【ビジネスデザイン】04 ビジネスデザイン(BFD型) 8つのデザイン原則とは
ビジネスデザイン(BFD型)とは
企業が課題解決に取り組む際には、目標を達成するために自らの経営資源を変革します。
ビジネスデザイン(BFD型)は、主に「ビジネスファンクション」「ビジネス情報」「情報システム」を課題解決 変革テコとして実現すべき姿を定義する型です。
ビジネスデザイン(BFD型) 8つのデザイン原則とは
ビジネスデザイン(BFD型)を推進する上において、ビジネスデザインの品質を高めるために8つの原則を定めています。
分析チームおよび定義チームが、この8つの原則に基づいて分析および定義を実施することで、ビジネスデザインを構成する要素の粒度を整えること、ビジネスデザインを構成する要素間の整合を検証することが可能になります。
1.実現すべき姿を定義するアプローチは2通りで定める
ビジネスデザイン(BFD型)において実現すべき姿を定義するアプローチは、以下の2通りです。ビジネスデザイン(BFD型)を開始する前にアプローチを選択します。
As-is/To-be変革型アプローチ
リファレンスモデル参照型アプローチ
As-is/To-be変革型アプローチとは、「As-isを調査・分析し、変革ポイントを定めた上で、実現すべき姿を定義するアプローチ」です。
リファレンスモデル参照型アプローチとは、「類似事業をリファレンスモデルとして実現すべき姿を定義する、または標準化団体などが有するリファレンスモデルを参照して実現すべき姿を定義するアプローチ」です。
2.最初にビジネス活動における用語を定義する
ビジネスデザインでは、最初にビジネス活動で使用する用語を定義します。用語はビジネス情報の要素であるエンティティ名および属性名として定義します。
ビジネスデザインにおける全ての成果物は、エンティティ名および属性名を用いて記述します。
3.ビジネス情報を4つに分類して定義する
ビジネス情報とは、「ビジネス活動において収集、編集、記録、伝達、保管、廃棄することを必要とする情報のこと」です。
ビジネス情報を、以下の4つに分類し定義します。
ビジネスリソースとは、「経営資源に関するビジネス情報で、主に経営資源管理業務において用いるもの」です。例えば、顧客、取引先、組織、人財、製品、商品、サービス、原材料、部品、土地、建物、設備、情報システムなどです。
ビジネストランザクションとは、「外部組織と受け渡しをするビジネス情報で、主に取引業務において用いるもの」です。例えば、見積、販売契約、受注、売上請求、入金、見積依頼、購買契約、発注、購買請求、支払などです。
ビジネスマネジメントとは、「事業管理に関するビジネス情報で、主に計画・管理業務、財務会計業務において用いるもの」です。例えば、販売管理台帳、債権管理台帳、購買管理台帳、債務管理台帳、固定資産管理台帳、資金管理台帳、B/S、P/Lなどです。
ビジネスアナリシスとは、「外部環境および内部環境から収集するビジネス情報で、主に経営管理業務、分析業務において用いるもの」です。例えば、市場動向、競合動向、顧客動向、製品・商品動向、経営状況などを分析するために収集するものです。
ビジネス情報を定義する順序は、「ビジネスリソース」、「ビジネストランザクション」、「ビジネスマネジメント」、「ビジネスアナリシス」です。
4つに分類することにより、ビジネス情報の要素であるエンティティ、属性を抜けもれなく定義し、ビジネス情報間の相互関係の整合をとりながら定義することが可能になります。
4.ビジネスファンクションを5つのレベルで定義する
ビジネスファンクションとは、「ビジネス活動を構成する要素を顧客への価値創出および価値提供の観点で分類したもの」です。
ビジネスファンクションを5つのレベル毎に定義します。
各レベルで定義する要素は、以下のとおりです。
ビジネスファンクション レベルにおいて定義する要素
事業領域
関係する組織
ビジネスファンクションスコープ
ビジネスイベント レベルにおいて定義する要素
外部組織
ビジネスイベント
ビジネスプロセス レベルにおいて定義する要素
ビジネスプロセス
ビジネスプロセス依存関係
ビジネススケジュール
ビジネス・アクティビティ レベルにおいて定義する要素
ビジネスイベント毎における一連のビジネス・アクティビティ
ビジネス・アクティビティ ルール
ビジネスロール
ビジネス・アクティビティ毎のビジネスロール
ビジネス・プロシージャー レベルにおいて定義する要素
ビジネス・プロシージャー(手順)
ビジネス・プロシージャー(スクリプト)
ビジネス・プロシージャー(シナリオ)
5つのレベルに構造化することにより、要素を抜けもれなく定義し、レベル毎にビジネス情報および情報システムとの関係における整合をとりながら定義することが可能になります。
5.ビジネスファンクションを定義するアプローチは2通りで定める
ビジネスファンクションを定義するアプローチは、以下の2通りです。定義対象とするビジネスファンクションの特性を見極めてアプローチを選択します。
ビジネスイベント型定義アプローチ
クリエーション型定義アプローチ
ビジネスイベント型定義アプローチとは、「ビジネス活動の始まりに着目してビジネスファンクションを定義するアプローチ」です。ビジネス活動が外部組織とビジネス情報を受け渡しすることを主にする場合に適用します。
クリエーション型定義アプローチとは、「ビジネス成果物に着目してビジネスファンクションを定義するアプローチ」です。ビジネス活動がビジネス成果物を創出することを主にする場合に適用します。
6.ビジネスイベントを5つの要素の組み合わせで定義する
ビジネスイベントとは、「ビジネス活動の始まりを定めたもの」です。
ビジネス活動の始まりを、以下の2通りとして定義します。
外部組織からビジネス情報を受けることにより始まるもの
(外部によるビジネスイベント)
あらかじめ定めた時間により始まるもの
(時間によるビジネスイベント)
ビジネスイベントを、以下の5つの要素の組み合わせで定義します。
外部組織
ビジネス情報
事由
頻度
媒体
5つの要素の組み合わせで定義することにより、ビジネス活動の始まりを抜けもれなく定義し、定義内容の整合を検証することが可能になります。
7.ビジネス・アクティビティを4つの組み合わせで定義する
ビジネス・アクティビティとは、「ビジネス活動におけるビジネス情報の収集、伝達、価値付加、保管、廃棄を定めたもの」です。
ビジネスイベント毎に一連のビジネス・アクティビティを定義します。
一連のビジネス・アクティビティは、以下の4つの組み合わせになります。
外部組織から情報を受ける ー 情報に価値を付加する ー 外部組織へ情報を渡す
外部組織から情報を受ける ー 情報に価値を付加する ー 情報を保管・廃棄する
定めた時間に情報収集を締め切る ー 情報に価値を付加する ー 外部組織へ情報を渡す
定めた時間に情報収集を締め切る ー 情報に価値を付加する ー 情報を保管・廃棄する
ビジネスイベント毎に一連のビジネス・アクティビティを定義することおよび4つの組み合わせで定義することにより、ビジネス・アクティビティの粒度を整えること、定義内容の整合を検証することが可能になります。
8.システムファンクションを5つに分類して定義する
システムファンクションとは、「コンピューターシステムにおいてシステムデータを処理するソフトウェアのこと」です。
システムファンクションを、以下の5つに分類し定義します。
情報入力
情報更新
情報削除
情報出力
情報I/F
5つに分類することにより、ビジネス・アクティビティにおける「入力する」「更新する」「削除する」「照会する」「出力する」「転送する」などに関連付けて利用するシステムファンクションを定義することが可能になります。また、ファンクションポイント法を用いてソフトウェア機能規模を測定する場合には、トランザクション ファンクションへの関連付けが可能になります。
【次に参考にしていただきたい記事】
次の記事では、ビジネスデザイン(BFD型) を実行する19ステップ(前編)について解説しています。ご参考になさってください。
【ビジネスデザイン】05 ビジネスデザイン(BFD型) 19ステップ(前編)
https://note.com/rtree_b_design/n/n35d14e912bbb
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