米からの恋人ができた人懐っこい留学生の若者
ある意味、それも自分が演じている多重な人格のひとつかもしれない
迷いがあると、聞きかじった仏教の教えを思い出す
目に見える現実はすべて空(くう)である
なので、自分は現世では復讐を果たし、来世へと旅立つ
自分の任務はまだわからないが、手間をかけてヤンを潜伏細胞として潜入させているからには、大きな工作が計画されているに違いない
それを、土壇場で台無しにする
命をかけてそうする
それが復讐
その頃、CIA工作員のカーニィ田原は、エリサからの報告から、ヤンが不自然に和歌山駅前に繰り返し訪問していることを知る
(451字)
たらはかにさんのショートショート企画に参加です。削りに削りましたが、40字オーバーとなってしまいました。
7月に「カミングアウトコンビニ」というシュールなテーマでテキトーに登場させた工作員の留学生ヤンくんが何故か気になって勝手に連作にしてますが、ショートショートの趣旨から毎回それぞれ独立してそれなりに完結させようとしてます。
15回目くらいで要人暗殺事件の悲劇の最期へと展開です(たぶん。お題しだいですが)。
ヤンくんの命もあと数回となりますが、助命嘆願コメントが一定数以上あれば(5人とか(少なっ))、ハッピーエンドもあってもいいかなと思い始めています。
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