【ジャズ】Phil Woods "The Summer knows"
アルトサックスの大御所フィル・ウッズが、ミシェル・ルグラン作曲の映画音楽、邦題「おもいでの夏」というバラードを、しっとりかつ力強く吹いているやつ。
Musique du bois (森の音楽、ウッズの音楽 という駄洒落)というアルバムに入っている。
映画も観たが、たしか筋はティーンエイジの主人公の若者が、アメリカのどっかのビーチのある田舎町で、夫が第二次大戦で出征している人妻に恋をするとかいう内容だったはずだが、あまり覚えていない。
でも、映画で流れていたこの曲はしっかりと覚えている。実はジャズ・ミュージシャンでもあるフランスの映画音楽の巨匠ミシェル・ルグランのオーケストラの演奏が使われていたはず。
曲は、ティーンエイジの頃の甘酸っぱい遠い思い出が、ちょっと暗めのマイナーな感傷的なメロディで語られ始める。
一転、メジャーに転調すると、やっと初体験を済ませた後のような、ぱぁーっと青空に雲が流れていくようなドラマチックな躍動感を感じる。
そんな曲を、フィル・ウッズはばりばり、一人で最初から最後まで吹きまくる。といっても、がしゃがしゃうるさいことはなく、しっとりと歌い上げて、ドラマチックになるところは持てる技を総動員して、感情を花開かせる感じ。
サックスのひとつひとつの音が、良質の合成でない天然ゴムでつながっているかのようで、それが伸びたり縮んだり。自由に伸縮して、アドリブフレーズが展開していく。ビリー・ジョエルの Just the way you are での彼のソロみたいに、アドリブなのに抒情的で美しいソロ。
音をせり上げたり、ドロップさせたり、口でマウスピースとリードを自在に操っていろんな技を繰り出してくる。サックス奏者が楽器を打楽器みたいに口で超低温をボッボッとやるのはフィルの発明なんだろうか、強いタンギングのような、それがリズミカル。
ぜひ、10代の頃の切ない初恋?を思い出しながらお聞きください。■
https://www.youtube.com/watch?v=YzbS6fxA6ZU
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