【ビジネスデザイン】08 ビジネスファンクションにおける可視化技法
ビジネスファンクションにおける可視化技法
企業が課題解決に取り組む際には、目標を達成するために自らの経営資源を変革します。ビジネスデザイン(BFD型)は、主に「ビジネスファンクション」「ビジネス情報」「情報システム」を課題解決 変革テコとして実現すべき姿を定義する型です。
この記事では、ビジネスファンクションを可視化する技法について解説します。
ビジネスファンクション 5つのレベル
ビジネスファンクションを5つのレベルで可視化し、定義します。各レベルにおいて定義する要素を解説します。
ビジネスファンクション レベルにおいて定義する要素
ビジネスファンクション レベルにおいて定義する要素は、以下のとおりです。
事業領域
関係する組織
ビジネスファンクションスコープ
ビジネスファンクション・マップ
ビジネスファンクションとは、「ビジネス活動を構成する要素を顧客への価値創出および価値提供の観点で分類したもの」です。
事業領域とは、「企業が顧客へ価値を創出し、提供する活動を分類したもの」です。
事業領域を、「顧客」「顧客へ提供する価値(製品・サービスなど)」「価値を創出するためのビジネスファンクション」の組み合わせで分類します。
関係する組織とは、「特定の事業領域におけるビジネス活動において役割を有する組織のこと」です。
関係する組織を、「顧客(顧客企業、消費者など)」「取引先(仕入先、業務委託先など)」「官公庁、行政機関」「金融機関」「自企業組織」「グループ企業組織」の6つに分類し定義します。
ビジネスファンクションスコープとは、「課題解決プロジェクトにおいて対象とするビジネスファンクションおよび対象外とするビジネスファンクションを定めたもの」です。
ビジネスファンクションスコープを定義し、ビジネスファンクション・マップにまとめます。
ビジネスイベント レベルにおいて定義する要素
ビジネスイベント レベルにおいて定義する要素は、以下のとおりです。
外部組織
ビジネスイベント
ビジネスイベント バウンダリー・マップ(As-is)
ビジネスイベント バウンダリー・マップ(To-be)
関係する組織に基づいて、分析・調査の対象とする組織を定義します。
As-is調査・分析の場合は、調査・分析の対象とする組織、To-be定義の場合は、定義の対象とするビジネスファンクションを定義し、ビジネスイベント バウンダリー・マップにまとめます。
外部組織とは、「ビジネス活動において情報の受け渡しが発生する組織および個人こと」です。
外部組織を定義し、ビジネスイベント バウンダリー・マップにまとめます。
ビジネス活動の始まりは2通り
ビジネスイベントとは、「ビジネス活動の始まりを定めたもの」です。
ビジネス活動の始まりを、以下の2通りとして定義します。
外部組織からビジネス情報を受けることにより始まるもの
(外部によるビジネスイベント)
あらかじめ定めた時間により始まるもの
(時間によるビジネスイベント)
ビジネスイベント 5つの要素
ビジネスイベントを、「外部組織」「ビジネス情報」「事由」「頻度」「媒体」の5つの要素の組み合わせで定義し、ビジネスイベント一覧にまとめます。
外部組織とは、「ビジネス活動において情報の受け渡しが発生する組織および個人こと」です。
ビジネス情報とは、「外部組織から受けるビジネス情報の中で、ビジネス活動の始まりとなるビジネス情報のこと」です。
事由とは、「ビジネス活動の目的もしくは発生理由のこと」です。ビジネス活動が完結するように漏れなく定義します。
頻度とは、「ビジネス活動が繰り返し発生する度数のこと」です。「随時」「日次」「週次」「月次」「四半期」「半期」「年次」に分類し定義します。
媒体とは、「ビジネス情報の伝達、保存、保管に用いられるもの」です。
事由、頻度、媒体の例を記します。
【例】ビジネスリソースに関する事由
【例】トランザクションに関する事由
【例】マネジメントに関する事由
【例】頻度
【例】媒体
ビジネスイベント バウンダリー・マップ、ビジネスイベント一覧の例を記します。
【例】ビジネスイベント バウンダリー・マップ
【例】ビジネスイベント一覧
ビジネス・アクティビティ レベルにおいて定義する要素
ビジネス・アクティビティ レベルにおいて定義する要素は、以下のとおりです。
ビジネスイベント毎における一連のビジネス・アクティビティ
ビジネス・アクティビティ ルール
ビジネスロール
ビジネス・アクティビティ毎のビジネスロール
一連のビジネス・アクティビティ
ビジネス・アクティビティ 4つの分類
ビジネス・アクティビティの組み合わせは4通り
ビジネス・アクティビティとは、「ビジネス活動におけるビジネス情報の収集、伝達、価値付加、保管、廃棄を定めたもの」です。
ビジネスイベント毎に一連のビジネス・アクティビティを定義し、ビジネス・アクティビティ一覧にまとめます。
一連のビジネス・アクティビティは、以下の4つの組み合わせになります。
外部組織から情報を受ける ー 情報に価値を付加する ー 外部組織へ情報を渡す
外部組織から情報を受ける ー 情報に価値を付加する ー 情報を保管・廃棄する
定めた時間に情報収集を締め切る ー 情報に価値を付加する ー 外部組織へ情報を渡す
定めた時間に情報収集を締め切る ー 情報に価値を付加する ー 情報を保管・廃棄する
4つの分類毎のビジネス・アクティビティの例を記します。
【例】ビジネス・アクティビティ 情報伝達
【例】ビジネス・アクティビティ 情報収集
【例】ビジネス・アクティビティ 情報価値付加
【例】ビジネス・アクティビティ 情報保管・情報廃棄
ビジネス・アクティビティ ルールとは、「ビジネス・アクティビティを適正且つ効率的に遂行するために遵守すべきルールのこと」です。
「法律・法令」「業界ルール」「契約」「組織内ルール」の中から、ビジネス・アクティビティに関係するルールを抽出します。
ビジネス・アクティビティ ルールを、「業務権限」「情報伝達」「情報収集」「情報価値付加」「情報保管・情報廃棄」の5つに分類し定義します。
ビジネス・アクティビティ ルールの位置付け
ビジネス・アクティビティ ルール 5つの分類
ビジネス・アクティビティ ルールの例を記します。
【例】ビジネス・アクティビティ ルール
【例】ビジネス・アクティビティ ルール
ビジネスロールとは、「ビジネス・アクティビティにおける担当チームおよび担当者の役割、業務権限、必要とする資格を定めたもの」です。
ビジネスロールを、「担当するビジネス・アクティビティ」「業務権限」「必要とする資格」の3つの要素の組み合わせで定義します。
定めたビジネスロールをビジネス・アクティビティ毎に割り当て、ビジネス・アクティビティ一覧に追記します。
ビジネスロール 3つの要素
ビジネス・アクティビティ一覧の例を記します。
【例】ビジネス・アクティビティ一覧
ビジネス・プロシージャー レベルにおいて定義する要素
ビジネス・プロシージャー レベルにおいて定義する要素は、以下のとおりです。
ビジネス・プロシージャー 手順
ビジネス・プロシージャー スクリプト
ビジネス・プロシージャー シナリオ
ビジネス・プロシージャー
ビジネス・プロシージャー 3つの分類
ビジネス・プロシージャーとは、「ビジネス・アクティビティにおける手順、スクリプト、シナリオを定めたもの」です。
手順とは、「作業、動作などを行うための順序、遷移、段取りのこと」です。
スクリプトとは、「会話、説明などを行うための順序、遷移、言葉のこと」です。
シナリオとは、「予測、分析、交渉などを行うための筋書きのこと」です。
ビジネス・プロシージャーの例を記します。
【例】ビジネス・プロシージャー 手順
【例】ビジネス・プロシージャー スクリプト
【例】ビジネス・プロシージャー シナリオ
ビジネスプロセス レベルにおいて定義する要素
ビジネスプロセス レベルにおいて定義する要素は、以下のとおりです。
ビジネスプロセス
ビジネスプロセス依存関係
ビジネススケジュール
ビジネスプロセス
ビジネスプロセスとは、「特定の成果および成果物を創出するために遂行する活動を定めたもの」です。一連のビジネス・アクティビティを論理的に集約して定義します。
ビジネスプロセスを、「投入リソースを分析・管理する単位」「スケジュールを分析・管理する単位」「コストを分析・管理する単位」「組織の役割を定義する単位」として用います。
一連のビジネス・アクティビティの中に共通する一連のビジネス・アクティビティがあれば、1つのビジネスプロセスとして集約します。
一連のビジネス・アクティビティを論理的に集約する例を記します。
【例】一連のビジネス・アクティビティ
【例】一連のビジネス・アクティビティを集約する
ビジネスプロセス依存関係とは、「ビジネスプロセスの開始・完了順序、開始・完了条件などを定めたビジネスプロセス間の関係のこと」です。
ビジネスプロセス間の関係には4つの依存関係があります。
完了−開始関係(FS)とは、「ビジネスプロセス間において、完了した後に開始できる関係のこと」です。
完了−完了関係(FF)とは、「ビジネスプロセス間において、完了した後に完了できる関係のこと」です。
開始−開始関係(SS)とは、「ビジネスプロセス間において、開始した後に開始できる関係のこと」です。
開始−完了関係(SF)とは、「ビジネスプロセス間において、開始した後に完了できる関係のこと」です。
ビジネスプロセス依存関係の例を記します。
ビジネスプロセス間における4つの依存関係
【例】ビジネスプロセス依存関係を定める
ビジネススケジュールとは、「ビジネス活動を遂行するためのスケジュールを定めたもの」です。
「随時」「日次」「週次」「月次」「四半期」「半期」「年次」の頻度別にビジネススケジュールを定義します。
【次に参考にしていただきたい記事】
次の記事では、ビジネスデザインで用いるビジネスイベント レベルでの分析技法について解説しています。ご参考になさってください。
【ビジネスデザイン】09 ビジネスファンクションにおける分析技法 ビジネスイベント編
https://note.com/rtree_b_design/n/nb14ab101d34a
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