【経済話】世界経済見通しから読む今後
先月POSTした、たまには真面目シリーズ2回目。魂を絞り出すように書いている?脱力バンド小説よりもスキをいただいたりしてたので、世間の読み物ニーズは硬めなのかと、また書き綴りの実験。
仕事がらみのネタの再利用でもあり。7月末にリリースされているIMFの「世界経済見通し」という誰でもWebでタダで読めるものをネタに、足元ならびに今後について頭の整理をしてみるという、超まじめで、超お硬い内容。微妙な意見や私事もあるので後半に有料鍵をかけました。
幸いこの半年で「Note書き癖」がついたのと、このNoteのフォーマットが書きやすいので、たまには真面目なのも書いていこうかと思う。たまに。ダジャレ抜き、音楽話題抜き、昔話抜き。万が一、オープンにすると微妙な見解・話題があるときは、それは最後にもってって最後のところにだけ有料鍵をかけますが、基本はその部分がなくても筋が通るようなものに。政治、経済、マーケット、そんな真面目な領域。ためになるのかならないのかは、読む人の関心次第。笑いのオチはありませんので念の為。あまりおもしろくはないと思いますので、念の為。
1.世界経済、2020年の落ち込み具合は?今年の見通しは?
コロナ禍で2020年の経済はボロボロ、未曾有のマイナス成長、と誰しも思っているはず。
去年は、店は閉まるし、海外旅行はまったくできないし、すべてがキャンセル。そんな去年、世界経済は実質のGDPで前年比どのくらいで推移していたか?が、最初の質問。
答の選択肢 1.マイナス30%、2.マイナス10%、3.マイナス3%
ヒントというか、ちなみに世界経済は、だいたい「年間3%くらい」でここ何十年か、ずっとこつこつ成長してきていた。先進国はよくて4、5%プラスのときもあるがマイナスもあって平均するとちょっとプラス、一方でエマージング成長経済は勢いがあるときは10%超えで、平均しても5%とかは伸びていた。
答えは、3のマイナス3%。
IMFの統計で世界の実質GDPは2020年は、-3.2%だった。へーえ、へこみは3%程度だったのか、という印象であろうか。でもこの世界経済がマイナス3%というのは、金融危機の2010年でもマイナス0.6%とほぼフラットだったので、大恐慌以来の大幅マイナスということで、未曾有のショック。
先進国平均では、マイナス4.6%だったところ、スペインがマイナス10.8%、イタリアがマイナス8.9%、英国がマイナス9.8%とひどいが、さて、米国経済はどうだったかと思われであろうか?
これが、米国はマイナス3.5%でとどまって先進国平均より良い。日本はといえば、あんなに店が閉まったり移動ができなかったりの年でしたが、マイナス4.7%と先進国平均並み。ひとえに、政策出動による下支えであった。
一方で、エマージング経済はどうだったかというと、中国のプラス2.3%というのが突出している中で、エマージング全体ではマイナス2.1%ほどの縮小にとどまっていた。去年は今年ほど、目下変異種感染拡大に苦しむ、ラテンアメリカ、アフリカ、アジアの一部(インド、インドネシアなど)は概して先進国よりも経済被害は少なかったようだったと言える。
では、今年2021年について、金融系国際機関の大御所IMFがどのような見通しをもっているのか、質問2。
今年について、世界経済の実質成長見通しは?
答えの選択肢 1.マイナス3%、2.プラス3%、3.プラス6%
これは質問1の答えがマイナス3%というのがわかっていると、当たるかもしれない。今年は去年からの反動あって、そのうっ積した需要がわっと顕在化した欧米や、日本でもゆるゆるな規制の中で人は街に出ていた。オリンピックもあった。答えは、3のプラス6%。
2021年は、米国が倍返しのプラス7%、日本はプラス2.8%、スペインがプラス6.2%、イタリアがプラス4.9%、英国がプラス7.0%など。先進国全体ではプラス5.6%の成長。
エマージングは、中国もプラス8.1%と力強いものの、エマージング全体ではプラス6.3%と思ったより迫力はない。
これはひとえにワクチン接種見通しと大きく関係あって、エマージングが先進国より接種が遅れているので。ワクチンを梃子にした経済再開が始まっている先進国の回復を強めに見ている様子。今回7月時点の見通しの数字は4月のものから全体の成長の数字は変わっていないけれど、入り繰りがあって、米国をはじめとする先進国がちょっと強めとなったが、その分、エマージングが弱かったと。たしかに、米国経済の足元の数字はかなり強い。
2.10年前の金融危機との比較
前回の世界規模の経済危機は、2009/10あたりの、日本で言うリーマンショック、より一般的には金融危機と称される、サブプライムローン投資の破綻がきっかけとなったショック。
やはりあの頃に予兆としてあったのは、2000年代にはいって、グローバリゼーションだと中国を始めとするエマージングの経済での先進国への輸出がとても好調で、その背景には多国籍企業が中国とかで現地生産をがんがんやっていたというのがあるんですが、不思議なことに、中国とかは輸出が伸びて貿易黒字で積み上がっていく外貨準備を使って、先進国の債券、とくに米国債をどんどん買っていたこと。
まあ、外貨準備が増えれば、とくにドルの部分はリスクの無い米国債を買うのはごく普通だが、普通は資金というのは、先進国から途上国へと投資されるのが自然な流れ。
貯蓄が十分あって成熟経済となった先進国よりも、もっと経済が成長して投資機会のあるエマージングの経済へと、直接工場をつくったりの直接投資や、エマージングの株や債券を先進国の年金やら機関投資家が投資することで資金が流れるのが普通。それが、中国やロシアやあるいは産油国のサウジなどが米国債の購入を増やしていたのが2000年代。グローバルな資金フローが逆流していたのが、2000年代の世界経済。
そんな中にあだ花のように咲いていたのが、ドル建てで10%近い高めの利回りがでる、すばらしい金融商品だと人気だった、米国の不動産融資を担保にした商品。過去の統計としてはちゃんと元利が返ってくるはずの安全そうでありながら、高いリターンの商品。格付け会社も太鼓判を押した商品。それが、米国低所得者向け不動産ローン、サブプライム・ローンの仕組債や派生商品であった。
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