【ボサノバ】お〜人事
今日、日曜日、オミくん陽性3日目ゆえ、引き続き自主隔離で家でごろごろして音声SNSを聞いていたら、毎週楽しみに聞いている日本のジャズミュージシャンの曲を紹介する部屋で、主催のNYのジャズ歌手の平麻美子さんが弾き語りライブをやっていた。
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ボサノバ特集とのことで、部屋にはいったら、アントニオ・カルロス・ジョビンの『ジンジ』(Dindi)が流れていた。
ゆったりしたスローボッサ、歌詞は Dindi (ポルトガル語でジンジ)という恋人へのひたむきな思いが歌われている。
原曲のポルトガル語も有名だが、アメリカのジャズ系の歌手も唄っていて、英語の歌詞でも知られている。平さんはしっとりとジャズ・ボーカリストらしく英語で歌っていたが、歌詞を聞いていて、我が駄洒落脳が作動。
歌詞で「オー、ジンジ」が繰り返される。
「オー、ジンジ。オー、ジンジ」
あれ?これって、「022-022、おー人事、おー人事」じゃないか?
20年くらい前にTVコマーシャルではやった、転職、テンプスタッフの会社。たしかリクルートの子会社だったかな?
昔からの愛聴曲でなぜこれが浮かばなかったのか一瞬不思議に思う。
午後、念の為、ガル・コスタの歌のを聞き返してみて納得。
そう、ポル語では、「おージンジ」じゃないんですね。
「Ai, Dindi 、アィ、ジンジ」なんですね。
そして、ポル語のほうだと、こんなジンジ、あんなジンジと思いをこめて唄う部分がある。おージンジだけでなく、バリエーションあるジンジ。なので、「おー人事」の繰り返しだけではなかった。
Tudo, Dindi, lindo Dindi(すべて、ジンジ。美しい、ジンジ)
Fica, Dindi! Olha, Dindi!(ここにいて、ジンジ。聞いて、ジンジ)
Deixa, Dindi, que eu te adore, Dindi(ジンジ、私にあなたを崇拝させてください)
ガルは後半は英語で歌っているので、そこでやっとおー人事が聞ける。
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この曲、1959年だかにジョビンがシルビア・テリスという歌手にささげて書いたそうで、シルビアもこの曲を録音していたけれど、たしかその録音直後に30代で交通事故死する。
シルビア・テリス。
僕が学生の頃、ボサノバ入門編みたいないろんなミュージシャンの曲のはいったLP(古い)に、彼女の Discussão(議論)という曲がはいっていて、ジャジーな小気味でいい感じの曲だったので好きでよく聞いていた。辞書を引き引き、歌詞カード(古い)を訳してみたっけ。その後の人生で、夫婦喧嘩とかするたびに、この唄が頭の片隅に警告のように流れる。ある意味、人生の教訓の歌。
Discussão(議論) (部分抄訳)
Se você pretende sustentar opinião (もしあなたが自分の意見を保とうとして
E discutir por discutir(議論のための議論をして
Só pra ganhar a discussão(議論に勝つためだけのための
Eu lhe asseguro, pode crer(私はこれ保証しますよ、あなた同意すると
Que quando fala o coração(心から話せば
Às vezes é melhor perder(ときには、負けたほうがいいって
Do que ganhar, você vai ver(勝つよりもね。いずれわかるでしょう
そうなんですよね、議論に勝つだけではだめなんですよね。ディベートクラスでもあるまいに。負けたほうがいいときもある、なんですね。
このタイトルのジスクサォンもそうだが、ポル語の鼻にかかった、-ão アォォンという音が好きで、この曲でもいくつものアォォンがでてくる。 オピニアォンopiniãoとか、コラサォンcoraçãoとか。スペイン語のクリアな、「オン」という音とは違って、アォォンは、曖昧で余韻があってボサノバによく合うと思う。
最後にそのシルビア・テリスの唄うジンジ。
(タイトル画は、海で検索してでてきたいい感じのものを拝借。曲の歌詞に海や空がどうのというのがでてくるので)