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【ビジネスデザイン】11 ビジネスファンクションにおける分析技法 ビジネスプロセス編


ビジネスファンクションにおける分析技法 ビジネスプロセス編

企業が課題解決に取り組む際には、目標を達成するために自らの経営資源を変革します。ビジネスデザイン(BFD型)は、主に「ビジネスファンクション」「ビジネス情報」「情報システム」を課題解決 変革テコとして実現すべき姿を定義する型です。

実現すべき姿を定義するために、変革機会、課題および変革ポイントを分析します。

この記事では、ビジネスファンクション ビジネスプロセス レベルにおける変革機会、課題および変革ポイントを分析する技法について解説します。


分析アプローチ 基本形

ビジネス構想策定およびビジネスデザインにおける分析アプローチ 基本形を記します。

ビジネス構想策定における変革機会分析アプローチ 基本形は、以下のとおりです。

情報収集 ー 分析・評価 ー 変革機会抽出 ー 課題抽出

ビジネス構想策定における課題分析アプローチ 基本形は、以下の3通りです。

情報収集 ー 分析・評価 ー 施策抽出
情報収集 ー 定義 ー 分析・評価 ー 施策抽出
情報収集 ー プロトタイプ作成 ー 分析・評価 ー 施策抽出

ビジネスデザインにおける変革ポイント分析アプローチ 基本形は、以下の3通りです。

情報収集 ー 分析・評価 ー 変革ポイント抽出
情報収集 ー 定義 ー 分析・評価 ー 変革ポイント抽出
情報収集 ー プロトタイプ作成 ー 分析・評価 ー 変革ポイント抽出

変革機会分析アプローチ 基本形

課題分析アプローチ 基本形

変革ポイント分析アプローチ 基本形


ビジネスプロセスとは

ビジネスプロセスとは、「特定の成果および成果物を創出するために遂行する活動を定めたもの」です。

ビジネスプロセスを、「一連のビジネス・アクティビティを集約すること」または「ビジネス成果物の構成要素を分解すること」により定めます。

定めたビジネスプロセスを、「投入リソースを分析・管理する単位」「スケジュールを分析・管理する単位」「コストを分析・管理する単位」「組織の役割を定義する単位」として用います。

ビジネスプロセス 4つの用途


ビジネスプロセス依存関係とは

ビジネスプロセス間における4つの依存関係

ビジネスプロセス依存関係とは、「ビジネスプロセスの開始・完了順序、開始・完了条件などを定めたビジネスプロセス間の関係のこと」です。

ビジネスプロセス間の関係には4つの依存関係があります。

完了−開始関係(FS)とは、「ビジネスプロセス間において、完了した後に開始できる関係のこと」です。
完了−完了関係(FF)とは、「ビジネスプロセス間において、完了した後に完了できる関係のこと」です。
開始−開始関係(SS)とは、「ビジネスプロセス間において、開始した後に開始できる関係のこと」です。
開始−完了関係(SF)とは、「ビジネスプロセス間において、開始した後に完了できる関係のこと」です。

以下にビジネスプロセス依存関係の例を記します。

【例】ビジネスプロセス依存関係


ビジネス・アクティビティ集約によるビジネスプロセス定義

ビジネス・アクティビティ集約とは、「一連のビジネス・アクティビティを集約することにより、ビジネスプロセスおよびビジネスプロセス依存関係を定めること」です。

ビジネス・アクティビティ集約 手順

分析に必要とする情報は、以下のとおりです。

 ビジネスイベント バウンダリー・マップ
 ビジネスイベント一覧
 ビジネス・アクティビティ一覧

分析手順は、以下のとおりです。

分析に必要とする情報を収集し、ビジネスイベントおよびビジネス・アクティビティを理解します。

次に一連のビジネス・アクティビティから、共通する一連のビジネス・アクティビティを抽出します。

次に一連のビジネス・アクティビティを集約し、ビジネスプロセスを定めます。

次に定めたビジネスプロセスにおけるビジネスプロセス依存関係を定めます。

以下に一連のビジネス・アクティビティを集約の例を記します。

【例】一連のビジネス・アクティビティ

【例】一連のビジネス・アクティビティを集約する

【例】ビジネスプロセス依存関係を定める


ビジネス成果物構成要素分解によるビジネスプロセス定義

ビジネス成果物構成要素分解とは、「ビジネス成果物の主構成要素を抽出し、構成要素を分解することにより、ビジネスプロセスを定めること」です。

ビジネス成果物構成要素分解 手順

ビジネス成果物構成要素分解における階層

ビジネス成果物構成要素分解 基本形

分析に必要とする情報は、以下のとおりです。

 ビジネスファンクション・マップ
 ビジネスイベント バウンダリー・マップ
 ビジネスイベント一覧

分析手順は、以下のとおりです。

分析に必要とする情報を収集し、ビジネスファンクションおよびビジネスイベントを理解します。

次にビジネス成果物における主構成要素を抽出します。主構成要素とは、ビジネス成果物を大きく分類したものです。

次にビジネス成果物における構成要素を分解します。分解のしかた、分解するレベル数は任意です。分解のしかた、分解するレベル数が異なっていても、最終的に抽出されるビジネスプロセスは同じになるはずであるという考え方に基づいています。

次に分解した構成要素毎にビジネスプロセスおよびビジネス成果物を定めます。


ビジネスフェーズ定義

ビジネスフェーズ定義とは、「意思決定ポイントおよび承認ポイントに基づき、ビジネスフェーズを定めた上で、ビジネスフェーズ毎のビジネスプロセス依存関係を定めること」です。

ビジネスフェーズ定義 手順

意思決定ポイント/ 承認ポイント

一連のビジネスフェーズ 基本形

【例】ビジネスフェーズ毎のビジネスプロセス依存関係

意思決定ポイントおよび承認ポイントとは、「ビジネス活動を遂行する上において、意思決定および承認を必要とするポイントのこと」です。

意思決定ポイントおよび承認ポイントにおいて権限を有する皆様が意思決定および承認をしなければ、後続するビジネスフェーズの活動に着手できないルールに基づきます。ゲートポイントとも呼びます。

主な意思決定ポイントは、以下のとおりです。

投資に関する意思決定ポイント
リソース投入に関する意思決定ポイント
リソース稼働に関する意思決定ポイント

主な承認ポイントは、以下のとおりです。

成果物品質に関する承認ポイント
実行計画に関する承認ポイント

定義に必要とする情報は、以下のとおりです。

 ビジネスプロセス一覧
 ビジネス成果物一覧

分析手順は、以下のとおりです。

分析に必要とする情報を収集し、ビジネスプロセスおよびビジネス成果物を理解します。

次にビジネス成果物の創出における意思決定ポイントおよび承認ポイントを定めます。

次に意思決定ポイントおよび承認ポイントに基づいて、一連のビジネスフェーズを定めます。

次にビジネスプロセスをビジネスフェーズに割り当てます。

次にビジネスフェーズ毎にビジネス成果物関連を定めます。

次にビジネスフェーズ毎にプロジェクトプロセス依存関係を定めます。


スケジュール・ネットワーク分析

スケジュール・ネットワーク分析とは、「目標とする期間内にビジネス活動を完了させるビジネススケジュールを、ビジネスプロセス依存関係におけるクリティカル・パスを用いて分析すること」です。

ビジネススケジュールを分析する 3つの視点

ビジネススケジュールを、3つの視点で分析します。

スケジュール短縮化とは、「活動期間を短縮するために、クリティカル・パス上にあるビジネスプロセスの生産性およびリソース投入量などを調整すること」です。

リソース平準化とは、「リソース投入量を一定にするために、ビジネスプロセスの開始日および期間、チーム・フォーメーションなどを調整すること」です。

リソース円滑化とは、「リソース稼働を高めるために、ビジネスプロセスが有する余裕日数を用いてリソースアサインメントを調整すること」です。

ビジネススケジュールを分析する 5つの要素

ビジネスプロセス 2つの余裕日数

トータル・フロートとは

フリー・フロートとは

ビジネスプロセス 4つの日付 表記法


ビジネススケジュールを分析する5つの要素は、以下のとおりです。

 ビジネスプロセス依存関係
 ビジネスプロセス毎のリソース投入量
 ビジネスプロセス毎の所要日数
 ビジネスプロセス毎の余裕日数
 最短所要日数/クリティカル・パス

ビジネスプロセス依存関係とは、「ビジネスプロセスの開始・完了順序、開始・完了条件などを定めたビジネスプロセス間の関係のこと」です。

ビジネスプロセス毎のリソース投入量とは、「ビジネスプロセスにおける活動を遂行するために割り当てる要員数および活動可能時間のこと」です。

ビジネスプロセス毎の所要日数とは、「ビジネスプロセスにおいて活動を開始してから完了するまでに要する日数のこと」です。

ビジネスプロセス毎の余裕日数とは、「トータル・フロートおよびフリー・フロートのこと」です。

トータル・フロートとは、「ビジネスプロセスを最早開始日で開始し、最早完了日で完了する場合に有する余裕日数のこと」です。

フリー・フロートとは、「ビジネスプロセスを最早完了日で完了し、後続するビジネスプロセスを最早開始日で開始する場合に有する余裕日数のこと」です。

トータル・フロートおよびフリー・フロートを算出するために、ビジネスプロセス毎に4つの日付を算出します。

最早開始日(EST)とは、「最も早くビジネスプロセスを開始できる日のこと」です。
ESTは、Early Start Time の略称です。

最早完了日(EFT)とは、「最も早くビジネスプロセスを完了できる日のこと」です。
EFTは、Early Finish Time の略称です。

最遅開始日(LST)とは、「活動全体の完了日を守るために、ビジネスプロセスを開始しなければならない日のこと」です。
LSTは、Late Start Time の略称です。

最遅完了日(LFT)とは、「活動全体の完了日を守るために、ビジネスプロセスを完了しなければならない日のこと」です。
LFTは、Late Finish Time の略称です。

最短所要日数とは、「最短でビジネス活動を完了できる日数のこと」です。

クリティカル・パスとは、「トータル・フロート=0 であるビジネスプロセスの繋がりのこと」です。最短所要日数の経路になります。

スケジュール・ネットワーク分析 手順

ビジネスプロセス依存関係を調整する

ビジネスプロセス毎の所要日数を算出する

最早完了日を算出する

最遅開始日を算出する

余裕日数を算出する

最短所要日数/クリティカル・パスを抽出する

分析に必要とする情報は、以下のとおりです。

 ビジネスイベント バウンダリー・マップ
 ビジネスイベント一覧
 ビジネス・アクティビティ一覧
 ビジネスプロセス一覧
 ビジネスプロセス依存関係
 ビジネスプロセス毎の年間活動時間

分析手順は、以下のとおりです。

分析に必要とする情報を収集し、目標とする所要日数を理解します。

次に、ビジネスプロセス依存関係およびビジネスプロセス毎のリソース投入量を調整します。

次にビジネスプロセス毎の所要日数を算出します。

次にForward Pass(往路)算出で、プロジェクトプロセス毎の最早完了日を算出します。
最早完了日の算出式は、以下のとおりです。

最早完了日(EFT) = 最早開始日(EST) + 所要日数

次にBackward Pass(復路)算出で、プロジェクトプロセス毎の最遅開始日を算出します。
最遅開始日の算出式は、以下のとおりです。

最遅開始日(LST) = 最遅完了日(LFT) ー 所要日数

次に、プロジェクトプロセス毎の余裕日数を算出します。

トータル・フロートの算出式は、以下のとおりです。

トータル・フロート = 最遅完了日(LFT) ー 最早完了日(EFT)

フリー・フロートの算出式は、以下のとおりです。

フリー・フロート = 後続 ビジネスプロセスの最早開始日(EST) ー 最早完了日(EFT)

次に、最短所要日数およびクリティカル・パスを抽出します。

ビジネスプロセス依存関係およびビジネスプロセス毎のリソース投入量の調整を繰り返しながら、最適な最短所要日数およびクリティカル・パスを抽出します。


【次に参考にしていただきたい記事】

次の記事では、ビジネスデザインで用いるシビジネス情報における可視化技法について解説しています。ご参考になさってください。

【ビジネスデザイン】12 ビジネス情報における可視化技法
https://note.com/rtree_b_design/n/na83710e47f0f



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