【ビジネスデザイン】06 ビジネスデザイン(BFD型) 19ステップ(後編)
ビジネスデザイン(BFD型) 19ステップ
ビジネスデザイン(BFD型)を以下の19ステップで実行します。
この記事では、8ステップから19ステップまでのアクティビティ ステップについて解説します。
1.課題解決 達成目標および施策を理解する
2.変革ポイントを分析するアプローチを定める
3.ビジネスファンクションを調査・分析する
4.ビジネス情報を調査・分析する
5.情報システムを調査・分析する
6.変革ポイントを定める
7.実現すべき姿を定義するアプローチを定める
8.ビジネス情報(論理モデル)を定義する
9.分析用ビジネス情報(論理モデル)を定義する
10-1.ビジネスファンクションを定義する ビジネスイベント型
10-2.ビジネスファンクションを定義する クリエーション型
11.ビジネススケジュールを定義する
12.システムファンクション(論理モデル)を定義する
13.システム基盤構成(論理モデル)を定義する
14.実現すべき姿における整合を検証する
15.外部リソースを評価する
16.課題解決プロジェクト投資価値を評価する
17.実現すべき姿への移行方針を定める
18.課題解決プロジェクト 実行計画を定める
19.ビジネスデザインをまとめる
ビジネスデザイン(BFD型) プロジェクト組織体制とは
ビジネスデザイン(BFD型) プロジェクト組織体制とは、「ビジネスデザイン(BFD型)プロジェクト実行における役割、責任および権限を定めた組織の形」のことです。
ステアリング・コミッティは、課題解決プロジェクト実行における意思決定機関として、プロジェクト目標達成における進捗、プロジェクト成果における品質を掌握し、プロジェクトフェーズ毎にプロジェクト継続可否の判定およびプロジェクト成果への承認を行います。
プロジェクトオーナーは、課題解決プロジェクト目標達成における責任者として予算執行、人財アサインメントなどの権限を有します。適時、ステアリング・コミッティへプロジェクト進捗状況を報告します。
プロジェクトリーダーは、課題解決プロジェクトにおける推進責任者として課題解決の推進をリードします。また、予算管理、リソース管理、品質管理、進捗管理などを行います。適時、プロジェクトオーナーへプロジェクト進捗状況を報告します。
チームリーダーは、担当するプロジェクトプロセスにおいて成果/成果物の生成をリードします。プロジェクトプロセス毎に分析チーム、評価チーム、定義チームなどを編成します。適時、プロジェクトリーダーへチーム進捗状況を報告します。
チームメンバーは、担当するプロジェクトプロセスにおいて情報収集、分析、評価、定義などを実施し、成果/成果物を生成します。適時、チームリーダーへ進捗状況を報告します。
ビジネスデザイン(BFD型) アクティビティ ステップとは
ビジネスデザイン(BFD型) アクティビティ ステップとは、「ビジネスデザイン(BFD型) 19ステップ毎に成果を創出する活動の基本形を定めたもの」です。
ビジネスデザイン(BFD型)プロジェクトをプランニングする際には、この基本形に基づいてプロジェクト・アクティビティ ステップを組み立てます。
8.ビジネス情報(論理モデル)を定義する
ビジネス情報(論理モデル)を定義します。ビジネス情報(論理モデル)は、「ビジネスリソース」「ビジネストランザクション」「ビジネスマネジメント」「ビジネスアナリシス」の4つに分類して定義します。
ビジネス情報定義チームを編成します。ビジネス情報定義チームは、情報収集を実施した後に分析および定義を実施します。適時、分析・セッションおよび定義・セッションを実施します。
最初にビジネス活動で用いる用語をエンティティおよび属性として定義します。定義する順序は、「ビジネスリソース」「ビジネストランザクション」「ビジネスマネジメント」「ビジネスアナリシス」です。「ビジネスアナリシス」に関するエンティティおよび属性は、次のステップ「9.分析用ビジネス情報(論理モデル)を定義する」において定義します。
次にエンティティ・リレーションシップを分析し、識別子を定義します。識別子に関しては、コード体系および採番ルールを定義します。
定義する成果物は、以下のとおりです。
エンティティ一覧(論理モデル)
属性一覧(論理モデル)
コード体系
エンティティ・リレーションシップ図(論理モデル)
9.分析用ビジネス情報(論理モデル)を定義する
分析用ビジネス情報(論理モデル)を定義します。分析用ビジネス情報(論理モデル)は、ビジネス・プロシージャーとして定める分析・評価シナリオに基づいて定義します。
分析・評価シナリオに基づいて、分析に用いるビジネス情報の情報源、分析次元、分析階層、分析属性を定義します。分析用ビジネス情報に関するエンティティ・リレーションシップは、スタースキーマ型と呼ばれています。
定義する成果物は、以下のとおりです。
分析ディメンジョン 階層一覧(論理モデル)
分析ディメンジョン 属性一覧(論理モデル)
分析ファクトテーブル 属性一覧(論理モデル)
エンティティ・リレーションシップ図(論理モデル)
10-1.ビジネスファンクションを定義する ビジネスイベント型
ビジネスイベント型におけるビジネスファンクションを定義します。ビジネスファンクション定義は、5つのレベル毎に定義します。5つのレベルは、「ビジネスファンクション レベル」「ビジネスイベント レベル」「ビジネスプロセス レベル」「ビジネス・アクティビティ レベル」「ビジネス・プロシージャー レベル」です。
ビジネスファンクション定義チームを編成します。ビジネスファンクション定義チームは、情報収集を実施した後に分析および定義を実施します。適時、分析・セッションおよび定義・セッションを実施します。
最初に外部組織を定義した上で、外部組織からビジネス情報を受けることにより始まるビジネスイベントを定義します。次にあらかじめ定めた時間で始めるビジネスイベントを定義します。ビジネスイベントは、5つの要素(外部組織、ビジネス情報、事由、頻度、媒体)の組み合わせで定義します。
次にビジネスイベント毎に、一連のビジネス・アクティビティ、ビジネス・アクティビティ ルール、ビジネス・プロシージャーを定義します。
次に新たなビジネスロールを定義した上で、ビジネス・アクティビティ毎にビジネスロールを割り当てます。
次にビジネスプロセスおよびビジネスプロセス依存関係を定義します。ビジネスプロセスは、一連のビジネス・アクティビティを論理的に集約し定義します。
定義する成果物は、以下のとおりです。
ビジネスファンクション・マップ
ビジネスイベント バウンダリー・マップ
ビジネスイベント一覧
ビジネス・アクティビティ一覧
ビジネス・アクティビティ ルール一覧
ビジネス・アクティビティ ルール記述
ビジネス・プロシージャー一覧
ビジネス・プロシージャー記述
ビジネスロール一覧
ビジネスロール記述
ビジネスプロセス一覧
ビジネス依存関係
10-2.ビジネスファンクションを定義する クリエーション型
クリエーション型におけるビジネスファンクションを定義します。ビジネスファンクション定義は、5つのレベル毎に定義します。5つのレベルは、「ビジネスファンクション レベル」「ビジネスイベント レベル」「ビジネスプロセス レベル」「ビジネス・アクティビティ レベル」「ビジネス・プロシージャー レベル」です。
ビジネスファンクション定義チームを編成します。ビジネスファンクション定義チームは、情報収集を実施した後に分析および定義を実施します。適時、分析・セッションおよび定義・セッションを実施します。
最初にビジネス活動で創出するビジネス成果物の主構成要素をもれなく抽出します。主構成要素とは、ビジネス活動で創出するビジネス成果物を大きく分類したものです。
次に構成要素を分解します。分解のしかた、分解するレベル数は任意です。分解のしかた、分解するレベル数が異なっていても、最終的に抽出されるビジネスプロセスは同じになるはずであるという考え方に基づいています。
次に分解した構成要素毎にビジネスプロセスおよびビジネス成果物を定めます。
次に意思決定および承認ポイントに基づいて、ビジネスフェーズを定義します。
次にビジネスフェーズ毎にビジネスプロセスを割り当てた上で、ビジネスプロセス依存関係を定義します。
次に外部組織を定義した上で、外部組織からビジネス情報を受けることにより始まるビジネスイベントを定義します。次にあらかじめ定めた時間により始まるビジネスイベントを定義します。ビジネスイベントは、5つの要素(外部組織、ビジネス情報、事由、頻度、媒体)の組み合わせで定義します。クリエーション型の場合には、前工程のビジネスフェーズもひとつの外部組織として認識します。
次にビジネスイベント毎に、ビジネス・アクティビティ、ビジネス・アクティビティ ルール、ビジネス・プロシージャーを定義します。
次に新たなビジネスロールを定義した上で、ビジネス・アクティビティ毎にビジネスロールを割り当てます。
定義する成果物は、以下のとおりです。
ビジネスファンクション・マップ
ビジネスプロセス一覧
ビジネスプロセス依存関係
ビジネス成果物一覧
ビジネスイベント バウンダリー・マップ
ビジネスイベント一覧
ビジネス・アクティビティ一覧
ビジネス・アクティビティ ルール一覧
ビジネス・アクティビティ ルール記述
ビジネス・プロシージャー一覧
ビジネス・プロシージャー記述
ビジネスロール一覧
ビジネスロール記述
ビジネスプロセス一覧
ビジネスプロセス依存関係
11.ビジネススケジュールを定義する
ビジネススケジュールを定義します。ビジネス活動における頻度(随時・日次・週次・月次・四半期・半期・年次)別にビジネススケジュールを定義します。
最初に将来の業務量増減を把握するために、ビジネスイベント増減を予測します。
次にビジネス・アクティビティ毎に年間活動時間を測定し、ビジネスプロセス毎に年間活動時間を算出します。
次に目標とする期間に基づいて、「ビジネスプロセス依存関係」および「ビジネスプロセス毎のリソース投入量」を調整しながら、「ビジネスプロセス毎の所要日数」「ビジネスプロセス毎の余裕日数」「最短所要日数/クリティカル・パス」を分析した上で、ビジネススケジュールを定義します。
定義する成果物は、以下のとおりです。
ビジネスプロセス一覧
ビジネスプロセス依存関係
ビジネススケジュール
12.システムファンクション(論理モデル)を定義する
システムファンクション(論理モデル)を定義します。ビジネス・アクティビティの「入力する」「更新する」「削除する」「照会する」「出力する」「転送する」などに関連付けて利用するシステムファンクションを定義します。
システムファンクション定義チームを編成します。システムファンクション定義チームは、情報収集を実施した後に分析および定義を実施します。適時、分析・セッションおよび定義・セッションを実施します。
システムファンクションは、「情報入力」「情報更新」「情報削除」「情報出力」「情報I/F」の5つに分けて定義します。
次にシステムファンクション毎に「ユーザーインターフェース」「ビジネスロジック」「システムデータアクセス」を定義します。
次に情報システムスコープを定義するために、システムファンクション/エンティティ相関を分析します。情報システムスコープを定義した後に、情報システム間の連携を定義します。
定義する成果物は、以下のとおりです。
情報システム一覧
システムファンクション一覧(論理モデル)
システムファンクション要件記述(論理モデル)
ユーザーインターフェース 属性一覧(論理モデル)
システムファンクション CRUD マトリックス(論理モデル)
情報システム間連携一覧
13.システム基盤構成(論理モデル)を定義する
システム基盤構成(論理モデル)を定義します。ビジネス情報 インスタンス数、ビジネスイベント増減予測数、システムファンクション 処理形態、システムファンクション数、システム利用組織、システム利用者、システム利用者数、システム利用頻度などの情報に基づいて定義します。
システム基盤定義チームを編成します。システム基盤定義チームは、情報収集を実施した後に分析および定義を実施します。適時、分析・セッションおよび定義・セッションを実施します。
最初に将来のシステムリソースにおける負荷増減を予測します。
次にシステム基盤構成(論理モデル)定義において、システムハードウェア、システム制御ソフトウェア、ミドルソフトウェアの組み合わせ、アプリケーションおよびデータベースの配置を定義します。
次にシステム基盤におけるシステム性能要件、システム可用性要件、システム拡張性要件を定義します。
定義する成果物は、以下のとおりです。
システム基盤構成一覧(論理モデル)
システム性能要件
システム可用性要件
システム拡張性要件
14.実現すべき姿における整合を検証する
実現すべき姿における「ビジネス情報(論理モデル)定義」「分析用ビジネス情報(論理モデル)定義」「ビジネスファンクション定義」「ビジネススケジュール定義」「システムファンクション(論理モデル)定義」「システム基盤構成(論理モデル)定義」の整合を検証します。
ビジネスファンクション定義チーム、ビジネス情報定義チーム、システムファンクション定義チームおよびシステム基盤定義チームが合同で整合を検証します。
検証する視点は、以下のとおりです。
エンティティ名および属性名と成果物記述との一致
ビジネス活動における事由の完結性
ビジネス情報における受け渡しに関する整合
ビジネス活動におけるサイクル連携に関する整合
ビジネス・アクティビティにおける4つの組み合わせに関する整合
ビジネス統制ルールとの整合
会計仕訳生成に関する整合
ビジネス情報とシステムファンクションにおけるCRUD操作に関する整合
情報システム間I/Fに関する整合
15.外部リソースを評価する
外部リソースとは、「ビジネス活動に必要とする資源の中で、自組織では所有せず外部組織が所有する資源のこと」です。例えば、3PLサービス、BPOサービス、アウトソーシングサービス、レンタルオフィス、レンタル倉庫、パッケージソフトウェア、クラウドサービスなどです。
企業が課題解決に取り組む際に自らの経営資源を変革するだけではなく、外部リソースを活用する選択肢もあります。外部リソース活用を選択肢とする場合、外部リソースを評価します。
評価する方法のひとつとして、外部リソースを提供する企業へ提案を依頼する方法があります。ビジネス構想策定において外部リソースを提供する複数の候補企業へ1次提案を依頼し、評価を実施した上で少数の候補企業に絞り込みます。次にビジネスデザインにおいて絞り込んだ少数の候補企業へ実現すべき姿・要件に基づいて2次提案を依頼し、外部リソースの最終評価を実施することが一般的です。
提案依頼チームおよび評価チームを編成します。提案依頼チームは候補企業とのコミュニケーションを実施し、評価チームは質問項目を定めて、質問項目に対する回答の採点および評価ランク付けを実施します。
提案依頼実施方針案を定めた上で、プロジェクトオーナーへ報告し承認を得ます。
次に実現すべき姿および要件に基づき、外部リソースに関する質問項目を定め、提案依頼書をまとめた上で、候補企業へ提案を依頼します。事前に候補企業と秘密保持契約を締結します。
次に提案を依頼した候補企業から受領した質問項目に対する回答を評価し、外部リソースの最終評価を実施します。
16.課題解決プロジェクト投資価値を評価する
実現すべき姿における整合を検証し、外部リソースを評価した後に、課題解決プロジェクト投資価値を評価します。ビジネス構想策定で合意した課題解決 達成目標およびプロジェクト投資価値評価結果に基づいて、目標とするプロジェクト・キャッシュフローを創出できるか否かを評価します。
プロジェクト投資価値評価チームを編成します。プロジェクト投資価値評価チームは、情報収集を実施した後に分析および評価を実施します。適時、分析・セッションおよび評価・セッションを実施します。
プロジェクトリスクを抽出する際には、専門家および類似プロジェクト経験者へのヒアリング・セッションを実施した上で、プロジェクト関係者と検討・セションを実施します。
次に抽出したプロジェクトリスク レベルを評価し、態度および対策を定めた上で、課題解決プロジェクトが創出する価値(プロジェクト・キャッシュフロー)を定量的に評価します。
課題解決プロジェクトが創出する価値に基づいて、プロジェクト投資可否を判定します。
17.実現すべき姿への移行方針を定める
課題解決プロジェクト投資価値を評価した後に、実現すべき姿への移行方針を定めます。
移行方針では以下の事項を定めます。
ビジネスファンクションを移行する方針
組織・人財を移行する方針
情報システムを構築する方針
システムデータを移行する方針
ビジネステストを実施する方針
実現すべき姿への移行方針は、目標達成において変革の影響を受けるステークホルダーの皆様に理解していただくことが肝要になります。
18.課題解決プロジェクト 実行計画を定める
実現すべき姿への移行方針に基づいて、課題解決プロジェクト 実行計画を定めます。
施策および変革ポイントに基づいて、施策スコープおよびプロジェクトスコープを定めます。次にプロジェクトスケジュールおよびプロジェクト体制を定めます。
次にプロジェクトステークホルダーを特定し、プロジェクトステークホルダーを分析した上で、プロジェクトステークホルダーへの活動計画を定めます。
次にプロジェクトリスク評価結果に基づいて、プロジェクトリスク対策計画を定めます。
19.ビジネスデザインをまとめる
ビジネスデザインにおける成果一式をまとめます。
プロジェクトオーナーへビジネスデザインにおける成果を最終報告し承認を得ます。
【次に参考にしていただきたい記事】
次の記事では、ビジネスデザインで用いる課題解決 達成目標における可視化技法について解説しています。ご参考になさってください。
【ビジネスデザイン】07 課題解決 達成目標における可視化技法
https://note.com/rtree_b_design/n/n2d72090bb336
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