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クリスタルの恋人たち

ちょうど一年くらい前に、ビル・ウィザースというアメリカのシンガーの訃報が届いたときに書いた文章の焼き直し。

ビルといえば、70年代とか80年代にいくつかヒットをとばして活躍したソウル界の大御所。しっとりと優しく歌い上げるボーカル。

大ヒットしたLean on me とか Lovely Dayとかもいい曲だが、やはり、自分史的にはこの80年代のグローバー・ワシントンJrのサックスがかっこいい、Just the Two of Us邦題『クリスタルの恋人たち』(げげげ、なんという邦題。小説の「なんとなくクリスタル」が流行っていたから?)。でも敢えて擁護すれば、キーボードの音色がきらきらと、日差しにきらめく「クリスタルな?」スキー場の粉雪のようでもあり、スキー場BGMとしてはばっちり。でもこの邦題は恥ずかしくて人前では口に出せない、なので、Just the Two of Us。

80年代といえば、私をスキーに連れてって、スキー場がナウかった時代。週末にスキー板をかついで夜行バスで苗場とか行ったっけ。そんな頃、リフトに乗ると、この曲が何度も何度もかかっていた。数時間すべっていたら、何回か聴いたような。そんなナウかったスキー場も残念ながらあまりぱっとした思い出はなくて、こんな曲を聴きながらひたすら滑ってはカレーライス食べてはまた滑って、夜は男ばかり4人くらいの一行で温泉はいって酒盛りと、硬派だったというか、寂しいスキー合宿だった。

当時、毎週行っていたヤマハのSax教室にきていたプロのサックス奏者がぽろりと「Grover Washington Jrのサックスのピッチは全体的にちょっと高めなんだよな」といっていたのを覚えている。ひぇー、こちらは相対音階すらおぼつかないのに絶対音階でちょっとのずれを聞き分けられる人がいると。

昔アメリカで聞いたJokeでこんなのがあった。

A:  You know, jazz musicians can even hear certain pitch of sound that normal human beings can't hear.  (ジャズミュージシャンって、普通の人間が聞こえない周波数の音まで聴こえてるって知ってた?)

B:  So do my dogs. (うちの犬もね)

まあ、ジャズ奏者が、人間が普通聞こえない周波数音域が聞こえるとは思わないが、もしかすると、ルートの音に対する複雑な「倍音」を感じて、普通のコードの上のほうに緊張感(テンション)のある音を乗っけているというのはあるのかもしれない。

(タイトル写真は、Note Galleryから、スキー場で検索して、スノーボードとかがけっこうでてくるのを飛ばして(当時はスキーだけ!)、結局いちばんいい感じのスキー場の光景の写真を拝借。スキーもかなり前行ったのが最後。90年代の米国のハンターマウンテンというところだったか。苗場とかまた行きたいな)

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