薬剤耐性菌の本当の恐ろしさ
ウイルス対策だけじゃない
コロナで『院内感染』という言葉が
一般の方々にも広く知られるようになりました。
特に今は「菌の対策よりも、ウイルス対策の方が重要!」
という印象を持たれている方も少なくありません。
しかし実際は、世界医療の歴史は菌との闘いの歴史なのです。
「今の人は昔の人よりも抵抗力が弱い」、
「子供たちの環境が清潔すぎて免疫が鍛えられない」
健康な私たちはこのように聞いても、
「仕方ない。綺麗に慣れてしまっているし」くらいの認識ですが、
実は恐ろしい脅威が迫っているというという事実を
一人でも多くの方に知っていただきたいと思います。
奇跡の特効薬ペニシリンが細菌に負ける
1928年にアレキサンダー・フレミングが発見したペニシリンは
世界を変えました。
この新薬は大量に生産され、人類は
「感染症は過去の話」だと確信し、大きな安心を得ました。
しかし、市販されたペニシリンは正しい使い方をされず、
生き残った病原菌が耐性を学習することを始めたのです。
細菌は反撃を始め、薬剤耐性の仕組みを発達させました。
人間の傲慢 抗生物質を家畜のエサに
抗生物質入りの飼料を食べた家畜は大きく育つことがわかりました。
抗生物質は家畜の病気ではなく、成長促進のために多用されました。
抗生物質をみだりに摂取させる危険よりも経済が重視され、
家畜の腸内で次々と耐性菌が生まれました。
それは体内にとどまらず、フンとともに排出され、
土壌や水を介して周囲に広まりました。
50年前からわかっていたことなのに、
畜産業界は抗生物質の乱用をやめなかったのです。
耐性菌は自己増殖だけではない
1964年に慶応大学の研究者が驚愕の事実を公表しました。
耐性菌は元の菌から次世代に縦に継がれるだけでなく、
同じ世代で横にも伝播(でんぱ)することが分かったのです。
菌は分離だけではなく、
外部からも耐性の情報を拾いあげることができるというのです。
強力な抗生物質が次々と無効に
2008年にロンドンで発見された新しい薬剤耐性は、
南アジアで美容整形を受けた人たちに感染が起こりました。
その薬剤耐性のメカニズムは「NDM」と名付けられ、
感染症治療の“最後の切り札”と言われたカルパペネムという抗生物質を、
無効化してしまいました。
このような症例が、世界中で次々と起きています。
人の腸内で次々と伝播されるNDM
一般的に、健康な腸内に耐性菌が入っても
すぐに発症するわけではありません。
しかし、NDMを持つ細菌が腸内にいると
周囲の細菌に耐性を伝播するチャンスとなります。
その伝播相手の病原性が強ければ感染症を引き起こします。
このNDMはすでに55か国に拡散しました。
新薬の開発が追い付いていない現状
次々と生まれる薬剤耐性に対して、新薬の開発が追い付きません。
人類は耐性菌と戦う武器を失い続けているのです。
新しい抗生物質を作るには10年以上の歳月と
最低10億ドルの資金が必要と言われています。
しかし5年以内に、特定の菌の20%は
その抗生物質が効かなくなります。
研究開発費の回収が見込めない状況では
製薬会社も抗生物質を作りたがらないのです。
スーパー耐性菌が次々と誕生
切り札と言われてきたいくつもの抗生物質が次々と無効化され、
ようやく経済界の一部は
「ヤバい」と気づき出しました。
簡単な手術でちょっと感染した、それはどこにでもある菌なのに、
薬が見つからない。
どんな抗生物質も効かなくなるのです。
主要国も途上国も関係ない。逃げられない話。
「薬剤耐性菌の脅威は危機的な状況」2016年9月 国連が発表
2050年には抗生物質のない世界に戻り、19世紀のように
普通の感染症で人が死ぬ時代が来ると言われています。
悪魔の細菌と呼ばれる耐性菌はあり、
現実に迫っているのに
手持ちのカードが無くなっているのが現状です。
全てを失ったら、世界の医療体制は吹き飛ぶ。
その導火線に火がついている状態なのです。
薬剤耐性菌もやっつけるGZ-08ウィルシュータ
ウィルシュータで作られたシガドライの寝具は、
まさにこの問題を根本から解決する手段の一つです。
細菌も耐性菌も、毎日24時間、活性も増殖も許しません。
次号でそれをご紹介します。
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